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平成三十年四月二十日提出
質問第二四三号

中国のものと推定される無人機による防空識別圏への侵入事案に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




中国のものと推定される無人機による防空識別圏への侵入事案に関する質問主意書


 平成三十年四月十八日、防衛省は、中国の偵察用無人機(「当該無人機」という。)とみられる航空機一機が同月十日午後、沖縄県の尖閣諸島北側の東シナ海を数時間にわたって飛行したことを明らかにした。わが国の領空の外側に設けられた日本の防空識別圏(「ADIZ」という。)内を飛行したが、領空侵犯は確認されなかったと承知している。これに対して、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進した。
 当該無人機は、中国方向から飛来し、一時、尖閣諸島の北約百六十キロまで近づき、その後、中国方向に去った。当該無人機は中国が開発した無人偵察機「BZK−〇〇五」と推定され、訓練や情報収集をしていたと思料する。中国の無人機に対するスクランブルは平成二十九年五月以来であり、その時は尖閣周辺の領海に侵入した中国海警局の船から小型無人機ドローンのような物体一機が領空侵犯している。
 わが国も締結国の一つである、海洋法に関する国際連合条約第八十七条1では、「公海は、沿岸国であるか内陸国であるかを問わず、すべての国に開放される。公海の自由は、この条約及び国際法の他の規則に定める条件に従って行使される。この公海の自由には、沿岸国及び内陸国のいずれについても、特に次のものが含まれる」として、同条1(b)で、「上空飛行の自由」が明示されている。この条文は、公海がどの国の主権の下にも置かれることなく、沿岸国であるか内陸国であるかを問わず、すべての国の自由な使用に開放されることを示している。
 ADIZは、各国が防空上の観点から国内措置として設定しているもので、領空や領土の範囲を定めるものではない。わが国のADIZは、「周辺を飛行している航空機が、どこの国籍なのか、領空侵犯のおそれがあるかといった識別などを行うための空域であり、緊急発進を実施するかどうかを判断するためのもの」と承知している。防衛白書によれば、「国籍不明の戦闘機などがADIZを経て領空に向かってくるような場合には、「領空侵犯のおそれがある」として、空自の戦闘機が緊急発進する」こととなる。ADIZを単に通過するだけの航空機は、通常、緊急発進の対象にはならず、「たとえば、民間航空機については、あらかじめ国際基準に基づき航空当局に飛行計画が提出されているため」、外国の航空機がわが国のADIZ内を飛行し、計画どおりの航路を管制されながら飛行する場合、緊急発進などの対応は取られない。
 このような観点から、以下質問する。

一 これまで中国によるものと推定される偵察用無人機によるわが国のADIZ内ないしは領空への侵入事例はどの程度か。
二 一に関連して、そのうち、航空自衛隊の戦闘機による緊急発進が行われた事例はどの程度か。
三 当該無人機は中国が運用していたという理解でよいか。
四 当該無人機はどの程度の高度を飛行していたのか。具体的に示されたい。
五 有人の国籍不明の戦闘機などがADIZ内や領空へ侵入した場合、そのパイロットに退去を求めるために、定められた周波数を用いた無線警告や当該機に向けて自機の翼を振るなどの慣習上の方法が存在しているが、無人機に対してはどのような方法で実効性のある警告を行うのか。
六 偵察用無人機は、レーダーや赤外線信号が微弱で、一般に低空飛行を行うため、必ずしも地上レーダーや早期警戒管制機(AWACS)より発見されるわけではない。また航空自衛隊の戦闘機による追尾や追跡は速度が遅い無人機では困難である。他方、当該無人機は、尖閣諸島周辺の最新かつ詳細な地形の測定や撮影を行っていたと見るべきであり、わが国の安全保障上の懸念要因となりかねない。当該無人機のADIZ侵入に関して、政府は中国に抗議などを行ったのか。政府の見解如何。
七 当該無人機のみならず、国籍不明の無人機のわが国のADIZ内への侵入は、どの程度わが国の領空、領海に近づけば、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進し、何分でその無人機に到達するのか、またその時にどのようなレーダーが使用されるのかを観測する目的があると思われ、わが国の安全保障上の懸念要因となりかねない。これに対してどのような対応策を持っているのか。政府の見解如何。
八 無人の偵察機である以上、パイロットに警告を与えることはできず、有効に排除する方法はないと思われるが、航空自衛隊の戦闘機との偶発的衝突も否定できない。かかる無人機の運用国に速やかに抗議を行ったり、情報交換を行うホットラインなどの連絡方法は存在するのか。
九 現行法令では、国籍不明の偵察用無人機がわが国のADIZ内に侵入した場合、これを排除する方法はないという理解でよいか。政府の見解如何。

 右質問する。



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