質問本文情報
令和三年四月二十日提出質問第一〇五号
東京オリンピック・パラリンピック競技大会と新型コロナウイルス感染症対策等に関する再質問主意書
提出者 中谷一馬
東京オリンピック・パラリンピック競技大会と新型コロナウイルス感染症対策等に関する再質問主意書
一 菅義偉内閣総理大臣は、「日本は、この夏、東京オリンピック・パラリンピックを開催します。人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として、そして、「世界の団結」の象徴として、世界中に「希望」と「勇気」をお届けできる大会を実現する決意です。」という趣旨を繰り返し述べられているが、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証とは、検査数、PCR検査の陽性率、療養者数、新規感染者数、病床使用率、ワクチン接種率、実効再生産数、感染経路不明割合など何がどのような状態になったら、「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った」状態であると考えているのか、見解を明確にされたい。
二 自民党の二階俊博幹事長が令和三年四月十五日に行われたTBSのCS番組収録で、今夏に予定されている東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催について「ぜひ成功させたいと思うが、そのために解決すべきテーマがたくさんある」と指摘した上で、「これ以上とても無理だということだったらこれはもうスパッとやめなきゃいけない」と述べ、新型コロナウイルスの感染状況次第で中止もあり得るとの見方を示した。また、司会者から中止の選択肢もあるかと問われた二階氏は、「それは当然だ」とし、「オリンピックでたくさん蔓延させたということになったらなんのためのオリンピックかわからない。そのときの判断でいい」と語った。
この自民党幹事長の発言は、政府の認識と同じであるのか、見解を伺いたい。また認識が異なるのであれば、政府としてはどのような認識を持っているのか、詳細について見解を伺いたい。
三 菅内閣総理大臣は、令和三年三月二十六日の参議院予算委員会において、バイデン米国大統領をオリンピックへ招待する意向を示していたが、同年四月十六日の日米首脳会談で、菅内閣総理大臣は正式にバイデン大統領を招待したのか、伺いたい。また、招待したのならば、どのような返答であったのか、伺いたい。
今回の日米首脳会談において、バイデン大統領と菅内閣総理大臣で、米国の選手団を東京オリンピック・パラリンピック競技大会に派遣することについて話をしたのか、伺いたい。また、話をしたのならば、米国選手団の派遣についてはどのような見解が示されたのか、併せて伺いたい。
四 令和三年四月二日提出の「東京オリンピック・パラリンピック競技大会と新型コロナウイルス感染症対策等に関する質問主意書」(以下「四月二日の質問主意書」という。)の答弁書では、「精査中」、「交渉中」、「現在検討を進めている」、「仮定の質問」などと何の答えも出さない答弁が目立った。しかしながら、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が、約三か月後に迫っていることを踏まえれば、現時点において「精査」や「検討」を終えていない現状に対して、多くの国民が不安を払拭できないと考えるので、これらの質問に真摯に答え、国民への説明責任を果たし、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催可否を検討することが必要であると考える。四月二日の質問主意書を提出してから、同様の質問を行う本質問の答弁までの期間は約一か月の期間があり、精査や検討を終えるには充分な時間であると考えるので、以下1から6まで再質問する。
1 四月二日の質問主意書において、「東京オリンピック・パラリンピック競技大会を無観客又は国内の観客のみで開催する際、中間整理六頁で対象とされたアスリート等(出場選手に加え、IOC(国際オリンピック委員会)/IPC(国際パラリンピック委員会)、IF(国際競技連盟)、NOC(国内オリンピック委員会)/NPC(国内パラリンピック委員会)に属し、選手と一体となって行動する者(審判、指導者(監督、コーチ)、トレーナー、練習パートナー、キャディ、スタッフ、ドクター、パラアスリート介助者等)をいう。以下同じ。)はそれぞれ何名程度の人員が関係し、日本国内で活動すると想定しているのか。」と伺ったところ、「組織委員会において精査中であること等から、現時点でお尋ねについてお答えすることは困難である。」という答弁があったが、「アスリート等」及び「大会関係者」の想定人数は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催可否を検討するにあたっての基礎的な重要事項だと考える。そこで再度伺うが、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を無観客又は国内の観客のみで開催する際、令和二年十二月二日に公表された「東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型コロナウイルス感染症対策調整会議 中間整理」(以下「中間整理」という。)