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令和二年三月二十七日提出
質問第一四二号

日本の通信傍受対策の強化に関する質問主意書

提出者  丸山穂高




日本の通信傍受対策の強化に関する質問主意書


 通信傍受対策の強化は国家レベルの課題であると考える。関連して、以下質問する。

一 米紙ワシントン・ポスト(令和二年二月十一日)は、アメリカ中央情報局(CIA)が、千九百六十年代以降、暗号化装置を販売してきたスイスの「クリプトAG社」を秘密裏に所有し、世界百二十カ国の外交公電などを解読、大量の機密情報を収集していたことを報じた。
 政府はこの報道を把握しているか。また、この「クリプトAG社」の暗号化装置を日本政府機関が導入したことはあるか。ある場合、報じられているCIAが機密情報を収集していたとされる時期に含まれる使用期間はあったか。回答されたい。
二 盗聴やハッキングが理論上不可能とされている量子暗号を用いた通信は、日本政府も中央省庁のデータのやり取りに採用する方針を決め、本年一月には「量子技術イノベーション戦略」(以下、「戦略」という。)を策定した。
 今後、政府のどのような分野において量子暗号通信を導入していく方針なのか、各省庁等において具体的な導入方針を定めたものがあれば、その内容について説明されたい。また、政府が導入するに当たり、外国企業の量子暗号通信の技術も調達対象となるのか。なるのであれば、機密保護の観点からの措置が必要と考えるが、政府側が留意すべき措置及び相手側に守らせる措置等について、どのようなものを考えているか。回答されたい。
三 株式会社東芝は、量子暗号通信を令和二年度に実用化すると正式に発表し、事実上の業界標準(デファクト・スタンダード)を目指しており、本年一月には、東北大学東北メディカル・メガバンク機構と共同で、ヒトの全ゲノム配列データの伝送に成功したと発表した。また、日本電気株式会社も国内において、通信に量子暗号を用いる研究を進めており、昨年十月、国立研究開発法人情報通信研究機構と共同で、生体認証データの、高秘匿・高可用性な伝送・保管に成功したことを発表している。
 「戦略」においては、量子技術の発展において諸外国に大きな後れを取りかねないという懸念が示され、国を挙げて総合的かつ戦略的な取組を展開していくことが謳われている。
 1 政府の、国内民間企業の量子暗号通信技術の開発を促進するための支援について
  ア 本年二月二十五日の衆議院予算委員会第二分科会において、大野敬太郎分科員の質疑の中で、巻口政府参考人が「今般の予算案」における措置として紹介した、「研究開発予算として」計上した「十七億円」の使途について、具体的に説明されたい。また、同じ答弁中にある「情報通信研究機構の運営費交付金による研究開発」、「産学官の総力を挙げた研究開発」、「国際標準化への取組」及び「政府における先行導入」のそれぞれの内容について、具体的に説明されたい。
  イ アと同じ質疑の中で、同政府参考人は、「令和元年度の補正予算において、量子セキュリティー領域の拠点形成を図るべく七十九億円の予算を計上」して、「国際的な研究開発ハブを構築する」こと及び「他省庁と連携しつつ、政府機関において民間製品の実装実験を行う」ことを紹介している。この二つの施策について、具体的な内容を説明されたい。
  ウ アでは令和二年度予算で十七億円、イでは令和元年度補正予算で七十九億円と、紹介されている金額だけ見ると総予算より補正予算の方が多くなっているが、このことに関する評価について説明されたい。また、その評価に基づく今後の政府の施策として考えていることがあれば、ア及びイと同様に具体的に説明されたい。
 2 日本企業が開発した安全保障上機微な量子暗号通信技術の国外への流出防止のために、どのような措置をとることを考えているか。回答されたい。例えば、1で紹介した質疑の中で触れられている「安全保障貿易管理の徹底」のために行う措置について、具体的に説明されたい。
四 宇宙空間を利用した量子暗号通信については、機密保持の観点から軍事大国間の競争が激化しており、日本政府も令和九年度までの実用化を目指していることが報じられている。
 衛星を利用した量子暗号通信システムが確立されれば、相当の距離の通信も可能となるとされている。政府は、量子暗号通信の長距離化がもたらす利点についてどのように認識しているか。また、同盟国である米国との情報交換等への活用が考えられるが、具体的に、どのような相手と、どのような内容の通信を行うことを想定しているのか。回答されたい。

 右質問する。

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