質問本文情報
平成二十九年十一月二十日提出質問第四五号
わが国におけるヒアリの侵入・定着状況に関する質問主意書
わが国におけるヒアリの侵入・定着状況に関する質問主意書
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律で特定外来生物に指定されているヒアリは、環境省のホームページによれば、「日本における侵入・定着の実績はない」と示されている。ヒアリは、「極めて攻撃的で、節足動物の他爬虫類、小型哺乳類をも集団で攻撃し捕食することが知られ」、人に対しても、「刺されると、アルカロイド系の毒によって非常に激しい痛みを覚え、水疱状に腫れる。さらに毒に対してアレルギー反応を引き起こす例が、北米だけでも年間で千五百件(本種を含めた“fire ant”全体の件数)近く起こっている」と示されている。
平成二十九年六月九日、兵庫県尼崎市のコンテナ内でヒアリがわが国で初めて確認され、その後、東京や愛知、大阪、福岡、大分など全国各地で確認が相次ぎ、その地域は増え続けた。七月二十七日には、福岡市で、中国から船で運ばれてきたコンテナから荷物を運搬していた作業員がヒアリに刺され、作業員は軽症だったものの、日本国内では初めての人的被害となった。
日本に近接する台湾はヒアリの侵入を許している。二〇〇四年、台北の近くの桃園市でヒアリの巣が複数発見された。この発見以前に、農民の間で見たことのないアリがいると騒ぎになっていたが、確認に時間がかかってしまったため、台湾では年間約二億円の対策費を投じ、ヒアリの根絶を行っている。また、オーストラリアでは、二〇〇一年から二〇一六年の十五年間で約二百七十億円の予算を投じている。
このような経緯を踏まえて、現時点の政府のヒアリ対策を確認したいので、以下質問する。
二 ヒアリは、わが国において、「国内未定着」であるのか。見解を示されたい。
三 平成二十九年六月九日の兵庫県尼崎市のコンテナ内でのヒアリの発見以後、わが国におけるヒアリの確認例はどの程度か。政府の把握するところを示されたい。
四 わが国におけるヒアリによる人的被害の概要はどのようなものか。政府の把握するところを示されたい。
五 ヒアリ対策に関して、政府は今後どのような方針で、どの程度の予算を計上していくのか。見解を示されたい。
六 わが国にヒアリが侵入、定着した場合の被害想定の試算を政府は行ったことがあるのか。あるとすれば、その被害額はどの程度なのか。政府の見解を示されたい。
七 六に関連して、被害額の試算を行っていないとすれば、早急に行い、国民にヒアリの侵入・定着の阻止の対策を啓蒙するためにも、試算結果を公表すべきではないか。政府の見解を示されたい。
右質問する。