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令和二年五月二十八日提出
質問第二一三号

ALPS処理水の濃度に考慮されていない核種があることに関する質問主意書

提出者  阿部知子




ALPS処理水の濃度に考慮されていない核種があることに関する質問主意書


 経産省は東京電力株式会社福島第一原子力発電所の多核種除去設備等処理水(以後、ALPS処理水)に、「関係者の御意見を伺う場」(以後、御意見を伺う場)を四月から五月に計三回開催し、同省が選んだ関係者が出席して意見を述べた一方、東京電力は出席せず、双方向の質疑は行われていない。
 一方、原発ゼロの会が、経産省、原子力規制庁、東京電力にヒアリング(以下、ヒアリング)を行い、双方向で質疑を繰り返した結果、判明した点がある。
 そこで、判明点の確認を兼ねて、以下尋ねる。

一 二〇一九年六月十七日の原子力規制委員会特定原子力施設監視・評価検討会で東京電力が示した「多核種除去設備等処理水の全ベータ値と主要七核種合計値とのかい離調査結果について」で、東京電力は、全ベータ値と「主要七核種」とする核種の合計値には乖離があり、乖離の主要因は炭素十四(C−14)とテクネシウム九十九であるという結果を明らかにし、@ALPA処理水の処分にあたり、環境へ放出する場合は処分前に「告示濃度限度比総和」(以後、告示比総和)一未満になるように二次処理を実施する、A今後、告示比総和にC−14の寄与も考慮する旨を含めた「考察・まとめ」を発表した。
 東京電力が「考察・まとめ」で示した@Aの考え方が、今後もALPS処理水の取扱いにおいて維持されると原子力規制庁が認識していることがヒアリングで確認されたが、間違いはないか。
二 東京電力が二〇二〇年三月二十四日に公表した「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告書を受けた当社の検討素案」(以後、素案)で示した告示比総和には六十二核種が考慮されているが、いまだにC−14は考慮されていないことがヒアリングでは確認された。
 1 東京電力は全タンクを測定し、告示比総和にC−14を考慮するとの原子力規制庁の認識も確認されたが、間違いはないか。
 2 告示比総和にはトリチウムも考慮にいれるべきではないか。
 3 経産省による御意見を伺う場の開催や「書面による御意見の募集」は、東京電力が告示比総和にトリチウムとC−14の寄与を考慮した後に、改めて、経産省が選ぶ関係者に限らず、公募も含めて、双方向で質疑ができる形で行うべきではないか。
三 東京電力株式会社福島第一原子力発電所は、いわゆる原子炉等規制法第六十四条の二に基づく「特定原子力施設」に指定された。
 原子力規制委員会は、二〇一二年十一月七日に決定した「特定原子力施設への指定に際し東京電力株式会社福島第一原子力発電所に対して求める措置を講ずべき事項について」(以後、原子力委員会決定)で、東京電力に対して、瓦礫や汚染水等による敷地境界における実効線量を、二〇一三年三月までに年一ミリシーベルト未満とすることを求めた。
 1 東京電力は三年遅れで二〇一六年三月にようやく敷地境界における実効線量年一ミリシーベルト未満(計年〇・九六ミリシーベルト)を達成した。三年遅れとなった理由はなんだったか、政府の把握するところを明らかにされたい。
 2 敷地内には汚染源が複数あるため、東京電力では、実効線量年一ミリシーベルト未満の内訳は、液体廃棄物の排水に起因する実効線量を年〇・二二ミリシーベルト、気体廃棄物の放出に起因する実効線量を年〇・〇三ミリシーベルト、汚染水タンクに起因する直接線・スカイシャインを年〇・二一ミリシーベルト、タンク以外に起因する直接線・スカイシャイン線を年〇・四四ミリシーベルト、構内散水に起因する直接線・スカイシャイン線を年〇・〇六六ミリシーベルトとした。
  ヒアリングにおいては、原子力規制庁も、液体廃棄物の排水に起因する実効線量の内訳は年〇・二二ミリシーベルトであると認識していることが確認されたが、間違いはないか。また政府の把握する液体廃棄物以外に起因する実効線量の最新の内訳も明らかにされたい。
 3 素案には、放出前にトリチウム以外の核種が告示比総和一未満であることを確認する旨が書かれている。しかし、原子力委員会決定に基づけば、告示比総和一未満であるだけではなく、かつ同時に、液体廃棄物の排水に起因する実効線量の内訳は年〇・二二ミリシーベルト以内でなければならない。この考え方を原子力規制庁が維持していることも、ヒアリングでは確認されたが、間違いはないか。
 4 原子力委員会決定に基づいて定められている敷地境界における実効線量年一ミリシーベルト未満のうち、液体廃棄物由来の実効線量を年〇・二二ミリシーベルト以内に抑えるためには、素案にあるように海水中のトリチウムの告示濃度限度が水一リットル中六万ベクレルであるところ、運用基準は地下水バイパスとサブドレンを合わせて水一リットル中千五百ベクレルである。
  地下水バイパスとサブドレンに加えてALPS処理水を液体廃棄物として処理する場合も、敷地境界における実効線量年一ミリシーベルト未満を超えないために、トリチウムの運用目標である一リットル中千五百ベクレルに変化はないと考えるがどうか。

 右質問する。

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