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令和二年六月十一日提出
質問第二五〇号

国勢調査における同性パートナーの取扱いに関する質問主意書

提出者  源馬謙太郎




国勢調査における同性パートナーの取扱いに関する質問主意書


 国勢調査は、統計法に定める基幹統計調査として、同法第五条第二項の規定に基づき実施する人及び世帯に関する全数調査である。
 国勢調査が有する役割の一つとして、令和二年国勢調査実施計画では「社会経済の発展を支える情報基盤」であり、「国民、企業、団体等が、我が国の現状を正しく理解し利用するための基本的な統計情報を提供するものであり、社会経済の発展を支える情報基盤としての役割を担うもの」とされている。また同計画では、国勢調査は「国内の人口・世帯の実態を把握し、各種行政施策その他の基礎資料を得ることを目的とする」とされている。
 この国勢調査に関し、二〇一〇年調査の際に、「生計を一にする同性カップル」が「ありのままの姿」、すなわち、世帯主と世帯員の一人が同性で続き柄が配偶者であると回答しても誤記として「修正」され、別世帯として扱われるという問題が、実施段階でクローズアップされた。これを受けて、二〇二〇年調査に先立つ有識者会議等において、同性パートナーに対する国勢調査での調査・集計の在り方等が議論、検討された跡は見られるものの特段の対応はとられていないと承知している。
 これらを踏まえ、以下質問する。

一 日本国憲法第二十四条第一項には「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」すること、同条第二項には「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」ことが規定されている。
 1 同性婚を認める立法は憲法第二十四条第一項に反するのか、またそれにより無効か。また同性による婚姻届が受理された場合、当該婚姻は憲法第二十四条第一項に反するのか、またそれにより無効か。
 2 同条第二項の趣旨からすれば同性婚が認められる余地があるとする考え方もあるが、どのように考えるか。
二 国勢調査における記入方法は、世帯の一人(世帯主)を取り上げ、残りの全員について、性別と世帯主との続き柄を回答する形式となっている。世帯とは、総務省統計局「国勢調査の基本に関するQ&A(回答)」で、「一般の家庭のように、住居と生計を共にしている人々の集まりを一つの世帯」とするとされている。
 調査票の記載上、世帯主と配偶者が同性であった場合には、その回答は調査票・オンライン回答のどちらも受理されるが、集計に際しては二人目の続き柄を「配偶者」から「他の親族」に置き換えて集計処理がなされていると承知している。
 1 「一般の家庭」とはどのような家庭か。
 2 前述の集計処理の事実関係について間違いはないか。このような処理を行う理由は何か。
 3 前述の集計処理は国勢調査の目的と矛盾しないか。同性パートナー世帯は「我が国の現状」では実態がない、あるいは把握する必要がないと考えているのか。
三 二〇二〇年国勢調査における調査事項の検討では『現状の調査の「世帯主との続き柄」に同性パートナーの選択肢がないことで、同性パートナー世帯を特定することができていない。同性パートナー世帯の実数を把握する必要があるのではないか。』という課題に対し、「国勢調査に関する国連や欧州経済委員会の勧告によると、結婚については個々の国の法律と慣習を踏まえて、国勢調査に明確に設定されることが重要であるとされている。日本においては、これらを踏まえて、異性間の婚姻状況について調査・集計を行っているところ。また、G七構成国での直近の国勢調査では、法制度が整備されているイギリス及びカナダ以外は、同性パートナーに関する選択肢がないのが現状。このため、同性パートナーに関する法制度が整備されていない我が国においては、法制度に先んじて、国勢調査に同性パートナーに関する選択肢を設けることは、直ちには困難であると考えている。」との結論となっている。
 1 そもそも日本は欧州経済委員会に加盟していないのになぜ勧告を斟酌する必要があるのか。また、国連や欧州経済委員会の勧告は必ずしも法律の整備を前提としていないと考えるか、いかがか。日本と同様に国連加盟、欧州経済委員会非加盟のオーストラリアでは同性婚が法制化される二〇一七年より前の二〇一六年国勢調査データから、非婚状態の同性パートナーについて実態を報告しているのではないか。
 2 第一回の国勢調査である一九二〇年調査から内縁の配偶者を「配偶者」の選択肢に加えて集計しているが、我が国で初めて内縁の配偶者への支援が法制化されたのは一九二三年改正の工場法第十五条によるものと承知しているが、間違いないか。その上で、一九二三年以前には法制度上定義のなかったものを社会的通念や実態に従って国勢調査の一選択肢に加えているが、前述の結論との整合性をどのように考えるか。
 3 本年六月一日時点で五十を超える自治体が同性パートナーを認証するパートナーシップ制度を実施していると承知しているが、法制度に先んじて、社会的通念や実態に従って「同性パートナー」を続き柄の選択肢に設けることができるのではないか。それとも社会的通念や実態がない、あるいは不十分だと考えているのか。そうであれば、具体的にどのような事実があれば社会的通念や実態がある、あるいは十分だと考えるのか。
 4 前項3で提案したような「同性パートナー」選択肢を設けた場合、把握される数値が正確性を欠くとの意見が国勢調査有識者会議で主張されたと承知しているが、前項2の一九二〇年における内縁の配偶者を加えた「配偶者」合計の集計数値と比べて、より正確性を欠くことになるのか。
四 本年二月二十五日衆議院予算委員会第二分科会において、同性同士の配偶者という結果が出た場合は、その元データはとっておいて何らか活用するということも今回を機にぜひ検討していただきたい、と質問したところ、高市総務大臣から「データの保存とか活用につきましては」「利用者のニーズですとか有識者の御意見も伺いながら検討させていただかなければいけない課題」であるとの答弁があった。
 1 同委員会以後、有識者への諮問や何らかの検討が行われたのか。
 2 他の記載から同性パートナー世帯であることが明らかな結果やデータについて、その保存や活用の重要性や必要性についてどのように考えるか。

 右質問する。

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