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令和二年一月二十四日提出
質問第二三号

保釈中及び実刑確定後の逃亡についての対策に関する質問主意書

提出者  丸山穂高




保釈中及び実刑確定後の逃亡についての対策に関する質問主意書


 保釈とは、裁判所が、保釈金の納付等を条件として、勾留の執行を停止し、被告人を現実の拘束状態から解く制度である。諸外国においても、一定の条件を設定した保釈が制度化されており、適切に運用されている限りにおいて問題はないと言える。
 しかしながら、カルロス・ゴーン被告人がプライベートジェットの出国手続を悪用して保釈中に海外逃亡したことが、令和元年十二月三十一日に明らかとなった。これ以外にも、保釈中の逃亡や保釈中に別の事件を起こして起訴される事例、実刑確定後の収容において検察事務官の面前で逃亡されるといった、保釈制度の信頼を失う事実が明らかとなっている。
 このような事態を受け、令和二年一月二十一日、森まさこ法相は記者会見において保釈中の被告人の逃亡を防止するための刑事法の整備について、二月に法制審議会へ諮問すると言及した。
 以上を踏まえ、次の事項について質問する。

一 令和二年一月十九日、森まさこ法相は関西国際空港のプライベートジェット専用施設を視察し、現在は不法な出国ができない事を確認したと聞く。プライベートジェットの専用施設がある羽田、成田、中部、関西の四空港の保安検査は、同年一月六日から義務づけられたとのことだが、どのような法的根拠により対策を指示し、どのように運用を変更させたのか。また、空港の運営事業体が変更されても強制力を持って継続されるものか、詳細を伺いたい。
二 法制審議会においては、GPS発信機を装着させて保釈中の被告人の逃亡を防止する制度も含めて検討が行われる見込みだと聞く。複数の新聞報道によると、海外ではGPS発信機を外しての国外逃亡の事例もあるとのことである。また、諸外国では、GPS発信機の装着に加え、制限住所に設置した電子機器による所在確認の事例もある。有識者からは、日本でもGPSデータが得られない事態を念頭に置いた議論が必要だとの見解もあるが、検討の方向性について政府の見解を問う。
三 被告人が保釈後に逃亡や犯罪を重ねた事例を踏まえれば、裁判所の保釈の判断において、検討するべき要素の見落としがあったと考えられる。検察官が意見を付し、準抗告や抗告を受けた際の判断基準については見直しが必要ではないか、政府の見解を問う。
四 保釈制度は現在も運用されていることから、問題点があるならば、速やかに刑法等の改正を行うことが必要と考えるが、いつ頃までに法制審議会の答申を得ることを想定しているか。
五 現在の実刑確定後の収容においては、検察には逃亡を確実に防ぐ装備や人員が不完全にしか確保されていないことが、大阪・横浜地方検察庁の報告書より明らかとなり、収容体制が強化されると聞く。しかしながら、拳銃や耐刃防護衣を装備した警察官が収容行為から施設まで同行しなければ、逃亡を確実に防ぐことは不可能であり、事案により警察に協力を求める運用から、原則として警察官が同行する運用とするべきではないか、政府の見解を問う。
六 令和二年一月五日、森まさこ法相は保釈中の被告人の逃亡が正当化される余地はないとコメントを発表した。だが、海外メディアからは、長期間の身柄拘束は人質司法、政治的迫害、逃亡する正当な権利等、日本の刑事司法制度に対する疑問や批判が見られた。法制審議会への諮問事項には、諸外国の身柄拘束期間や拘束状況と比較した見直しが含まれているか伺いたい。

 右質問する。

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