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平成二十九年十二月五日提出質問第八二号
無人の国境離島地域の保全に関する質問主意書
無人の国境離島地域の保全に関する質問主意書
十二月四日、北朝鮮から来たとみられる男性十人が乗った木造船が荒天のため避難した北海道松前町の無人島「松前小島」で、灯台のソーラーパネルや漁協の施設から家電製品などがなくなっていたことが海上保安庁、警察、関係自治体の職員などの現地調査で明らかになった。第一管区海上保安本部と北海道警察は、盗まれた可能性があるとして調査を続けている。
松前小島の管理人は、小屋にあったものは全てない状態だったと認め、「怖いなんてものじゃない。松前小島は魚がたくさんとれる。北朝鮮船の間で評判が広まらないか不安」と話し、松前町水産課長は「想定外の事態。国に監視カメラの設置などを要望したい」と述べたことが報じられている。
有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法(「本法」という。)の第一条で、「この法律は、我が国の領海、排他的経済水域等を適切に管理する必要性が増大していることに鑑み、有人国境離島地域が有する我が国の領海、排他的経済水域等の保全等に関する活動の拠点としての機能を維持するため、有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別の措置を講じ、もって我が国の領海、排他的経済水域等の保全等に寄与することを目的とする」と示され、本法第五条で、「国は、有人国境離島地域に国の行政機関の施設を設置するよう努めるものとする」との規定があるが、松前小島のような無人の国境離島地域は本法の対象にならない。
しかしながら、松前小島のような無人の国境離島地域が「我が国の領海、排他的経済水域等の保全等に寄与すること」は大である。
このような観点から、以下質問する。
二 松前町水産課長は「想定外の事態。国に監視カメラの設置などを要望したい」と述べたとされるが、松前小島は「我が国の領海、排他的経済水域等の保全等に寄与すること」は大であり、国の行政機関の施設として監視カメラなどを設置し、常時監視を行うべきではないか。政府の見解を示されたい。
三 今回の事案では、松前さくら漁協が管理する小屋の内部が荒らされ、保管されていた物品がほとんど失われるという事態に至った。今回の事案で窃盗行為を行った者は概ね特定されているものの、今後、窃盗行為などの犯人が必ずしも特定されるとは限らない。このような無人の離島の管理小屋は当該海域で操業する漁業者の緊急避難場所としての役割も果たしており、その機能が損なわれることは、悪天候時、漁業者の人命の危機につながるものである。このような悪意ある不審船による無人の国境施設で生じた盗難、破壊などの被害を補償する公的制度は存在するのか。存在しないとすれば、政府は創設すべきではないか。見解を示されたい。
右質問する。