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平成二十九年九月二十八日提出
質問第八号

オスプレイのオーストラリア東部沖での墜落事故等で明らかとなったオスプレイの構造上の欠陥等と政府の対応に関する質問主意書

提出者  仲里利信




オスプレイのオーストラリア東部沖での墜落事故等で明らかとなったオスプレイの構造上の欠陥等と政府の対応に関する質問主意書


 去る八月五日、オーストラリア東部沖で輸送揚陸艦への着艦訓練を行っていたオスプレイが墜落する重大事故が発生した。この事故を受け小野寺五典防衛大臣は、米側に対して日本国内でのオスプレイの飛行自粛を求めたが、在沖米海兵隊は意に介せず、事故原因を究明せず、また県民への説明も一切ないままに七日、沖縄県内でのオスプレイの飛行を強行・継続した。
 このような米軍の行為は、沖縄県民の強い不安や憤りを無視するものであり、それを容認する日本政府の対応はおよそ主権国家とはいえないものである。
 特に、オスプレイが開発段階から構造上の欠陥を指摘され、改善を求められてきたのにもかかわらず、日米両政府が頑なにその事実を認めず、所要の改善や対策を講じないまま配備・飛行を強行し続けていることはまことに遺憾である。そこでお尋ねする。

一 オスプレイは機体の構造上、着陸時に強い下降気流を発生させるが、その際に地面等の砂塵等の粒子を大量に巻き上げるため、その粒子がエンジン・フィルターで完全に除去されずにエンジン内に吸い込まれて燃焼不良を起こし、失速・墜落するリスクを抱えていることが明らかになっている。このエンジン・フィルターの欠陥による失速・墜落のリスクは、二〇一〇年四月のアフガニスタンでの墜落事故に関する米空軍の事故調査報告書で指摘され、また昨年五月のハワイでの墜落事故では「操縦士の判断ミス」と結論付けた上で「エンジン・フィルター・システムの改良」が提言されている。さらに、今年四月に熊本県白水運動公園で米海兵隊普天間基地所属のオスプレイが離発着を繰り返す際に、自衛隊員が着陸前に散水を行う光景が確認されており、砂塵を抑えるための取り組みであると思われる。よって、政府は、オスプレイが抱える構造的な欠陥の一つとして、このエンジン・フィルターの欠陥による失速・墜落のリスクを十分に承知しているか否か、政府の認識と見解を明らかにされたい。
二 質問一に関連して、佐賀県が今年の一月に行った質問に対して、九州防衛局は「人為的な要因の結果、設計上想定されている時間以上に砂塵の中でのホバリングを継続し、エンジン内に過剰に砂塵を吸い込むこととなった」と述べ、「操縦士のミス」という米側の認識を踏襲している。しかし、米海兵隊が「エンジン・フィルター・システムの改良」を行わないまま、それまで六十秒以内に着陸できない場合は着陸を中止するという規則を三十秒以内に短縮したという行為自体が「エンジン・フィルター・システム」の欠陥を示す証左に他ならないのではないか。政府の認識と見解を明らかにされたい。
三 質問一及び二に関連して、「エンジン・フィルター・システムの欠陥による失速・墜落のリスク」は解消されたわけではない。政府はオスプレイがこのような構造的欠陥を抱えたまま、日本国内での飛行を続けることをなぜ容認するのか、直ちに米側に対して飛行の中止と配備の撤回を求めるとともに、陸上自衛隊への導入を断念するべきではないか。政府の認識と見解を明らかにされたい。
四 オスプレイは、緊急時の対処手順等をまとめた米海軍のチェックリスト(確認書)によれば、飛行機モードで空中給油中に給油機のホースや装備の一部が機体に衝突する可能性があると記載されており、プロペラに当たれば「大惨事を引き起こしかねない」と指摘されているとのことである。昨年十二月の名護市安部での墜落事故を彷彿させる記述と指摘であるが、オスプレイの構造的な欠陥の一端を如実に表した指摘であると思われるが、政府の認識と見解はどうか、明らかにされたい。
五 オスプレイは、一般のヘリコプターが持つオートローテーション機能を持たないという構造的な欠陥を抱えていることが開発段階から指摘されている。本職も平成二十九年一月二十日の質問主意書第二号等で指摘をしたところである。また、質問一から三において明らかにした「エンジン・フィルターの欠陥による失速・墜落のリスク」をより大きくしたのはこの「オートローテーション機能」の喪失であるとの指摘もある。「オートローテーション機能」がないことにより、一般のヘリコプターに比べて格段に事故の発生率及び件数が高いことからして、やはりオスプレイは危険で欠陥のある航空機と考えられるが、政府の認識と見解はどうか、明らかにされたい。
六 オスプレイ試作段階から量産化、そして実戦配備に至るまでの僅か十六年の間に国内外で緊急着陸や墜落事故等さまざまなトラブルが相次いで発生していることからすれば、オスプレイの安全神話は崩れ去っており、むしろ欠陥機と言うべきものである。その危険性故に国内に配備すべきものではなく、狭隘な県土に米軍基地が集中し、過重な基地負担が県民に押し付けられている沖縄だからこそオスプレイの飛行と配備を認めるべきではないと考えるが、政府の認識と見解を答えられたい。
七 報道によれば、米国防研究所でオスプレイの主任分析官を務めたレックス・リボロ氏は「オスプレイは千二百時間毎のエンジン交換が必要と設計されたが、現在おそらく百〜二百時間毎の交換となっているのではないか」との見方を示し、頻繁な部品交換が必要で深刻な機体整備の課題があるとして「時折、飛行中に問題が発生し、緊急着陸を要する状況になる」と指摘し、八月のオーストラリア沖での墜落事故原因は、分析に必要な数値が揃ってはいないが「機体のメインローターが作り出した吹きおろしの風によって揚力が出せなくなり、降下が止まらなくなる問題だったのではないか」とも指摘したとのことである。元主任分析官のこのような指摘に対する政府の認識と見解を答えられたい。
八 質問七に関連して、六月六日に伊江島に緊急着陸し、八月二十八日に岩国基地で白煙を出し、八月二十九日に大分空港に緊急着陸し、左右のエンジン二基を全て交換した「機体番号十一」のオスプレイのエンジン交換時間について政府の承知するところを明らかにした上で、日米両政府及び米軍が「離陸するまで徹底的な点検を実施する」と豪語しながら、二度にわたるトラブルを起こし、挙句の果てには点検によってエンジンを交換しなければならないほど重大トラブルが生じていた飛行機を我が国の民間地上空に飛ばすことについて政府の認識と見解を答えられたい。

 右質問する。



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