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令和二年二月五日提出
質問第三五号

除去土壌の再生利用の基準に関する質問主意書

提出者  阿部知子




除去土壌の再生利用の基準に関する質問主意書


 環境省は二月七日までの予定で、いわゆる放射性物質汚染対処特措法(以後、特措法)第四十一条第一項に基づく環境省令として、特措法の施行規則の一部改正省令(案)と環境大臣が定める者の告示(案)(以後、環境省令案)に関する意見募集を行政手続法に基づいて行っている。
 この環境省令案について、環境省環境再生・資源循環局環境再生施設整備担当参事官室から説明を受けたが、数々の疑問や手続上の不備があるため、以下、質問する。

一 そもそも放射性物質で汚染され、規制されていたからこそ除去した土壌を、資材として再生利用することは不適切だと思うがどうか。 
二 特措法第四十一条第一項は、「除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を行う者は、環境省令で定める基準に従い、当該除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を行わなければならない」と定められており、この条文には「再生利用」に当たる言葉はない。
 ところが環境省令案では、「除去土壌の再生利用の基準」を定めるとしている。
 特措法にはない「再生利用」について法改正を経ることなく、条文を拡大解釈して、環境省令でその基準を定めることは問題ではないか。
三 環境省令案には、「除去土壌の再生利用の基準」と書かれているにもかかわらず、再生利用にあたっての用途先、遮蔽条件、濃度限度、必要な覆土の厚さなど、数値基準がまったく書かれていない。これらの記載がないままで、人々の健康を守る拘束力をどう持たせられるのか。
四 環境省の担当者は、「除去土壌の再生利用の基準」には書かれていない詳細を「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」で議論された「福島県内における除染等の措置に伴い生じた土壌の再生利用の手引き(案)」に落とし込んでいるという。しかし、「福島県内における除染等の措置に伴い生じた土壌の再生利用の手引き(案)」に法的拘束力はないのではないか。
五 環境省令案では、除去土壌の再生利用については、「再生資材化」を行った除去土壌を用いることとしている。資材であるならば、有償となると考えるがどうか。無償なら、それは廃棄物であり、資材とはみなせないのではないか。さらには逆有償であってはならないと考えるがどうか。
六 いわゆる原子炉等規制法は、原子力事業者に、放射性物質で汚染されたコンクリートや金属はセシウム一三四と一三七の総計で百ベクレル/キログラム以下にならなければ敷地外に出して再生利用させることを認めていない。また、濃度を原子力規制委員会が確認できるクリアランス制度が構築されている。
 一方、環境省は「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」での議論をもとに、八千ベクレル/キログラム以下の除去土壌を、遮蔽および飛散・流出の防止を行った上で、道路・鉄道・海岸防災林・防潮堤の盛土材、廃棄物処分場の最終覆土材、中間覆土材、土地造成・水面埋立の埋め立て材、農地の嵩上げ材として、全国の公共事業等で再生利用できる戦略を立て、その推進を図ろうとしてきた。
 この間、原子炉等規制法に基づくクリアランス制度と、戦略に基づく土壌の再生利用レベルはダブルスタンダードではないかとの批判に対し、環境省は、除去土壌の再生利用は「管理された」状態で行うので、二つは別物であり、ダブルスタンダードには当たらないとの考え方を示してきた。
 改めて問うが、原子炉等規制法のクリアランス制度と、環境省令案にはダブルスタンダードがあるのではないか。
七 特措法の附則第六条は「政府は、放射性物質により汚染された廃棄物、土壌等に関する規制の在り方その他の放射性物質に関する法制度の在り方について抜本的な見直しを含め検討を行い、その結果に基づき、法制の整備その他の所要の措置を講ずるものとする」としている。いつになったら抜本的な見直しを行うのか。法改正によりダブルスタンダードを解消すべきではないか。
八 環境省令案にある「除去土壌の再生利用の基準」には、用途、遮蔽条件、濃度限度、必要な覆土の厚さなどの記載がない。何を根拠に誰が、基準を守っていると判断するのか。環境省の担当者が説明するように環境省令案を落とし込んでいる「福島県内における除染等の措置に伴い生じた土壌の再生利用の手引き(案)」にある用途、遮蔽条件、濃度限度、必要な覆土の厚さに反した再生利用が判明した場合、法令違反を問うことはどのように可能なのか。また、誰が法令違反の責任を問われるか。
九 環境省令案では、「次に掲げる事項の記録及び除去土壌の再生利用を行った位置を示す図面を作成し、当該再生利用を行った場所の管理が終了するまでの間、保存すること」とある。
 1 この記録を環境省は一元管理するのか。
 2 「管理が終了するまでの間、保存すること」とは、いつまでか。具体的に明らかにされたい。
 3 たとえば八千ベクレル/キログラムの除去土壌は、原子炉等規制法のクリアランスレベルである百ベクレル/キログラム(セシウム一三四と一三七の総計)にまで減衰するためには何年必要なのか。
 4 濃度に応じた管理期間を「除去土壌の再生利用の基準」に書かないのは何故か。 
 5 「次に掲げる事項」の記録を作成すべき者が、事実に反する虚偽記載をした場合や、実際の再生利用状況と記録が食い違っていたりする場合に、罰則はあるか。
十 行政手続法第三十九条には「命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間を定めて広く一般の意見を求めなければならない」とある。
 1 環境省の担当者によれば、環境省令案と「福島県内における除染等の措置に伴い生じた土壌の再生利用の手引き(案)」は、関係していることになる。意見募集の際に、関連する資料として手引き(案)を公示しなかったのは、行政手続法違反が疑われるため、手続をやり直すべきではないか。
 2 意見募集をする際には、「広く一般の意見を求めなければならない」とされているが、環境省は、広く意見を求めるためにどのようなことを行ったのか。

 右質問する。

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