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令和三年四月二十一日提出
質問第一〇八号

外来生物の防除のあり方に関する質問主意書

提出者  長尾秀樹




外来生物の防除のあり方に関する質問主意書


 南米原産のゴキブリ「アルゼンチンモリゴキブリ」が千葉県の野外で確認されたとの事例がある。このゴキブリは、ペットとして飼われている爬虫類や魚の生き餌として大量に輸入されており、一部が野外に放たれたとみられ、加えて、平成二十九年から令和二年まで四年間、ほぼ同じ場所で生息していることも確認され、野外で繁殖している可能性がある。現時点で生態系への影響は不明ではあるが、繁殖が容易なため在来種を駆逐したり、人間にとって新たな害虫になるおそれもある。そこで、以下の事項について質問する。

一 植物防疫法関係について
 1 南米原産のゴキブリ「アルゼンチンモリゴキブリ」など海外に生息する昆虫や生物が国内で野外に放たれた場合、在来の生物等への影響が懸念されるが、生き餌、いわゆる生きている昆虫や生物はどのくらい輸入されているのか、輸入の状況について伺いたい。
 2 我が国の農作物や樹木などの植物に大きな影響を与えるおそれのある昆虫や生物は、植物防疫法により生きたままでの輸入が禁止されている検疫有害動物に該当し、輸入することができないこととなっている。
  しかし、検疫有害動物に該当しない場合であっても、生きている昆虫や生物を輸入する場合には消毒などが十分ではなく、病害虫やウイルス等が付着していることも考えられるのではないか。
  生きている昆虫や生物を輸入する際は、植物検疫法においてどのような手続きが必要とされているのか。また、輸入時には防疫のための検査等が行われているのか、植物防疫法における規制の状況について伺いたい。
 3 これまで我が国に生息していなかった昆虫や生物が生きている状態で輸入され、国内で野外に放出された場合に生じる生態系や農林水産業への被害の危険性や、蚊などが媒介する感染症が人命に脅威を与えている状況等を鑑みると、生きている昆虫や生物を安易に輸入することには慎重になるべきではないかとも考えられる。
  生きている昆虫や生物の輸入は原則禁止として許可制にするなど、輸入規制の強化について政府の見解はいかがか。
二 外来生物法関係について
 1 特定外来生物による生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害を防止するために、いわゆる外来生物法がある。問題を引き起こす海外起源の外来生物を特定外来生物として指定し、その飼養、栽培、保管、運搬、輸入といった取扱いを規制し、特定外来生物の防除等を行っている。
  アルゼンチンモリゴキブリは、特定外来生物に指定されていない。しかし、国内での繁殖が疑われるような状況であり、生態系等に被害を及ぼすおそれがあるかどうか調査を行う必要があるのではないか。調査を実施していない場合には早急に実施すべきだと考えるが、いかがか。
 2 現行の外来生物法における特定外来生物の指定については、指定までに時間がかかり、その間に生息域が拡大してしまう、との指摘がなされている。生息域が拡大すればするほど、その防除には多くの予算や時間がかかることになり、被害も大きくなる。特定外来生物の指定に際し、手続きを迅速化させる必要があるのではないか。
 3 平成二十七年、環境省と農林水産省により、侵略性の高い外来種を科学的知見から選定した、「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種リスト)」が策定されている。外来生物法の規制対象となる特定外来生物や未判定外来生物以外にも生態系等への被害が顕在化している外来生物が存在している中、生態系被害防止外来種リストを活用し、法体系の中に特定外来生物等以外の外来生物を位置付け、対策を講じることが必要ではないか。特定外来生物等以外の外来生物に対する規制の強化に対する見解を伺いたい。
 4 特定外来生物の防除は、地域の特性や事情等を勘案しながら、地域ごとに進めることが重要である。とりわけ近年では、ヒアリ等の侵入に見られるように、特定外来生物がコンテナや荷物などに紛れ込み、非意図的に持ち込まれてしまう事例も頻発している。こうした状況を踏まえ、防除に関する民間事業者や地方公共団体等の果たす役割は一層大きくなっていることから、国と地方公共団体や民間事業者等との間での防除の役割分担や連携のあり方について改めて見直すべきではないか。今後の特定外来生物の防除のあり方についての見解を伺いたい。
三 国際的取組について
 1 貿易の自由化が進む中、貿易に係る物流量が増加し、非意図的にも外来生物が国内に侵入する可能性が一層高くなっている。また、日本原産の生物が他国の地域の生態系等に影響を及ぼす可能性も考えられる。外来生物に対する方策としては、侵入後の防除や根絶より、未然の水際における侵入・移出防止が効果的であると考える。その意味で、貿易に関わる各省庁の連携の下に、水際対策として外来生物の国際検疫等の取組強化が必要だと考えるが、政府はどのような取り組みをしているか。
 2 先に述べたとおり、外来生物の侵入・移出防止として、輸出・輸入いずれの際にあっても検疫等を強化することが外来生物に対する方策として最も効果的と考える。我が国と貿易相手国との間での効果的な検疫手法やモニタリング手法の開発とその共有の国際的取組はどの程度進んでいるのか。さらには、外来生物の生態情報の共有や侵入ルートの解明等を通じた国際連携の強化を始めとして、水際対策としての外来生物の防除等の体制を強化する国際的システムを早急に構築すべきだが、政府の見解を伺いたい。

 右質問する。

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