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令和三年二月十六日提出
質問第四八号

新型コロナウイルス感染症の予防対策への医療費控除対象化に関する質問主意書

提出者  古本伸一郎




新型コロナウイルス感染症の予防対策への医療費控除対象化に関する質問主意書


 新型コロナウイルスの感染が拡大してこの方、政府は国民に対して様々な感染症対策を呼びかけ、感染拡大防止のための協力要請を行ってきたと承知している。その例として、不要不急の外出自粛要請や五名以上の会食自粛要請もさることながら、マスクの着用やアルコール除菌剤の使用等を通じた感染症対策も含まれているものと承知している。
 感染症対策への協力は国が国民に呼び掛けているにもかかわらず、それにかかる費用は実質的に国民自身が負担している現状がある。マスク着用やアルコール除菌剤の使用等は新型コロナウイルスへの感染を未然に防ぐ「予防」の観点からは有効と見込まれているが、その費用負担の軽減に対する議論・施策が国として十分に行われてきたとは言えない。また、「予防」の観点からPCR検査等を自主的に受ける者に対する負担軽減も十分ではない。以上の問題意識のもと、感染症の予防対策と医療費控除のあり方について、以下質問する。

一 現行の医療費控除制度において、控除の対象となる医療費とは所得税法第七十三条、及び所得税法施行令第二百七条において「医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入」等の費用と定められており、「予防」にかかる費用は医療費控除の対象外とされている。現行法上、「予防」にかかる費用が控除の対象外となっている理由は何か。
二 国としてマスク着用等の感染症対策を国民に呼びかけている以上、国はその費用負担軽減に対する施策を講じる責務があるものと考えられる。生活上のエチケットとしても鉄道等、公共交通では車内放送で着用を求めている。また、航空機では未着用の搭乗拒否もある。感染防止の観点から合理的と考える。以上からもマスク着用を国民が感染予防対策として事実上の義務として受け止め協力しているが、購入費が家計を圧迫している現状を踏まえ、この際、時限等の租税特別措置としてでも感染「予防」対策にかかる費用を医療費控除の対象としてはどうか、政府に問う。また、少額の購入者への対策として、医療費控除の特例である「セルフメディケーション税制」(一万二千円を超えるスイッチOTC医薬品購入費について所得控除を行うもの)の対象化も行ってはどうか。対象化しないとすれば、その理由は何か、説明を求める。
三 問「二」でお尋ねした税制でできない場合には、マスク等購入費が家計を圧迫している現状を鑑み、例えば購入補助券の配付等、歳出で補助を行ってはどうか、政府の見解を問う。また、困難との答弁の場合、昨年実施された「布マスクの全戸配布」(いわゆる「アベノマスク」の配布)の政策判断との整合性について、あわせてお尋ねする。
四 新型コロナウイルス感染症の「予防」の観点からは、マスクの着用だけではなく、PCR検査や抗原検査を受けることも、感染拡大を防ぐ一つの有効な対策であると考えられる。しかし、現状、検査費用について医療費控除の対象となるのは、医師の指示により検査を受けた場合と、自己の判断で自費で検査を受け、「陽性」判定が出て引き続き治療を受けた場合に限ると承知している。検査を自主的に受け、自らの症状を確認する行為は感染拡大防止に資するものであり、公衆衛生上からも重要な観点であり、広義での医療行為であると考えられないか、お尋ねする。その際、自己の判断で検査を行った結果が「陰性」であっても、その費用については医療費控除の対象にしてはどうか、お尋ねする。
五 新型コロナウイルス感染症のみならず、医療全般における「予防」は、発病を未然に防ぐことで医療費そのものを抑制することが可能であると共に、国家的にも喫緊の課題である医療従事者の負荷軽減にも資するものと考えられる。その観点から見れば、医療費控除の対象化を通じて、予防に関わる費用の負担軽減を国として促進し手助けすることは費用対効果の観点からどう考えるか、お尋ねする。また、人間ドック等、今後ますます予防医療が重視される時代に合わせて、この際「治療」のみならず「予防」一般に関わる費用を医療費控除の対象としてはどうか。できないとすればその理由は何か、医療費の抑制の観点から政府に問う。
六 現在、令和二年分の確定申告の時期を迎えているが、マスク等を控除対象とした場合、執行機関は医療費控除の確定申告件数が増える等の事務負担の側面も考慮しなければならない。例えば一律額の控除制度がある地震保険料控除のように、マスク代について世帯人数で一定額を一律控除する等の簡便な税務も考えられるが如何か。

 右質問する。

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