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平成二十九年十二月六日提出質問第一〇四号
教科書検定と憲法論に関する質問主意書
教科書検定と憲法論に関する質問主意書
第四十八回衆議院議員選挙投開票日の平成二十九年十月二十二日に放送された日本放送協会の開票速報番組において、安倍総理大臣は、憲法第九条に自衛隊について規定するとの考え方に関して、「私は本当に、この北朝鮮の脅威に対して、二十四時間、三百六十五日頑張っておられる、また災害では命がけで頑張っておられる、自衛隊の皆さんについてですね、教科書に違憲も、違憲論も載っている状況を、一日も早く、なくすべきだろうと、こう考えたわけであります。」と発言している。
また、平成二十九年十一月二十一日の参議院本会議における、安倍総理大臣の所信表明演説に対する民進党代表の大塚耕平参議院議員の代表質問中、憲法と自衛隊の関係についての質問への答弁の中で「近年の世論調査でも、自衛隊は合憲と言い切る憲法学者は二割にとどまり、多くの教科書に合憲性に議論がある旨の記述があるという状況があります。自衛隊員たちに、君たちは憲法違反かもしれないが、何かあれば命を張ってくれというのは余りにも無責任であります。そうした議論が行われる余地をなくしていくことは、私たち世代の責任ではないかと考えております。」と発言している。
さらに、平成二十九年十一月二十七日の衆議院予算委員会の質疑において、立憲民主党の長妻昭衆議院議員の、自衛隊を憲法第九条に位置付けて書き込むことに関する質問に対し、「教科書についても、違憲の疑いについての記述がほとんどの教科書に載っているところでございまして、自衛隊員のお子さんたちもこの教科書で勉強しているわけでございます。ある自衛官から聞いたのでありますが、お子さんから、お父さん違憲なの、こう言われたことに胸を切り裂かれる思いだったと言われていた話を私は聞いたことがあるわけでございます。そうした中において、この緊迫する北朝鮮情勢、安全保障情勢が厳しくなる中において、三百六十五日二十四時間、国民の命を守るために精励している諸君たちが、あるいは災害があれば、まさに国民の命を守るために、自らの危険を顧みず現場に飛び込んでいく自衛官たちに対して、違憲、合憲という議論が残っている、これをなくしていくことが私たち世代の責任ではないか、このように考えたところでございます。」と答弁している。
当方で調査した全ての義務教育諸学校教科書又は高等学校教科書(いずれも現在採用されているもの。以下、「教科書」という。)においては、憲法と自衛隊の位置付けについては違憲である又は違憲の疑いがあるとの見解と、合憲であるとの見解が共に記述されている。
政府においては、平成二十六年一月十七日に義務教育諸学校教科用図書検定基準及び高等学校教科用図書検定基準を改訂し、「政府の統一的な見解又は最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述とする」という新たな項目が追加された。
そこで、以下質問する。
二 教科書において、自衛隊に関し違憲とする見解及び合憲とする見解が共に記述されている場合であっても、これを無責任である、又はなくすべきであると考えるのか。
三 教科書において自衛隊が違憲である又は違憲の疑いがあると記述されていることが、自衛隊や自衛隊員の立場を貶めたり危うくしたりしているという事実はあるのか、示されたい。
四 義務教育諸学校教科用図書検定基準及び高等学校教科用図書検定基準の改訂において、「政府の統一的な見解又は最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述とする」との項目を追加した趣旨如何。
五 教科書において、憲法における自衛隊の位置付けに関し、政府の見解と異なる記述がある場合の政府の対応如何。
右質問する。