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平成三十年五月十七日提出
質問第三〇五号

高度プロフェッショナル制度に類似する専門業務型裁量労働制が適用された労働者の過労死認定等に関する質問主意書

提出者  山井和則




高度プロフェッショナル制度に類似する専門業務型裁量労働制が適用された労働者の過労死認定等に関する質問主意書


 高度プロフェッショナル制度を含む「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」が平成三十年四月六日に国会に提出されました。また、高度プロフェッショナル制度に類似するとの指摘もある専門業務型裁量労働制が適用されていた労働者が過労死されてしまい、四月二十七日に池袋労働基準監督署が保険給付の支給決定を行いました。
 そこで、以下の通り質問します。

一 池袋労働基準監督署が四月二十七日に保険給付の支給の決定をした、不動産関係のIT会社の過労死事案(以下、本件という)については、遺族代理人弁護士が五月十六日に記者会見を行い、ご遺族もコメントを発表していますが、本件について、加藤厚生労働大臣はいつ知りましたか。
二 本件について、池袋労働基準監督署における、支給決定に係る調査の復命日はいつでしたか。
三 池袋労働基準監督署が四月に、過労死について労災保険の支給決定を行った全ての事案について、それぞれ調査の復命日を示して頂くとともに、復命日から保険給付の支給の決定までの期間が、標準的な処理期間に比して適切であるかどうかの見解を示して下さい。
四 一般的に、専門業務型裁量労働制が適用されている労働者について、二十九時間連続して労働しなければならないような業務を任せることは違法ですか、合法ですか。違法であるならば、法律や政省令のどの部分に抵触しますか。
五 一般的に、専門業務型裁量労働制が適用されている労働者について、法定時間外労働が月百八十四時間を超えるような働き方をさせることは違法ですか、合法ですか。違法であるならば、法律や政省令のどの部分に抵触しますか。
六 本件では、過労死された労働者が二十九時間連続して労働していた日があったとの資料もありますが、これが事実であれば、本件が発生した事業場は、法令に違反していますか。違反しているのであれば、法律や政省令のどの部分に抵触し、どのような罰則が適用されますか。また、本件が発生する前に取り締まることができなかったのはなぜですか。
七 本件では、過労死された労働者が月に百八十四時間を超えて時間外労働をしていた月があったとのことですが、このことをもって、本件が発生した事業場は、法令に違反していますか。違反しているのであれば、法律や政省令のどの部分に抵触し、どのような罰則が適用されますか。また、本件が発生する前に取り締まることができなかったのはなぜですか。
八 過労死が考えられる労災保険の申請から支給決定までに要する期間について、標準的には何か月程度ですか。
九 裁量労働制が適用された労働者の死亡案件や、管理監督者の死亡案件で、労災申請後、十一か月が経過しても支給もしくは不支給決定がされていない案件があるとの指摘があります。八に照らして、この十一か月という期間は、平均的な処理期間に比してどのように認識していますか。
十 九の事案について、現場の労働基準監督署では手続きや判断が適正に進められているのに、働き方改革推進法案の審議への影響を考慮して、厚生労働省本省が恣意的に手続き等を遅らせたり、止めたりしているのではないかという指摘もありますが、見解を示して下さい。
十一 報道によれば、厚労省が実施した裁量労働制を導入している事業場を対象にした自主点検の結果、運用に問題があると見られる千以上の事業場に対して、立ち入り調査を行う方針を固めたとされていますが、自主点検の実施状況と、今後の対応方針、立ち入り調査の実施予定を示して下さい。
十二 高度プロフェッショナル制度について、平均年収の三倍を相当程度上回るという年収要件として設定されると想定される千七十五万円で年収を設定し、高度プロフェッショナル制度の適用を受けた労働者が、適用を受ける際に設定した業務目標の八割程度しか達成できなかった場合、使用者が、目標未達成を理由に、千七十五万円を下回る金額を当該労働者に支払うことは、適法ですか。それとも、高度プロフェッショナル制度が適用される労働者は、業務目標の達成状況や勤務状況に関わらず、最低でも、確実に、報酬として千七十五万円の支払いを受けますか。
十三 高度プロフェッショナル制度について、平均年収の三倍を相当程度上回るという年収要件として設定されると想定される千七十五万円で年収を設定し、高度プロフェッショナル制度の適用を受けた労働者が、適用を受ける際に設定した業務目標の五割程度しか達成できなかった場合、使用者が、目標未達成を理由に、千七十五万円を下回る金額を当該労働者に支払うことは、適法ですか。それとも、高度プロフェッショナル制度が適用される労働者は、業務目標の達成状況や勤務状況に関わらず、最低でも、確実に、報酬として千七十五万円の支払いを受けますか。
十四 高度プロフェッショナル制度について、適用労働者が、過重労働などを理由に、本人の希望により、無条件で、使用者との合意で設定した高度プロフェッショナル制度が適用されている期間の途中で、その適用から外れることは可能ですか。また、当該適用労働者が、違約金の支払いや解雇などの不利益を受けないことは法的に保証されますか。
十五 高度プロフェッショナル制度が適用されている期間の途中で、高度プロフェッショナル制度の適用から外れる場合で、適用を受けてから適用を外れる時点までに支払われた報酬が年収要件を満たさない場合、高度プロフェッショナル制度の適用時期に遡って、その適用がなかったものとみなし、法定時間外労働手当を含め、報酬の支払いが行われますか。それとも、高度プロフェッショナル制度の適用が外れた時点から、一般的な労働時間法制が適用され、高度プロフェッショナル制度が適用されていた期間の法定時間外労働の手当ての支払いはされない、ということになりますか。
十六 高度プロフェッショナル制度について、健康管理時間が、一週間当たり四十時間を超えた場合のその超えた時間が月当たり二百時間を超えることは、合法ですか。
十七 高度プロフェッショナル制度について、健康管理時間が、一週間当たり四十時間を超えた場合のその超えた時間が月当たり百時間を超えた労働者に対して行う医師の面接指導の実効性について、面接指導の結果、当該労働者の労働時間を減らすなどの対応を、必ずしなければならないのですか。また、もし何らかの対応をしなかった場合、罰則は適用されますか。
十八 高度プロフェッショナル制度について、使用者が、高度プロフェッショナル制度の適用労働者に係る健康管理時間について、過少に記録していた場合、もしくは、労働基準監督署の調査等に際して、過少に開示等を行った場合に、罰則は適用されますか。
十九 「時間配分や業務遂行の決定に関して使用者が具体的な指示をしないこと」という裁量労働制に係る法文や指針の違反には、罰則が適用されますか。また、当該指針の違反について、指導等を行った件数は過去五年間で何件ですか。

 右質問する。



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