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平成三十年四月三日提出
質問第二〇三号

子どもの貧困対策に関する質問主意書

提出者  長尾秀樹




子どもの貧困対策に関する質問主意書


 厚生労働省の「平成二十八年国民生活基礎調査」によれば、平成二十七年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)は百二十二万円、貧困線に満たない世帯員の割合を示す相対的貧困率は十五・六%(対二十四年△〇・五ポイント)となっている。
 また、子どもの貧困率は十三・九%(対二十四年△二・四ポイント)で、十七歳以下の子どもの七人に一人が貧困状態にあり、経済協力開発機構(OECD)加盟国などと比較しても日本の子どもの貧困率は依然として高い水準にある。
 特に、子どもがいる現役世帯のうち大人が一人の世帯の貧困率は五十・八%と、平成二十四年より三・八ポイント低下したものの、半数以上のひとり親世帯が貧困状態となっており、母子世帯の八十二・七%が生活意識・暮らし向きは「苦しい」と答え、三十七・六%の世帯が「貯蓄がない」と回答している。
 以上を踏まえ、以下質問する。

一 政府は、当該調査の結果において明らかになった相対的貧困率及び子どもの貧困率についてどのように評価しているのか。OECD諸国との比較や前回調査との比較などを含め、示されたい。
二 政府はひとり親世帯に支給する児童扶養手当の二人目以降の加算額を平成二十八年八月分から増額しているが、今回の調査にはその効果は反映されていない。国民生活基礎調査は、三年ごとに大規模な調査を実施し、中間の各年は小規模な調査を実施するとされているためである。世帯や子どもの貧困率等の把握を徹底するためには、大規模調査と同様の調査を毎年行うべきではないか。
三 厚生労働省の「平成二十八年度全国ひとり親世帯等調査」によれば、母子世帯の母の八割以上が就業しているにもかかわらず、ひとり親世帯の貧困率は五割を超えているのが現状である。このような母子世帯の窮状には、育児の制約から正社員の仕事に就きにくく、賃金水準が低いパート・アルバイトなどの非正規雇用への就業が多いことが背景にあると考えられる。
 我が国のひとり親世帯の貧困率が高い要因には、政府が雇用にかかわる規制緩和を進める中で、企業が正社員を減らし、賃金の低い非正規労働者を増やしてきた影響が少なくないと考えるが、右の認識に対する政府の見解如何。
四 子どもの貧困対策について国が積極的に取り組もうとしていることは理解しているが、予算的措置は十分ではない。国の対策が不十分な中で、安倍政権は民間の資金を頼りにしようとしているが、本来、国の予算で取り組むべき対策がおざなりにされるようでは本末転倒である。
 日本は所得が低い人たちの社会保険料や税の負担が大きいにも関わらず、子育ての負担を減らすための社会保障の給付が少ない。児童手当や児童扶養手当といった現金給付を拡充するほか、給食や修学旅行費用の無償化、子どもの医療費の窓口負担をなくすとともに、逆進性の高い社会保険料や税の負担について見直しを検討する必要があるのではないか。以上のように、貧困問題の解消は、税と社会保障制度の中で考えていくべきと考えるが、政府の見解如何。
五 子どもの貧困をなくすには自治体の取組も重要である。東京都足立区では、平成二十七年度から子どもの貧困対策に取り組む専門の部署を設け、早期発見・早期支援に乗り出している。具体的には、子どもが生まれる前から貧困につながるリスクを見つけ出そうと、妊婦が母子手帳を受け取る際に提出する妊娠届出書に生活費等で困っていないか記入する欄を設け、情報を集めている。さらに、小学一年生の全世帯に協力を求めて貧困の実態調査を行っている。保護者の所得や公共料金の支払い状況、虫歯の有無等、子どもの健康状態や食生活などを調べて、明らかになった課題に重点的に取り組むためである。
 ただ、こうした取組も財源が各自治体の予算に委ねられていることから、自治体間での格差が生じることも懸念される。このような各自治体による取組を後押しすべく、国による財政的な支援を含め、国の子どもの貧困対策を実効性のあるものにしていくべきと考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。



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