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平成三十年一月二十三日提出
質問第一六号

北方領土における日米安全保障条約の有効性に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




北方領土における日米安全保障条約の有効性に関する質問主意書


 一月十八日、二〇一八年の日ロ「交流年」を記念した国際シンポジウムが東京都内の法政大学で開催された。一九九六年から二〇〇三年まで駐日大使を務めたアレクサンドル・パノフ氏は、返還後の北方領土で、「平和条約締結には、いかなる軍事活動も行わない義務が必要だ」と述べ、北方領土の非軍事化が領土引き渡しの条件になると指摘した。
 プーチン大統領は二〇一六年十二月の訪日時、日米安全保障条約に基づいて米軍が返還後の北方領土に展開する「懸念」があるとし、北方領土の引き渡しに慎重な姿勢を見せた。パノフ氏は、このプーチン大統領の「懸念」は、二〇一六年十一月のモスクワの日ロ高官協議で、日本が北方領土を日米安全保障条約の適用除外とする可能性を否定したのが原因と説明し、「日本の責任だ」と断じたことが時事通信などで報じられている。
 これらの発言を踏まえて、以下質問する。

一 ロシア政府は、二〇一六年十一月のモスクワの日ロ高官協議で、日ロの平和条約の締結の前提として、締結後の北方領土で「いかなる軍事活動も行わない義務が必要」であると要求したのか。政府の見解如何。
二 二〇一六年十一月のモスクワの日ロ高官協議で、日本政府の担当者は、返還後の北方領土を日米安全保障条約の適用除外とする可能性を否定したのは事実か。政府の見解如何。
三 日ロ平和条約と日米安全保障条約はそれぞれ独立したものであると考えられるが、政府は、日米安全保障条約の規定が日ロ平和条約の締結交渉の上で「懸念」を生じさせているという認識を持っているのか。政府の見解如何。
四 日米安全保障条約第六条の「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される」との規定は、「日本国の施政の下にある領域」においては留保条件なしに適用されるという理解でよいか。
五 四に関連して、日本政府は日ロ平和条約の締結交渉において、返還後の北方領土での日米安全保障条約の適用除外を検討したことはあるのか、政府の見解如何。
六 現行の法令上、日米安全保障条約第六条でいう「アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される」との規定は、日本国の施政下にある一部の領域だけで適用除外にすることは不可能であるとの理解でよいか。政府の見解如何。

 右質問する。



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