質問本文情報
令和三年三月十日提出質問第七二号
二人分のマイナンバー等とともに個人情報の流出を警告する日本年金機構の法令違反窓口に寄せられたメールに関する質問主意書
提出者 長妻 昭
二人分のマイナンバー等とともに個人情報の流出を警告する日本年金機構の法令違反窓口に寄せられたメールに関する質問主意書
今後、マイナンバーの重要性はますます高まっていくことは論をまたない。それだけに漏洩した時、または、漏洩が疑われたとき、徹底的な調査を通じて、防止策を日々向上させることが欠かせない。そこでお尋ねする。
一 日本年金機構の法令等違反通報窓口に二〇一七年十二月三十一日十一時三十一分と同日十一時五十四分に何者かによって寄せられた、マイナンバーをはじめとする個人情報が流出したとの記述のあるメール(以下、当該メールという)について、政府が把握しているところをお尋ねする。
1 当該メールの内容についてお示し願いたい。
2 二〇二一年二月まで当該メールの内容を明らかにしなかった理由をお示し願いたい。
3 当該メールには「平成三十年分 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」にある二人分のマイナンバーをはじめ、氏名、生年月日、住所、電話番号、年間所得額などの個人情報の記載があるが、それは真正なものか。
4 当該メールにある「大量の個人情報が中国のネットで入力されている」というのはどのような意味だと考えるのか、分かる範囲でお示し願いたい。
5 この二人分のマイナンバーをはじめとする個人情報は、誰が、どこから、どうやって入手したのか、正確に把握しているのか。「蓋然性が高い」という答弁でなく、正確に把握しているのか否か、お答え願いたい。
6 当該メールには、少なくとも二人分のマイナンバーをはじめとする個人情報が記載されているが、これは何らかの法令違反の疑いはあるのか否か、内閣の見解をお示し願いたい。法令違反の疑いは全くないのか。
7 当該メールにあるとおり、少なくとも二人分のマイナンバーをはじめとする個人情報は漏れている。この件で、刑事訴訟法に規定のある国家公務員の告発義務は生じないのか。
8 当該メールにあるマイナンバーを持つ、お二人には、事情を説明して謝罪などをしたのか。また、何らかの被害がなかったか、聞き取り確認はしたのか。していないのであれば、速やかに実行すべきと考えるが、いかがか。
9 二〇一八年の厚労省と日本年金機構による調査ではマイナンバーは流出しておらず、契約違反の形で中国の事業者に氏名・フリガナのみの入力が再委託された、とのことだが、正確には何件が再委託されたのか。
10 中国の事業者に日本年金機構の職員が立ち入り調査しマニュアルを発見したとのことだが、マニュアルではなく、東京の株式会社SAY企画から送られた、実際の氏名とフリガナのみを切り取った画像データは中国の事業者のオフィスやコンピューターに現実に存在したのか。消えていたのであれば、いわゆるフォレンジック調査をしたのか。
二 厚生労働省社会保障審議会年金事業管理部会の中に、検証作業班が設置され、検証作業班が作成した報告書(以下、当該報告書という)を二〇二〇年十月二日に増田部会長に提出したとある(同部会の二〇二〇年十二月四日第五十二回議事録より)。この議事録には、「四人の合意した報告書を部会長にも提出」とあり、当該報告書は、検証作業班のメンバー全員(四人)が合意したものと、議事録にある。そこでお尋ねする。
1 当該報告書は二〇二一年二月に厚生労働省によって明らかにされたが、そこには以下(1)(2)の記述がある。
(1) 「中国の事業者に氏名・フリガナ以外の情報も開示されていた可能性がある」――。
二〇一八年の厚労省と日本年金機構の調査では、氏名・フリガナ以外は再委託されていない、とされたにもかかわらず、その後に作成された当該報告書には「中国の事業者に氏名・フリガナ以外の情報も開示されていた可能性がある」と調査に真っ向から反する記述がある。政府内部の審議会の作業班からあがった声であるので、当然、政府は再調査をすべきと考えるが、内閣の見解を問う。
(2) 「IBMに調査を依頼したが、その調査依頼項目にはSAY企画から中国の事業者に再委託した個人情報が氏名・フリガナのみだったのか、それ以外の情報も含まれていたのかのデータ確認は含まれていない。氏名・フリガナのみだったとするのは、機構が独自確認したことをIBMに伝えていただけである」――。
日本年金機構はIBMに、中国の事業者にマイナンバーは入力の再委託はされていないことを証明してもらったとしているが、これに真っ向から異を唱える記述である。政府内部の審議会の作業班からあがった声であるので、再調査をすべきと考えるが、内閣の見解を問う。
2 SAY企画以外にも、日本年金機構はどのような仕事をいくらで発注していたのか。また、当該メールにある申告書を見ることができた事業者は、トランスコスモス株式会社であると聞いた。当該メールにあるマイナンバーについてトランスコスモス株式会社に対しては、なぜ、調査しないのか。
3 二〇二一年二月の予算委員会で、再調査要請に対して、田村厚生労働大臣は、「どういう事情なのかは、意見が割れているのはわかりませんから、聞きます」旨を述べた。聞いた結果をお示し願いたい。
4 契約違反が判明した後、二〇一八年一月十五日に日本年金機構はSAY企画に七千万円を振り込んでいる。それをなぜ、三年前の国会質疑で明らかにしなかったのか。そもそも、契約違反が判明したら支払いをストップして、契約を解除するのが常識と考えるが、いかがか。そのような契約を結んでいなかったのか。
5 日本年金機構はSAY企画に二億円の賠償を請求するとのことだが、これまでに、いくら戻ってきたのか。会社は解散していると聞くが、経営陣の個人資産を含めた損害賠償請求や損害賠償請求訴訟はされるか。
右質問する。