衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
令和二年九月十六日提出
質問第一〇号

嘉徳海岸侵食対策事業に関する質問主意書

提出者  川内博史




嘉徳海岸侵食対策事業に関する質問主意書


 平成二十六年十月の台風第十八・十九号の波浪により奄美大島南東部に位置する嘉徳海岸が大きく侵食されたことに端を発して、鹿児島県は、平成二十八年度から嘉徳海岸侵食対策事業(以下「本件事業」という。)に着手した。
 そして、同年、国土交通大臣によって、同事業について「社会資本整備総合交付金」の交付決定がなされているが、「社会資本整備総合交付金交付要綱」によると、交付金を受給して「基幹事業」である「海岸事業」を行う場合、当該地方公共団体に対しては、「社会資本総合整備計画」の作成と提出が求められており、その項目に「基幹事業の費用便益比」を明記することが求められている。
 海岸事業に関しては、「海岸事業の費用便益分析指針(改訂版)」(平成十六年六月、以下「本件費用便益分析指針」という。)が策定されており、海岸事業の新規事業採択時評価実施要領細目においても、費用対効果分析については、本件費用便益指針に基づき算定するものとされている。
 ところが、鹿児島県は、本件事業に関して、本件費用便益分析指針に基づき費用便益分析を行ったとしているところ、鹿児島県が本件事業の費用便益分析の結果として引用する「平成二十八年度嘉徳海岸侵食対策測量設計委託報告書」(別添資料)及びこれを引用する鹿児島県の説明によれば、重要な部分について全く本件指針に基づかず、根拠のない算定結果を導出していることが判明した。
 以上により、以下の通り質問する。

一 本件費用便益分析指針では、侵食対策事業においては、汀線の変化の把握などを通じて、年度別の想定侵食地域を設定することになっているが、本件事業においては、年度別の想定侵食地域の分析とこれに基づく想定侵食範囲の設定が一切行われていない。別添資料でも、ただ唐突に一定の範囲が「侵食」されるなどという検討結果が示されているのみである。すなわち、侵食対策事業における「効果」の把握及び金銭評価について、本件費用便益分析指針に基づいた検討及び算定が一切なされていない。
 本件費用便益分析指針では、当該事業の事業費及び維持管理費を含めた事業に必要な全ての経費を算定するとされている。そして、維持管理費とは、改良費、運営費及び維持修繕費である。しかしながら、鹿児島県は、維持管理費を一切計上することなく費用の算出を行っている。
 このように、本件費用便益分析指針に基づく検討を行わないまま、鹿児島県は、本件事業について費用対効果が認められるものとしているが、これは「社会資本整備総合交付金」の交付を受けた海岸事業の費用便益分析の手法及び評価として妥当なものなのか政府としての見解を明らかにされたい。
二 社会資本整備総合交付金交付要綱によれば、社会資本整備計画(基幹事業に係る費用便益比を含む)については、国土交通大臣に対して提出され、国土交通大臣は、当該計画の内容を確認し、受理するものとされている。
 本件事業に関しては、前記の通り本件費用便益指針に基づかない費用対効果の算定がなされており、その算定結果を前提に交付金の交付申請がなされているが、これは、社会資本整備総合交付金交付要綱に基づく交付金申請として著しく不適切であると考えられる。
 社会資本整備総合交付金交付要綱によれば、国土交通大臣は、都道府県に対し、交付対象事業につき、社会資本整備総合交付金の適正な執行を図る観点から監督上必要があるときは、その交付対象事業を検査し、その結果違反の事実があると認めるときは、その違反を是正するため必要な限度において、必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
 政府は、社会資本整備総合交付金交付要綱により、鹿児島県の嘉徳海岸浸食対策事業の検査を行うべきと考えるが、政府の見解を求める。
 前記一について、鹿児島県の手法及び評価が妥当性を欠くとき、上記事実を前提とすれば、国土交通省(国土交通大臣)としては、鹿児島県に相応の措置を講ずる必要があると考えるが、対応方針を明らかにされたい。

 右質問する。

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.