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平成三十年六月二十七日提出
質問第四一一号

「新三要件の従前の憲法解釈との論理的整合性等について」に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




「新三要件の従前の憲法解釈との論理的整合性等について」に関する質問主意書


 平成二十七年六月九日、内閣官房および内閣法制局は、「新三要件の従前の憲法解釈との論理的整合性等について」(「本見解」という。)を公表し、「新三要件は、従前の憲法解釈との論理的整合性等が十分に保たれている」との見解を明らかにした。新三要件とは、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)で示された「武力の行使」の三要件(「新三要件」という。)である。
 本見解は、当時審議中であった安保関連法案に関して、同月四日の衆議院憲法審査会で与野党から参考人として招かれた三名の憲法学者全員が集団的自衛権行使を容認する同法案は違憲であると断じたことを受けて公表されたものと承知している。
 従来の集団的自衛権の行使に関する政府見解は、昭和四十七年十月十四日に参議院決算委員会に提出された内閣法制局の「集団的自衛権と憲法との関係」(「四七政府見解」という。)であった。四七政府見解は、「この見解が出されたときの議事録等を精査していきますと、当時の水口宏三さんが質問をしているやりとりの中で出てきた見解」で、「自衛権には個別的も集団的もないんじゃないか、個別的もだめじゃないかという質問に対して、いや、個別的は自衛権の中に含まれて大丈夫なんだ、だから集団的自衛権はだめなんだという文脈で出てきている」(平成二十七年六月十日の衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会での辻元清美議員の発言)と承知している。
 これらを踏まえ、以下質問する。

一 本見解の位置付けはどのようなものなのか。本見解は閣議決定されていないが、政府の公式見解としての性格を持ち、現時点でも法的拘束力を持つものであるのか。本見解の性質如何。
二 本見解は平成二十七年六月四日の衆議院憲法審査会で与野党から参考人として招かれた三名の憲法学者全員が集団的自衛権行使を容認する同法案は違憲であると断じたことを受けて公表されたものとの理解でよいか。政府の見解如何。
三 横畠法制局長官は、「憲法上は、個別的自衛権あるいは集団的自衛権という概念はないということを申し上げたものでございます。国際法上の概念として、つまり違法性が阻却される場合の要件として、個別的自衛権、つまり自国に対する武力攻撃が発生した場合の自衛権、それから集団的自衛権、密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合の自衛権という概念整理がされているということで、憲法自身にそのような区分があるわけではない。これまでの憲法解釈において、憲法九条のもとで個別的自衛権の行使のみが許される」(平成二十七年六月十日の衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会)と発言しているが、吉國法制局長官は、「自衛権というものはいわば一つの権利、所有権というような権利がございまして、その自衛権の発動の形態としてインディビデュアルに発動する場合とコレクティブに発動する場合とあるという観念じゃないかと思います。憲法第九条の説明のしかたとして自衛権、自衛権と言っておりましたのは、いわば狭い意味のインディビルデュアル・セルフディフェンス・ライトというようなものを頭に置いて説明をしてきた」(昭和四十七年九月十四日の参議院決算委員会)と発言している。吉國法制局長官の発言では憲法上個別的自衛権を想定しているものの、横畠法制局長官の発言では「憲法上は、個別的自衛権あるいは集団的自衛権という概念はない」とされているが、吉國法制局長官は、個別的自衛権と集団的自衛権について認めたうえで、四七政府見解の前提となる議論で「憲法第九条の説明」では個別的自衛権を念頭においている旨の発言している。両者の答弁は明らかに異なるが、どの時点の答弁で政府の見解は修正されたのか。平成二十七年六月十日の横畠法制局長官の答弁がそれにあたるのか。政府の見解如何。
四 本見解に関して、横畠法制局長官は、「安全保障環境の変化によってどのような事態が起こり得るのか、あるいは我が国としてどのような対処をしなければならないのか、どのような備えを用意しておかなければいけないのかというのは、まさに政策問題でございまして、この憲法上の議論の前提」と指摘した上で、「法律論」として、「その可能性、蓋然性は理解した上での検討を行った」(平成二十七年六月十日の衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会)と発言しているが、新三要件ならびに本見解の政府内における議論は政策問題ではなく法律論であるという理解でよいか。
五 四に関連して、横畠法制局長官の見解は、吉國法制局長官の「政策論として申し上げているわけではなくて、第九条の解釈として自衛のため必要な措置をとり得るという説明のしかた」「わが国に対する侵略が発生して初めて自衛のための措置をとり得るのだということからいたしまして、集団的自衛のための行動はとれないと、これは私ども政治論として申し上げているわけでなくて、憲法第九条の法律的な憲法的な解釈として考え」(昭和四十七年九月十四日の参議院決算委員会)ているとの見解を踏襲しているとの理解でよいか。
六 平成二十七年六月十日の衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会において、四七政府見解の一部を修正し新三要件を決定した理由について、「変えた根拠は安全保障環境の変化ということですか」との問いに対して横畠法制局長官は「端的に申し上げれば、そのとおり」と発言しているが、「安全保障環境の変化」により政府見解を変更することは、「憲法上の議論の前提」を踏まえた上での「法律論」ではなく、政府がどのような前提で安全保障政策を立案するのかという「政策論」ではないのか。政府の見解如何。

 右質問する。



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