六頁で対象とされたアスリート等(出場選手に加え、IOC(国際オリンピック委員会)/IPC(国際パラリンピック委員会)、IF(国際競技連盟)、NOC(国内オリンピック委員会)/NPC(国内パラリンピック委員会)に属し、選手と一体となって行動する者(審判、指導者(監督、コーチ)、トレーナー、練習パートナー、キャディ、スタッフ、ドクター、パラアスリート介助者等)をいう。以下同じ。)及び、中間整理二十二頁において検討対象とされたアスリート等以外の大会関係者((1)主催者等(@主催者等(IOC、IPC、NOC、NPC、IF、マーケティングパートナー(MP))、A要人)、(2)メディア(オリンピック放送機構、放送権者、報道各社)、(3)大会スタッフ(@職員、A大会ボランティア、Bコントラクター)及び(4)都市ボランティアをいう。以下同じ。)はそれぞれ何名程度の人員が関係し、日本国内で活動すると想定しているのか。また、「アスリート等」及び「大会関係者」のうち、それぞれ何名程度が訪日外国人であると想定しているのか、現時点における政府の想定を伺いたい。
2 検査と隔離について
中間整理六頁において、アスリート等に対して、出国時には、「出国前(七十二時間以内)に検査を受検し、「陰性」の検査証明を取得(※検査証明を取得できない国の扱いは更に検討)」、「入国前十四日間の健康モニタリングの提出を求める」等とされており、入国時には、「空港において検査を受検(検査結果判明まで、指示した待機場所に留まる)」とされている。
@ これらの「検査」とはどのような検査を指すのか、示されたい。
A これらの「検査」には変異株のスクリーニング検査も含まれるのか、詳細を示されたい。また、含まれるとしたら何%くらいの方にスクリーニング検査を行う想定であるのか、現時点における見解を示されたい。
B PCR検査はその瞬間の保菌状態を判定する指標となるが、陽性だが陰性と判定される偽陰性も一定数の割合で発生するため、必ずしも新型コロナウイルスの陽性者を検査できるものではない。また、昨今ではフランスにおいてPCR検査をすり抜ける「ブルターニュ変異株」が発見されるなど、検査の在り方が非常に難しくなっている。日本への入国者に関しては水際対策として十四日間の待機措置(自主隔離)が本来的には求められると考えられるが、アスリート等には十四日間の待機措置が適用されるのか、現時点における想定について詳細を示されたい。
C 中間整理七頁において検討対象とされた入国空港からホストタウン等を経由して選手村に移動するケースについては、十四日間の隔離措置は行わず、そのままホストタウン等に移動することを想定しているのか。また、その際には、どの程度のアスリート等やアスリート等以外の大会関係者の人員が移動することを想定しているのか、「ホストタウン等」と相手国・地域との交渉状況も含めて、現時点における想定について見解を示されたい。
3 陽性者及び濃厚接触者の出場の是非について
@ 中間整理二十頁において、「無症状だが陽性判定が出たアスリートについては、再検査で陰性結果を得た場合には出場を認めるなど、予め定められた手順に従って最終診断し、競技参加の可否を判断する。」とされているが、繰り返し陽性であった選手は、無症状であっても出場できないという理解でよいか、見解を示されたい。
A 中間整理二十頁において、「濃厚接触者の出場可否については、開催地の保健衛生当局の判断が優先されるという見解のIFが多かったことを踏まえ、引き続き国・都・組織委員会との間で対応を協議する。また、濃厚接触の可能性有りとしてリストアップされたものの、特定に至る前の者についての出場等の扱いについても整理を行う。」とされているが、どのような論点が検討され、どのような状態であれば出場できる、出場できないとされるのか、現時点における想定について詳細を示されたい。
4 選手村の想定について
中間整理十二頁において、選手村の本村となる晴海は「ベッド数:一万八千ベッド(オリンピック)、八千ベッド(パラリンピック)」、「関係者数:選手団約一万八千人、来訪ゲスト/メディア等約二千人/日、スタッフ約八千人/日」とされているが、現在においてもこの想定には変わりないか、見解を示されたい。また、中間整理十三頁には、選手村の宿泊棟における対策として「選手団が多くの時間を過ごすスペース。戸数に限りがあり、一部屋あたり複数利用が避けられないため、各アスリート等が安心して過ごすことができるよう感染防止策を実施」と記載されているが、どの程度の平米数の部屋に何名から何名程度が同室で宿泊することを想定しているのか、具体例を交えながら現時点における想定について詳細を示されたい。
5 新型コロナウイルスワクチンについて
IOCのトーマス・バッハ会長が、中国オリンピック委員会から、東京オリンピック・パラリンピック競技大会と二〇二二年北京冬季オリンピック・パラリンピック競技大会の出場者ら向けに新型コロナウイルスワクチン提供の申出があったと明らかにした。
@ 「中国が提供すると申し出ているワクチンは、シノバック、シノファーム、カンシノ・バイオロジクスなど、中国のどの種類の新型コロナウイルスワクチンなのか、把握していれば伺いたい。」と伺ったところ、「政府としてはお答えする立場にない。」という答弁を頂いたが、これは政府として承知していないし、確認することもないという理解でよいか。
A 把握していなければ、今後本件についてIOCや中国とコミュニケーションを取る想定があるか、見解を伺いたい。
