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令和二年二月二十八日提出
質問第八九号

キャッシュレス決済による消費者問題に関する質問主意書

提出者  丸山穂高




キャッシュレス決済による消費者問題に関する質問主意書


 令和元年十月一日の消費税率引上げに伴う需要平準化対策として、キャッシュレス・ポイント還元事業が開始された。中小・小規模事業者が五%のポイント還元、本部が中小・小規模事業者等に該当しないフランチャイズチェーンが二%のポイント還元と区分けされ、令和二年二月二十一日時点の登録加盟店数は約百二万店となるとともに、令和元年十月一日から十二月三十日までの対象決済金額は約三・七兆円、還元額は約千五百億円に達している。一般社団法人キャッシュレス推進協議会の調査によると、約四割の消費者が還元事業をきっかけにキャッシュレスを始めとした支払手段を増やしたとされ、通信販売や店頭販売等の還元事業参加店舗の約三十九%は売上向上に効果があったとされる。
 対象決済金額約三・七兆円に占める各決済手段の内訳は、クレジットカードが約六十三%、QRコード(二次元バーコード)が約七%、その他電子マネー等が約三十%であった。後払い式のクレジットカードについては、最も普及している一方で、割賦販売法の適用範囲に制限があるなど、課題も指摘されている。
 以上を踏まえ、次の事項について質問する。

一 クレジットカード決済のマンスリークリア方式(以下「翌月一括払」という。)について、
 1 翌月一括払は割賦販売法の支払い停止の抗弁権が適用されないことから、消費者は問題が発生した場合、契約先である販売店と直接交渉して解決を図らねばならない。クレジットカード会社の補償制度(いわゆるチャージバック制度)は署名偽造や商品引渡し不履行など外形的に判定しやすい事由が中心であり、何らか商品が届いていれば救済されない場合があることから、対応を拒否する販売店や、海外事業者で言葉が通じない場合や、音信不通の場合、解決が困難である。翌月一括払において割賦販売法の支払い停止の抗弁権が適用されないことは問題ではないか。
 2 翌月一括払での契約を強く勧めながらその後倒産する事例が、旅行業者やレンタル事業者で相次いだ。支払い停止の抗弁権がないことを逆手に取った行為が存在することは、法の不備と言えないか。
 3 翌月一括払契約後、消費者は割賦販売法の適用となるリボルビング払等への変更が可能である。割賦販売法は翌月一括払とその他の支払方法を区分し適用を分けているが、いずれ割賦販売法の対象となる可能性があるのであれば、翌月一括払を割賦販売法の適用外とする根拠に乏しいのではないか。翌月一括払も割賦販売法の適用対象とするべきではないか。
二 通信販売はいわゆる特定商取引法に定められたクーリング・オフ制度が適用されない。購入者が販売者に対して能動的にアクセスしていることがクーリング・オフ制度を適用外とする理由とされるが、購入の検討に必要な情報を十分に提供しないまま販売する業者も存在し、その結果として、契約解除や返品の制限による通信販売に関する消費者問題が多発している。実態として業者が一方的に有利な状況にあることから、通信販売もクーリング・オフ制度の適用対象に加えるべきではないか。
三 参議院議員浜田聡君提出「マスクの買い占め・転売行為に対し、物価統制令、国民生活安定緊急措置法、買い占め防止法等を活用することに関する質問主意書」に対する答弁書(内閣参質二〇一第三八号)に関し、
 1 EC(電子商取引)サイトにおいて高額でマスクや手指消毒用アルコールを販売している業者の中には、消費増税に伴うキャッシュレス・ポイント還元事業の登録加盟店も存在する。通常の販売価格の二十倍から五十倍以上の価格に設定し、あるいは販売価格を通常価格としつつ送料を非常に高額に設定する等、抜け道を用いた悪質な事例も多くみられる。キャッシュレス・ポイント還元事業の目的・趣旨から鑑みて適切でないこうした商行為を行う事業者が還元事業の登録加盟店であることは、こうした商行為自体に行政のお墨付きがあるととられかねない。こうした事態を政府としてどのようにとらえているか。加盟店が不正又は不当な取引を行ったと判断される場合には、加盟店登録を取り消すことはありえるのか。
 2 登録加盟店が高額でマスクや手指消毒用アルコールを販売するなど、キャッシュレス・ポイント還元事業の趣旨から鑑みて適切ではない取引が行われた情報を把握しつつ、その取締りに対する対応が不十分なキャッシュレス決済事業者については、その事業者に対してもキャッシュレス決済事業者登録の取消しや補助の対象外とするなど何らかのペナルティを科すべきではないか。
 3 マスクが非常に高い価格で転売されていると疑われる事例が見受けられる中、消費者庁が令和二年二月六日、デジタル・プラットフォーマーに対して、利用者に社会通念上適切な範囲での出品・購入を求めるよう、文書による要請を行った後も、いまだに非常に高い価格でマスクが販売されている。消費者庁による要請が効果を上げていない中、今後、引き続きマスクの品薄状態が解消せず、非常に高い価格でマスクが販売されている場合においても、国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)の適用は、一切必要ないという考えか。
 4 政府は、浜田聡君提出の質問に対する答弁書において「現在の全般的な物価動向からみて、国民生活安定緊急措置法第三条第一項に規定する事態とまでは認められない現段階においては、同項の規定によりマスクを特に価格の安定を図るべき物資として指定する状況ではないと考えている」と答弁しているが、どのような状況になったら、同法第三条第一項の事態と判断して、マスクを特に価格の安定を図るべき物資として指定するのか。風邪や感染症の疑いのある者など国民の多くがマスクを求めて、高価格で購入せざるを得ない状況の今こそ、特に価格の安定を図るべき物資として指定し、適切な指示・命令を行うべきではないか。

 右質問する。

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