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令和三年二月十二日提出
質問第四五号

アビガンの承認に関する再質問主意書

提出者  松原 仁




アビガンの承認に関する再質問主意書


 いまもなお、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)パンデミックの収束の見通しは立っておらず、我が国においても感染拡大が続いており、重症者数、死亡者数とも高い水準で推移している。新型コロナウイルス対策の切り札として期待されるワクチンの接種が間もなく始まるものの、同感染症に対する治療薬の登場を切望する向きは、医療現場はもとより、社会全体に存在している。
 アビガン錠二百ミリグラムについては、報道等により、新型コロナウイルス感染症に有効であるよう周知され、藤田医科大学医学部感染症科土井洋平教授において、その有効性を肯認し得るとする発言があったところであり、新型コロナウイルス感染症の有効な治療薬として、重症化や死亡例を劇的に低減させ、社会不安、国民生活の閉塞感を改善するものと期待できる。本職が聞き及ぶ中でも、罹患した患者が重篤化の不安から、アビガンを服用し、効果を実感したという声が一つや二つではない。
 しかるに、アビガン錠二百ミリグラムについては、厚生労働省薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品第二部会において、令和二年十二月二十一日、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に基づく承認申請に関する審議が行われ、「現時点で得られたデータから、その有効性を明確に判断することは困難」とし、「現在実施中の臨床試験の結果等の早期の提出を待って再審議する」としている。
 政府は今月二日、新型コロナウイルス感染状況の改善が十分でないとして、十都府県での緊急事態宣言を一か月延長した。国民の不安や社会・経済への影響が深刻化する中、申請企業の臨床試験の結果を座して待つという政府の姿勢には疑問を抱かざるを得ない。本職が令和三年一月二十日提出の「アビガンの承認に関する質問主意書」第一で質問したように「安倍晋三前首相は、令和二年五月四日の会見で、アビガンについて同月中の承認を目指す考えも表明していた」。しかし、安倍前首相の同発表から九か月が経過しているにもかかわらず、アビガン錠二百ミリグラムの一部変更承認申請は、未だ結論が出されていない。こうした状況において、同質問主意書に対する政府の答弁は、本職の疑問を払拭するに足るものではなかった。
 そこで、政府による、令和三年一月二十九日「衆議院議員松原仁君提出アビガンの承認に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質二〇四第一〇号)を受けて、次のとおり再質問する。

一 アビガン錠二百ミリグラムの投与の実例と再審議について
 1 同答弁書には、再審議となった理由は「現時点で得られたデータから、その有効性を明確に判断することは困難であ」るとあるが、一部変更承認を申請した企業(以下「申請企業」という)以外に、厚生労働省が管轄する観察研究として、新型コロナウイルス感染症への効能・効果のためにアビガン錠二百ミリグラムが投与された実例はないか。また、実例があるとすれば、その実例は何件か。
 2 前項の実例がある場合、その実例を、令和二年十二月二十一日に開催された「令和二年度第八回厚生労働省薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品第二部会」の審議で考慮したか。また、考慮していないとすれば、どのような理由からか。
 3 前項で第1項の実例を考慮していない場合、その実例は再審議の資料とすべきと考えるが、政府として如何。また、同資料としない場合、それはどのような理由からか。
 4 茂木敏充外務大臣は、令和二年五月十二日の参議院外交防衛委員会において、アビガン錠二百ミリグラムについて、「八十か国程度の国から依頼を受けている」旨の発言を行っていたが、実際に、どの国に、どの程度の量のアビガン錠二百ミリグラムを提供したか。また、提供していた場合、提供した中で、備蓄のものはどの程度であったか。
 5 前項において、アビガン錠二百ミリグラムの提供を外国政府からの依頼に基づいて行った場合、アビガン錠二百ミリグラムの患者への投与に関する情報の提供を受ける旨の条件を付与しているか。また、そのような条件を付与していなかったとした場合でも、当該提供国から同情報の提供を受けていないか。
 6 第4項以外に、アビガン錠二百ミリグラムについて、海外において新型コロナウイルス感染症の治療目的で投与された実例について、政府として把握していれば答えられたい。
 7 前項および第5項において、同実例があるとすれば、承認申請に対する審査にあたり、それを考慮したのか。また、考慮しなかったとしたらその理由は如何。
 8 前項で第5項および第6項の実例を考慮していない場合、その実例は再審議の資料とすべきと考えるが、政府として如何。また、同資料としない場合、それはどのような理由からか。
 9 アビガン錠二百ミリグラムについては継続審議として再審議することになるものと思われるが、不承認ではなく、再審議としたのはなぜか。また、再審議を判断する主体は誰で、どのように判断されるか。再審議の判断はどのように示され、再審査の手続きはどのように進められるのか。
二 「現時点で得られたデータから、その有効性を明確に判断することは困難であ」る点について
 アビガン錠二百ミリグラムは、新型コロナウイルス感染症に対する「特効薬」として期待があり、この感染爆発の状況や、既に新型インフルエンザの効能・効果として承認されている点、ほかに代替手段が見当たらない点といった利便性などをも考慮して、承認申請に対する審査を行うべきと考える。
 1 アビガン錠二百ミリグラムの有効性の判断指標を示されたい。
 2 C型肝炎訴訟において、有効性の判断指標は「適応症の範囲・重篤性、これに対する治療効果の大きさ、医薬品の利便さ」(東京地裁平成十九年三月二十三日判決)と判示されているが、当該判決で指摘された指標も、アビガン錠二百ミリグラムの有効性の指標として考慮されているか。また、考慮されていないとしたら、どのような理由からか。
 3 アビガン錠二百ミリグラムについて、「明確に判断することは困難」というのは、具体的にどういう意味か。
 4 前述令和二年十二月二十一日の部会においてアビガン錠二百ミリグラムの有効性について、どのような場合に有効性があるのかという点、および、何が足りないかという点について議論を行ったか。
 5 前述令和二年十二月二十一日の部会において、アビガン錠二百ミリグラムの有効性の判断を行う上で、申請企業が行った単盲検試験が影響したと報道されているが、それは事実か。
 6 前項において、通常治験において二重盲検試験が行われているとされている中で、申請企業が単盲検試験を行った理由について把握しているか。また、申請企業は、通常行うとされている二重盲検試験を行うことなく、単盲検試験を行うことについて、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に事前相談を行ったか。政府として把握していれば答えられたい。
 7 前項に関連して、医薬品の承認申請を行う企業が実施する治験について、治験の実施方法等、治験内容について、通常、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に事前相談は行われているか。政府として把握していれば答えられたい。
 8 アビガン錠二百ミリグラムの有効性は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」第十四条第二項第三号ロの有用性の承認基準を充足していると考えてよいか。また、アビガン錠二百ミリグラムの安全性については、承認基準を充足していると考えてよいか。
三 申請企業への助言について
 1 「申請した企業に対して、同部会における指摘や課題についての丁寧な説明や対応の方向性についての助言等を行っている」とあるが、具体的にどのような助言等をおこなっているか。
 2 前項の「申請した企業」に対する「対応の方向性」とは具体的にどういうことか。また、「申請した企業」は具体的にどう対応すればよいということか。

 右質問する。

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