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令和二年十一月二十五日提出
質問第三三号

日本航空の解雇争議に関する質問主意書

提出者  矢上雅義




日本航空の解雇争議に関する質問主意書


 日本航空は、政府主導の下で二〇一〇年一月十九日に経営破綻、企業再生支援機構から三千五百億円の公的資金が投入され、破綻と再建がプリパッケージ型で進められた。再建途上であった同年十二月三十一日、パイロット八十一名と客室乗務員八十四名が年齢(機長五十五歳以上、副操縦士四十八歳以上、客室乗務員五十三歳以上)と病気欠勤歴を基準に整理解雇された。当時の状況として、二〇一〇年九月二日に出された最終の人員削減目標は日本航空本体で千五百名というものだった。翌九月三日より希望退職の募集が始まり、結果十二月三十一日の段階では千六百九十六名が希望退職に応じていた。また公的資金の投入や債権放棄などもあって再建は順調に進み、十二月末までに千五百八十六億円の営業利益を上げる中で、大晦日の整理解雇であった。
 被解雇者は、パイロットと客室乗務員の二つの原告団を結成し、二〇一一年一月十九日に整理解雇問題で東京地裁に地位の確認を求め提訴した。一審の東京地裁判決は、二〇一二年三月二十九日(パイロット)、三十日(客室乗務員)に出された。両判決の内容は「百六十五名の解雇は整理解雇四要件(必要性、回避努力、人選基準、手続きの妥当性)を満たし合理性がある」というものであった。また、二審の東京高裁は二〇一四年六月三日(客室乗務員)、五日(パイロット)に「管財人無謬論、絶対論」を展開して、整理解雇の合理性を認めた。そして二〇一五年二月四日(客室乗務員)、五日(パイロット)に最高裁が上告を棄却し、高裁判決が確定した。
 一方、整理解雇の回避に向けた団体交渉が行われているさ中の二〇一〇年十一月十六日に、管財人が労働組合の争議権確立を妨害した介入事件が起こった。この事件について東京都労働委員会は、二〇一一年八月三日「労働組合への支配介入にあたる」として、日本航空に対して不当労働行為救済命令を発出した。しかし日本航空は「命令の取り消し」を求めて東京地裁に行政訴訟を起こした。結果、東京地裁は二〇一四年八月二十八日に不当労働行為と認定、二審の東京高裁では二〇一五年六月十八日「団結権の侵害であり、憲法二十八条違反」と判断した。そして二〇一六年九月二十三日、最高裁は日本航空の上告を棄却、高裁判決が確定した。この最高裁判決は、地位確認訴訟(整理解雇)判決の確定から一年七か月後に出された。
 この最高裁の判決について、二〇一六年十月二十日の参議院国土交通委員会で石井啓一国土交通大臣(当時)は「(最高裁で日本航空の)不当労働行為が認定されたことは、私自身も遺憾に思っているところです」「日本航空の整理解雇につきましては、個別企業における雇用関係に関わる問題でございますので、日本航空において適切に対応すべきものと考えています」旨答弁している。
 日本航空の整理解雇から間もなく丸十年が経過しようとしている。しかし現在においても、なお解雇されたパイロット六十三名と客室乗務員七十名の解雇争議が続いている。争議の解決を遅らせている原因の一つに、結果が異なる二つの司法判断があることは無視できない。
 コロナ禍の今日、「事業と雇用を守り抜く」との方針の下で、政府から航空業界にも数々の支援策が出されている状況にある。そこで以下について質問する。

一 日本航空の経営再建は公共輸送を守るために、政府が関与する中で進められてきた。そうした中で整理解雇が行われたことから、政府として無関係とは言えないと考えるがいかがか。
二 解雇の過程での不当労働行為が最高裁で「憲法違反」と判断された。その後の日本航空の対応は大臣発言を反映させているか、政府の見解を問う。
三 長引く労働争議は人権、人道上の問題に加えて、空の安全にも影響する問題との指摘がなされている。政府として日本航空の争議の解決に向けて考えられる施策はあるか。

 右質問する。

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