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平成三十年五月三十一日提出
質問第三三二号

日本政府が米国議会戦略態勢委員会に提出したメモに関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




日本政府が米国議会戦略態勢委員会に提出したメモに関する質問主意書


 「米国の戦略態勢に関する米議会諮問委員会での秋葉剛男駐米公使の発言に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質一九六第一九五号)では、「米国側からの要望に応じ、外交ルートを通じて、当時の外務大臣の了解を得た我が国政府の考え方を米国議会戦略態勢委員会に説明したことはある。外交上の個別のやり取りの詳細を明らかにすることは差し控えたいが、我が国の基本的な考え方として、国際社会には、核戦力を含む大規模な軍事力が存在し、また、核兵器を始めとする大量破壊兵器等の拡散といった危険が増大するなど、引き続き不透明・不確実な要素が存在する中で、我が国としては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約を堅持し、その抑止力の下で自国の安全を確保する必要があると考えていることなどについて説明した。外務省として、同委員会と我が国政府関係者との会合の記録は作成しているが、同委員会の会合は対外的に議論を明らかにしない前提で行われているため、同委員会が発表した最終報告書にある以上の詳細についてお答えすることは困難である」(「本答弁書」という。)と示された。
 二〇一八年四月五日のジャパンタイムズ紙は“Japan warned U.S. not to cut nuclear arsenal”(日本は合衆国に核兵器廃絶を警告)として、二〇〇九年二月二十五日にワシントンの日本大使館幹部がU.S. Congressional Commission on U.S. Strategic Posture(米国の戦略態勢に関する米議会諮問委員会)に提出したメモの内容について具体的に報じた。このメモは、「外交ルートを通じて、当時の外務大臣の了解を得た我が国政府の考え方を米国議会戦略態勢委員会に説明した」ものと解され、“It is difficult for us to specify the weapon systems which the United States should maintain or acquire” “But we can list, though not exhaustively, several desired characteristics which the U.S. deterrence capability should have.”(米国が維持、取得すべき兵器システムを日本側が特定することは難しい、しかし、米国の抑止力が持つべき望ましい特性を列挙することならできる)と記載された上で“The memo listed six characteristics”(メモは六つの特性をリストアップした)として、flexible capabilities(さまざまな敵の脅威に対応できる柔軟な能力)、credible capabilities(敵の先制核攻撃にも耐えられる信頼性ある能力)、prompt capabilities(緊急時に対処できる即応能力)、discriminating and selective capabilities(非戦闘員への副次的被害を最小限に抑える選別能力)、stealthy/demonstrable capabilities(ステルス性とデモ性を兼ね備えた能力)、sufficient capabilities(十分な能力)が列挙されていると承知している。
 このメモに関連して疑義があるので、以下質問する。

一 本答弁書でいう「米国側からの要望に応じ、外交ルートを通じて、当時の外務大臣の了解を得た我が国政府の考え方を米国議会戦略態勢委員会に説明したことはある」とは、口頭説明とあわせてメモを提出したとの理解で良いか。政府の見解如何。
二 政府は、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約を堅持し、その抑止力の下で自国の安全を確保する」ために、米国の抑止力が持つべき望ましい特性として、flexible capabilities、credible capabilities、prompt capabilities、discriminating and selective capabilities、stealthy/demonstrable capabilities、sufficient capabilitiesが特に重要であると考えているのか。政府の見解如何。
三 政府は、二〇〇九年二月二十五日にワシントンの日本大使館幹部がU.S. Congressional Commission on U.S. Strategic Postureに提出した、米国の抑止力が持つべき望ましい特性を六項目列挙したメモについて、その存在を把握しているのか。政府の見解如何。
四 三に関連して、このメモをU.S. Congressional Commission on U.S. Strategic Postureに提出し、説明したのは、当時、ワシントンの日本大使館に所属していた秋葉剛男氏であるとの理解でよいか。
五 二〇〇九年二月二十五日にワシントンの日本大使館幹部がU.S. Congressional Commission on U.S.Strategic Postureに提出した米国の抑止力が持つべき望ましい特性を六項目列挙したメモは、トランプ大統領の下で新たに策定されたNuclear Posture Review(核態勢の見直し)に大きな影響を及ぼしていると共同通信編集委員の太田昌克氏は指摘している。これは、本答弁書でいう「米国側からの要望に応じ、外交ルートを通じて、当時の外務大臣の了解を得た我が国政府の考え方を米国議会戦略態勢委員会に説明した」ことがその後トランプ政権内で政策化されたことを意味するのではないか。他方「外交上の個別のやり取りの詳細を明らかにすることは差し控え」ることも国家の安全保障上妥当なことと思われるが、どのような意思決定過程を経て「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約を堅持し、その抑止力の下で自国の安全を確保」されているかは、わが国の国益を左右し、多くの国民の生命、財産に多大な影響を及ぼすことは論をまたない。このため、このような意思決定過程や外交ルートを用いた説明についてはどのような議論を行ったのかを後世の日本国民が納得し、検証することができるように、詳細な交渉過程の記録を残し、一定の期間後には公開すべきであると考えるが、政府の見解如何。
六 日本政府が米国の抑止力が持つべき望ましい特性についてどのように考えるのかは、国家の安全保障上の枢要な問題であり、政府内の総理大臣や外務大臣等の限られた職責にある者のみならず国民の代表である国会議員にも説明がなされるべきであると考える。他方、国家の安全保障上の機微に触れる問題であるため、公開の場で説明が行われることはなじまず、例えば衆議院外務委員会で秘密会を開き、そこで外務大臣が国会の各党の代表者に説明を行うべきだと考える。もちろんこうしたことは、国会が決めるべきことであるが、国会の求めに応じて政府は積極的に説明すべきではないのか。政府の見解如何。

 右質問する。



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