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平成三十年四月十六日提出
質問第二二九号

英米仏のシリア攻撃に対する政府の評価に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




英米仏のシリア攻撃に対する政府の評価に関する質問主意書


 我が国も締結国の一つである「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約」(「化学兵器禁止条約」という。)では、「全人類のために、一九二五年のジュネーヴ議定書に基づく義務を補完するこの条約の実施によって化学兵器の使用の可能性を完全に無くすことを決意し」、「化学の分野における成果は人類の利益のためにのみ使用されるべきであることを考慮し」、「化学兵器の開発、生産、取得、貯蔵、保有、移譲及び使用の完全かつ効果的な禁止並びに廃棄が、これらの共通の目的を達成するために必要な措置である」と謳われている。
 平成三十年四月十四日、安倍総理は米英仏によるシリア攻撃について、「化学兵器の拡散と使用は許さないとの米英仏の決意を政府として支持する。これ以上の事態の悪化を防ぐための措置と理解している」と発言した。
 同日、河野太郎外務大臣は、米英仏によるシリア攻撃について、「これからさまざま事実関係が解明されていくと思う」と述べ、軍事行動については、「当事国でもない日本が行為の法的評価を述べる立場にない」と言及を避けた。もっとも、「アサド政権がこれまで化学兵器を使用し、化学兵器の研究開発能力を持っていることははっきりしている」と発言している。
 化学兵器の拡散と使用を許さないことについては論をまたないものの、米英仏のシリア攻撃に関わる政府の方針を確認したいので、以下質問する。

一 安倍総理の発言では、化学兵器の拡散と使用についての「米英仏の決意」を「支持」するが、この軍事行動の評価については言及していない。これは、米英仏の軍事行動が法的根拠を持たない、国際法違反の疑いがあると評価しているためか。政府の見解如何。
二 米英仏の軍事行動は、その「措置」を日本政府が「理解する」と感想を述べるにとどめているが、この軍事行動についての政府の評価、支持するか否かはどのようなものか。政府の見解如何。
三 平成十五年三月に行われたアメリカなどのイラク攻撃に関して、小泉純一郎総理は、例えば、平成十五年三月二十四日の衆議院予算委員会で、「総合的に考えて、アメリカを支持することは日本の国家利益にかなう。どういうデメリットということではない、支持することが国家利益にかなうから支持している」と答弁している。このイラク攻撃に関しては、我が国は当事者ではないものの、政府は「支持することが国家利益にかなうから支持」との見解を示している。今次のシリア攻撃についても、「化学兵器の拡散と使用は許さないとの米英仏の決意」が「国家利益にかなう」ならば、政府はこのシリア攻撃についての「法的評価」を明らかにすべきだが、それを行わないのは、このシリア攻撃の前提として国連決議もなされていないし、アメリカの自衛権の行使であると考えるのは困難であり、このシリア攻撃がシリアへの主権侵害であるためではないか。政府の見解如何。
四 河野外務大臣は「当事国でもない日本が行為の法的評価を述べる立場にない」と言及を避けているが、我が国は交戦当事国ではないものの、「化学兵器の拡散と使用は許さないとの米英仏の決意を支持する」と安倍総理が評価を与える根拠である化学兵器禁止条約の締結国としては、我が国は米英仏と国家利益を共有する当事国である。イギリスのメイ首相は、シリア攻撃に関して、「軍事力行使に代わる現実的な選択肢はなかった」と述べた。河野太郎大臣は、「当事国でもない日本が行為の法的評価を述べる立場にない」と評価を回避するのではなく、化学兵器禁止条約を尊重しつつ、国際法違反の疑いのある米英仏のシリア攻撃については毅然とした態度で臨み、厳粛な評価を行うべきではないか。政府の見解如何。

 右質問する。



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