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平成二十八年十二月七日提出
質問第一九四号

沖縄戦での「日本軍による住民の集団強制自決」の記述の回復と教科書検定意見の撤回に関する質問主意書

提出者  仲里利信




沖縄戦での「日本軍による住民の集団強制自決」の記述の回復と教科書検定意見の撤回に関する質問主意書


 沖縄戦での「日本軍による住民の集団強制自決」の記述の回復と教科書検定意見の撤回に関しては、平成二十七年六月十日付質問主意書第二六二号で質問を行い、六月十九日付で答弁を得たところである。
 その際行った質問で、検定意見の撤回と記述の回復を行うべきではないかと質したところ、教科用図書検定調査審議会の審議に基づき付されたものであること、訴訟が提起されていることを直接の根拠とするものではないこと、記述をどのようにするかは申請図書の発行者の判断に委ねられていること、制度の見直しは考えていないこと等の理由から、検定意見の撤回や記述の回復は困難であると一蹴した答弁を行っている。
 しかし、本職が平成二十八年四月十四日付質問主意書第二四七号で行った「沖縄の経済や沖縄振興予算、米軍基地等に関する公民教科書の誤記載の是正に関する質問主意書」に基づき、記述の訂正を質した結果、極めて不十分ではあるが、記述が一部訂正されるという結果に結びついた。
 また、本職を始め「九.二九県民大会決議を実現させる会」の九年余の地道な活動の結果、去る十月三日に高校歴史教科書で「沖縄戦の集団自決」に関する記述についても、僅かではあるが一部訂正されており、沖縄戦の実相を子供たちに正しく伝えるという取り組みが、地道ではあるが、着実に実を結んでいるところである。
 これらを踏まえて以下お尋ねする。

一 二〇一七年度から使用される山川出版社の高校歴史教科「詳説日本史B」の記述を訂正した理由と目的は何か、政府の見解を答えられたい。
二 山川出版社が訂正申請に及んだのは、文部科学省又は教科用図書検定調査審議会の指摘乃至指導、或いは文部科学省が独自に定める教科書検定に関する記述等いずれに基づくものか、政府の見解を答えられたい。
三 申請図書の発行者が記述の訂正を申し出た場合に、文部科学省又は教科用図書検定調査審議会が適当と認めて承認する理由について政府の承知するところを明らかにした上で、今回の山川出版社の訂正理由と目的に対する政府の見解を答えられたい。
四 大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判において、事実関係の争点であった原告及び被告のそれぞれの主張、最高裁判所の判断、とりわけ「渡嘉敷島の集団自決と赤松の関与」について政府の承知するところをそれぞれ明らかにした上で、確定した最高裁判所の判例に対する政府の見解を答えられたい。
五 文部科学省は、教科書の記述を検定・承認する際の各教科固有の条件として、平成二十一年三月四日付文部科学省告示第三十三号においては「義務教育諸学校教科用図書検定基準」の中で「社会科(「地図」を除く。)二(四)」として、また平成二十一年九月九日付文部科学省告示第百六十六号においては「高等学校教科用図書検定基準」の中でも「地理歴史科(「地図」を除く。)」では「一(三)」により、「公民科」では「一(五)」により、それぞれ「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解又は最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述がされていること。」と基準を定めているところであるが、この基準を新たに定めて公表した背景と理由、目的をそれぞれ明らかにされたい。
六 質問四及び五に関連して、見直されて告示された「義務教育諸学校教科用図書検定基準」及び「高等学校教科用図書検定基準」は、その附則によれば、いずれも「平成二十八年度以降の使用に係る教科用図書の検定から適用する」ことになっているが、今回の山川出版社の高校歴史教科「詳説日本史B」の訂正と承認を含めて、これまで同検定基準を適用した事例について政府の承知するところを明らかにされたい。
七 質問四から六までに関連して、大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判の最高裁判所の判決が下されたのは平成二十三年四月二十一日であり、文部科学省の「義務教育諸学校教科用図書検定基準」及び「高等学校教科用図書検定基準」が見直されて告示されたのは平成二十一年の三月乃至九月である。この日時は原告側が第二審の判決を不服として最高裁判所に上告していた時である。また、沖縄戦での「日本軍による住民の集団強制自決」の記述の回復と教科書検定意見の撤回を求めるため、沖縄県民十一万六千人余が結集した県民大会が開催され、政府に大会決議の実現を要望したのは平成十九年九月二十九日であるが、この時に政府は「地方裁判所での裁判中であるからコメントできない」とした。その後、本職が平成二十七年六月十日付質問主意書第二六二号で質問したところ「検定意見は裁判とは関係ない」とするなど、二転三転の異なる対応となっている。これらを踏まえると、政府は当初裁判で勝訴することを前提として、その判例を基に「教科用図書の検定基準」とすることを目論んだのではないかと思われるが、政府の見解を答えられたい。
八 質問七に関連して、政府が「教科用図書の検定基準」の中で「最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述がされていること」が明確に位置付けられているのであるから、沖縄県民が望んでいる「沖縄戦での「日本軍による住民の集団強制自決」の記述の回復と教科書検定意見の撤回」を直ちに全教科書において行うべきではないか、政府の認識と見解を答えられたい。

 右質問する。



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