B 「中国製の新型コロナウイルスワクチンは、ブラジル、トルコ、インドネシア、UAE(アラブ首長国連邦)などで使われているが、使用するには各国の薬事承認が必要となる。シノバック、シノファーム、カンシノ・バイオロジクスにはファイザーやアストラゼネカのような日本法人がなく、また、モデルナが武田薬品工業と行っているような日本企業との連携もないと承知している。ファイザーは、約三か月(令和二年十二月十八日〜同三年二月十四日)で薬事承認を取り付けたが、今は、アストラゼネカやモデルナなどの薬事承認も並行して行われているので、PMDA(医薬品医療機器総合機構)のリソース的にもこれら以外のワクチンが東京オリンピック・パラリンピック競技大会までに承認されるということは現実的には難しいと考えるが、この見解は政府の見解と相違がないか。もし相違があれば、政府は現時点において、中国製の新型コロナウイルスワクチンが東京オリンピック・パラリンピック競技大会までに薬事承認される可能性についてどのように考えているのか、所見を伺いたい。」及び、「中国製の新型コロナウイルスワクチンを日本のアスリート等及びアスリート等以外の大会関係者が接種することは、現実的には難しいと考えるが、この見解は政府の見解と相違がないか。もし相違があれば、政府の現時点における想定について見解を伺いたい。」と伺ったところ、「お尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは困難である。」という答弁を頂いたが、政府としてはこの程度の仮定の想定も行っていないという理解でよいか。それとも仮定については想定しているが、何か説明できない理由があるのか。
C 「現在日本で承認されているファイザーの新型コロナウイルスワクチンは、二十一日間の間隔をあけて計二回接種する必要があり、完全な効果が表れるのは二回目の接種から七日後である。東京オリンピック・パラリンピック競技大会までに効果を得るとすると、アスリート等及びアスリート等以外の大会関係者は遅くても六月中旬には一度目の接種を終える必要がある。六月頃には、高齢者への優先接種が行われている時期であると想定され、丸川珠代東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣も、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催については、「ワクチン接種を前提としない」と明言していることを踏まえれば、日本のアスリート等及びアスリート等以外の大会関係者に新型コロナウイルスワクチンの優先接種が行われることは前提としていないという理解でよいか、政府の見解を確認したい。もし見解に相違があり、日本のアスリート等及びアスリート等以外の大会関係者に新型コロナウイルスワクチンの優先接種が行われる可能性があれば、政府における現時点の想定について見解を伺いたい。」と伺ったところ、「新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種を前提としなくとも安全・安心な大会を開催できるよう、必要な防疫措置をはじめとした総合的な新型コロナウイルス感染症対策について、IOC、組織委員会、東京都等との緊密な連携の下、現在検討を進めているところである。」という答弁を頂いたので確認をするが、これは、日本のアスリート等及びアスリート等以外の大会関係者に新型コロナウイルスワクチンの優先接種が行われることは前提としていないという理解でよいか、政府の見解を伺いたい。
6 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の中止、再延期、無観客開催、観客数に上限を設けた上での開催などに関する政府の考え方について「それぞれどのような見解を持っているのか、政府における現時点の考え方を伺いたい。」「政府としては再延期について、交渉の余地があると考えているのか、それとも何かしらの理由がありできないと考えているのか、詳細を交えながらご説明を頂きたい。」と伺ったところ、「お尋ねの『交渉の余地』の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、大会については、令和二年三月三十日(スイス時間)に開催されたIOC臨時理事会において、東京オリンピック競技大会の開催日程は、令和三年七月二十三日から同年八月八日までとなることが、東京パラリンピック競技大会の開催日程は、同月二十四日から同年九月五日までとなることが承認されたものと承知しており、また、同年三月二十日(日本時間)に開催されたIOC、国際パラリンピック委員会、東京都、組織委員会及び政府による五者協議において、大会における観客の上限については、国内イベントの上限規制に準ずることを基本として、同年四月中に基本的な方向性を示すことが確認されているところであるなど、大会開催に向けた準備が進められているところである。」という答弁を頂いたが、内容が質問に答えられていないので、再度質問する。
@ 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の中止、再延期、無観客開催、観客数に上限を設けた上での開催など、それぞれに関して政府は、どのようなシミュレーションを持っているのか、現時点の考えを伺いたい。
A 政府としては再延期について、「交渉の余地(関係各所と交渉できる可能性と定義する)」があると考えているのか、それとも何かしらの理由がありできないと考えているのか、詳細を交えながらご説明を頂きたい。
右質問する。