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令和三年二月十二日提出
質問第四三号

原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法に関する質問主意書

提出者  阿部知子




原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法に関する質問主意書


 内閣府所管の「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」(以後、同法)は、一九九九年九月に東海村で起きた株式会社ジェー・シー・オーのウラン加工施設における臨界事故(以後、JCO事故)をきっかけに、議員立法で二〇〇〇年十二月に成立したものである。その後の社会情勢の変化を鑑みれば、同法は役割を終えたと考えられるため、以下、質問する。

一 同法の目的は、「原子力発電施設等の周辺の地域について、地域の防災に配慮しつつ、生活環境、産業基盤等の総合的かつ広域的な整備に必要な特別措置を講ずること等により、これらの地域の振興を図り、もって国民経済の健全な発展と国民生活の安定に寄与すること」(第一条)であるとしている。内容は立地地域における防災インフラ整備への国の補助率をかさ上げするなどである。
 立法以来二十年が経過するが、どのように「地域の振興」が図られたと政府は考えているのか。防災インフラ整備が行われた結果、たとえば、人口増加がみられたのかなど、具体的に明らかにされたい。
二 同法について、二〇〇〇年十一月二十八日の衆議院商工委員会で、「本当の提案理由を教えていただきたい」と問われ、提案者の細田博之議員は「少なくとも二十基の原子力発電所を建設していくには、地元の皆様方の絶大な御協力なくしては考えられないわけでございますが、(略)JCO事故、大変不幸な事故でございましたけれども、あの影響もあって、原子力発電所の立地地域は非常に建設については難渋しております」と答弁した。つまり、あと二十基の原発立地の促進こそが、提案者の意図した提案理由だったと考えられる。一方、菅首相は昨年の衆議院予算委員会で、原子力発電所の新設や増設は、現時点で想定していない旨を答弁している。
 政府はあと二十基の原発立地を国の政策として認めるつもりなのか。
三 同法は、二〇〇〇年の国会審議で、「原発立地推進のための公共事業の拡大」である等の批判が繰り返され、「防災」という目的が修正で加わって、成立した。今国会では、同法の有効期限を延長するための改正案が提出されている。
 1 議員立法で成立したにもかかわらず、今回はなぜ政府が改正案を提出するのか。
 2 改正案の概要には令和元年度末現在で、百三十件の防災インフラ事業が整備中であるとされるが、それらが完成しなければ、原子力防災上問題がある立地地域があるということか。
四 一九七四年に成立した発電用施設周辺地域整備法の目的は、「発電用施設の周辺の地域における公共用の施設の整備その他の住民の生活の利便性の向上及び産業の振興に寄与する事業を促進すること」(第一条)とされている。
 1 発電用施設周辺地域整備法が対象とする施設は、原子力発電の他、水力発電、火力発電および地熱発電施設となっている。同法はなぜ原発だけを対象としているのか。
 2 発電用施設周辺地域整備法の成立以来、四十七年が経った今、政府は再生可能エネルギーの主力電源化を目指している。発電用施設周辺地域整備法の対象に再生可能エネルギーによる発電施設を含めるべきではないか。
五 再生可能エネルギーの主力電源化や電力自由化を目指す中、発電用施設周辺地域整備法に加えて、同法によって、原発立地にことさら手厚く税金を投入することに、国民合意を得られると考えるのか。

 右質問する。

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