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令和二年九月十六日提出
質問第七号

「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」のうち収容の在り方に関する質問主意書

提出者  櫻井 周




「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」のうち収容の在り方に関する質問主意書


 令和元年十月、法務大臣の私的懇談会である第七次出入国管理政策懇談会の下に、「収容・送還に関する専門部会」が設置され、令和二年六月、当該専門部会から「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」が出された。今後、この提言を反映した新たな法整備がなされるとのことであるため、右提言のうち、収容の在り方に関し、以下質問する。

一 「全件収容主義」について、収容の長期化を防止するためには、全件収容主義を変更することが迅速かつ容易であると考えるが、収容期間が六カ月以上の長期に及んでいる場合にも、個人の身体の自由より「円滑な送還の実現」と「在留活動の禁止」の目的によって得られる利益が優越するとの認識か。
二 「収容に関する司法審査」について以下質問する。
 1 退去強制手続における収容は、身体の自由に対する重大な制約という点で、刑事手続における拘留と性質を同じくする。右提言においては、退去強制手続における収容は、三審制という慎重な手続を経ていること、事後的な司法審査によって救済を得られること、から、司法による事前審査は必要ないという意見が記載されている。この意見を前提にすると、刑事手続にも同様の仕組みを採用すれば、逮捕・勾留・保釈等の判断に司法審査が必要なくなるということになってしまうが、政府としても、右意見は退去強制手続における収容には司法審査が必要ないことの理由になりうると考えるか、見解を示されたい。
 2 退去強制手続の収容において、司法審査を受ける必要性がないとの説明は存在するが、それ以外に司法審査制度を設けることの弊害は存在するか。
三 手続保障について、行政手続法は「行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資すること」(行政手続法第一条)を目的としているところ、この趣旨は、収容に関する判断や在留特別許可に関する判断にも妥当する。右提言の意見にも同趣旨の指摘が複数見受けられる。したがって、出入国在留管理行政のうち、少なくとも収容に関する判断と在留特別許可に関する判断においては、可能な限り、行政手続法と同様の手続保障をすべきであると考えるが、そのことに何らかの支障は存在するか。
四 「国連機関からの勧告」について以下質問する。
 1 我が国は、国連機関から、繰り返し、庇護申請者の収容は可能な限り最短にすること、難民認定手続きをノン・ルフールマン原則に一致させるよう努力すること、収容期間に上限を設けること、収容について審査の機会を確保すること、等を勧告されている(自由権規約委員会第六回日本定期報告審査に関する総括所見パラグラフ十九、人種差別撤廃委員会第七回・第八回・第九回日本定期報告に関する総括所見パラグラフ二十三、同第十回・第十一回日本定期報告に関する総括所見パラグラフ三十六、拷問等禁止委員会第二回日本定期報告に関する総括所見パラグラフ九、等)。これらの勧告通りに是正する努力はどのくらいなされてきたか。
 2 これらの勧告は今回の法整備及びその後の運用の際の考慮要素となると考えてよいか。

 右質問する。

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