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令和二年六月十二日提出
質問第二六八号

二〇二〇年六月から施行されたハラスメント指針の地方公務への適用に関する質問主意書

提出者  西村智奈美




二〇二〇年六月から施行されたハラスメント指針の地方公務への適用に関する質問主意書


 いわゆる労働施策総合推進法(以下「民間法制」という)が改正され、ハラスメント指針が今年六月から施行となった。これに関して、この間、総務省は二回通知を発出している。また、二〇二〇年四月二十一日付の「パワーハラスメントをはじめとする各種ハラスメントの防止に向けた対応について」では、同法に加え、国家公務員を適用対象とする人事院規則一〇−一六の内容も踏まえた適切な対応を求めている。
 右記を踏まえ、自治体や教育委員会は、ハラスメント防止のための規定を設けることになるが、ほとんどの自治体や教育委員会が、実態として人事院規則に倣って規定を置くのではないかと認識している。
 そこで以下、質問する。

一 民間法制および雇用措置義務は地方公共団体にも適用になるが、そのことは周知されているか。
二 民間法制は、例えば、「職場におけるパワーハラスメントの内容及び職場におけるパワーハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること」を義務付けている。これに対し、人事院規則一〇−一六では、第五条で「職員」の責務として「職員は、パワーハラスメントをしてはならない」と定めている。人事院規則では、「職員」の責務とされているが、首長や副知事・副市長等のいわゆる役員は対象に含まれるのか。
三 地方公共団体が、人事院規則に倣って、職員のみにハラスメント禁止を義務づけるとすれば、民間法制を履行したことになるのか。
四 地方公共団体は、職員のみならず首長など誰しもハラスメントをしてはいけないことを周知する必要があると考えるが如何。
五 国家公務員の職場はハラスメントの防止について模範となるべきであることから、人事院規則が先んじて、役員も含めた規定ぶりにしなければならないと思うが如何。
六 民間法制では、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること等と、「事実関係の迅速かつ正確な確認の措置」が事業主の義務となっている。一方、人事院規則一〇−一六の通知では、各省各庁の責務として「苦情相談があった場合に、その内容に応じて、迅速かつ適切な解決を図ること」が書かれるのみである。通知には「パワーハラスメントに関する苦情相談に対応するに当たり留意すべき事項についての指針」が付属しており、総務省の四月二十一日の地方公共団体向け通知ではこの指針を地方自治体が参考にするよう示されているが、この指針は、タイトルにもある通り相談員が相談対応にあたり留意すべき事項が記載されているに過ぎない。つまり、人事院規則で、事後対応として、各省各庁の長に課されているのは、「迅速かつ適切な解決を図ること」のみであり、民間法制の求める「事実関係の迅速かつ正確な確認の措置」が特出しされているものではない。地方公共団体がハラスメントの事後対応を行う場合は、民間法制を遵守すべく、「事実関係の迅速かつ正確な確認の措置」が必ず含まれるとの認識でよいか。
七 人事院規則の求める「迅速かつ適切な解決を図ること」には、「事実関係の迅速かつ正確な確認」が含まれる理解でよいか。また、含まれるとすれば、人事院規則を実態として参考にしている地方公共団体には改めてそれが伝わるようにする必要があるのではないか。
八 民間法制では、被害者への配慮のための措置が義務付けられており、例示として、被害者と行為者を引き離すための配転や、行為者の謝罪、被害者の労働条件上の不利益の回復、産業保健スタッフ等によるメンタルヘルス不調への相談対応等が挙げられている。一方、人事院規則一〇−一六では、「迅速かつ適切な解決を図ること」が各省各庁の長に課されているのみである。あくまで民間法制も例示ではあるが、こうした行為者の謝罪や被害者のケアに関するところが一切記載されていないのは問題と考える。公務の現場では、どうしても事案を解決する、という観点になりがちで、被害者の人権を尊重し、働き続けられる環境を作ることが公務職場では二の次になる、という指摘も聞かれる。行為者の謝罪や被害者ケアなどの、被害者への配慮のための措置を含めなければ民間法制を履行したことにならないと考えるが如何。
九 人事院規則の「迅速かつ適切な解決を図ること」に「被害者への配慮のための措置を講ずること」は含まれているのか。また、含まれているとすれば、地方公共団体できちんと措置が講じられるよう総務省から促すべきと考えるがいかがか。
十 民間法制はプライバシー保護として、研修やマニュアル整備を例示として挙げているが、人事院規則一〇−一六には細かい措置への言及はない。また、相談者の二次被害にならない配慮について、民間法制は通達で言及されているが、人事院規則一〇−一六にはないなど、細かい点ではあるが、重要な点が抜け落ちてしまっているという懸念がある。公務職場は、法制度に基づく職務、運用ということもあって、ある側面で上下関係が厳格であるとの声も聞かれる。そのような中、規定がなければ、法制度に基づく適切な対応を旨とする公務の現場における取組みは行いづらいのではないか。これは厚労省も人事院もパンフレットなどで示していると思うが、ハラスメントの課題は人権課題であるということを前提に、細かい点についても規定化し、被害者の人権に寄り添って、きめ細かな対応ができるよう、今一度促すべきと考えるが如何。
十一 人事院によれば、苦情処理への一般的な対応として相談者の意向に応じて所属府省に調査・調査結果の報告を依頼した後、相談者の意向に応じて所属府省および人事院での対応がとられることになっており、このような対応がとられたのは苦情相談全体の九・九パーセントとされる(平成三十年度)。事後対応としてとられた措置に、配置転換、相談者への謝罪、仕事の割振りや配席の見直し、行為者への指導などは含まれるのか。
十二 令和二年六月一日総務省訓令第二十四号では、総務省におけるパワーハラスメントの防止等に関する事項が定められているが、ここにおいて配置転換、相談者への謝罪、仕事の割振りや配席の見直し、行為者への指導等の具体策が明記されておらず、例示もない。地方公共団体への周知等を行い、連携する立場にある総務省として、地方公共団体が行うハラスメントへの対応としてどのようなものが望ましいと考えるか。また具体的な事後対応策を明示すべきではないか。

 右質問する。

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