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令和三年五月二十日提出
質問第一三九号

特定原産地証明書発行に関する各国の運用に関する質問主意書

提出者  松原 仁




特定原産地証明書発行に関する各国の運用に関する質問主意書


 自由貿易の枠組みが、GATT(関税及び貿易に関する一般協定)、WTO(世界貿易機関)という多国間協定から、国別・地域別の経済連携協定(EPA)へと移っている。
 EPAにおける貿易において、日本から輸出される産品が、EPAに基づく原産資格要件を充足していることを証明すると、相手国税関において、EPAで合意された通常の関税率よりも低い関税率の適用を受けることができる場合がある。そして、当該日本からの輸出産品がEPAに基づく原産資格要件を充足している特定原産品であることを証明する書類を特定原産地証明書という。
 過去、日本では、経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律に基づいて認定を受けた特定原産品に関し、実際には原産資格要件を満たしていなかったにもかかわらず特定原産地証明書が発給され、後に、当該発給の決定が取り消される事案があった。その後、原産品判定時の審査状況を確認したところ、一部の指定発給機関の判定事務所において、経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律施行規則で審査のために提出を要求されている資料が適切に提出されていないにもかかわらず、審査を実施していた事例が確認された。
 このような、過去の不正事例は、特定原産地証明書の信頼性についてEPA締約国等に疑義を生じさせかねない。
 もっとも、このようなEPA締約国間等に疑義を生じさせかねない事態が生じるということは日本に限ったこととはいえない。
 そこで、次のとおり質問する。

一 EPA締約国間の関係について
 1 政府として、日本が締約当事国となっている経済連携協定(EPA)締約相手国において、経済連携協定に基づく特定原産地証明書が不正に発給されていた事例を確認しているか。
 2 前項の確認を行っている場合、どのような手続に基づいて確認しているか。また、そのような確認を行っていない場合、それはどのような理由からか。
 3 マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)においては、相互審査制度が導入されているが、特定原産地証明書の発行手続に関しても、EPAに基づく原産資格要件が輸出相手国における関税率に影響し、輸出競争力に影響するものであるから、EPA締約国間で平仄をとって競争条件が整えられるべきであり、FATF同様の相互審査制度を導入すべきと考えるが、政府として如何。
二 中小企業におけるEPAを活用した輸出促進について
 1 EPA締約国は、多くの国・地域にわたることから、これら国・地域の貿易実務の熟知は、輸出産品、殊に部品点数の多い工業製品を製造・生産する中小企業にとっては、専門人材の不足や情報の収集・集積の点で容易ではないという声がある。EPAによる輸出促進の実を上げるには、EPA相談デスクの拡充など貿易業務に関する煩雑な諸手続に対する中小企業を支援する枠組みを拡充すべきと考えるが、政府として如何。
 2 前項に関し、特に、中小企業にとって、輸入国側の関税減免が輸出促進に直結するが、特定原産地証明書の取得に多大な労力を要しているという声がある。中小企業による同証明書の取得に関し、同証明書の取得に精通している民間人のネットワーク化を進めるとともに、先進市町村で活躍している職員や民間専門家が広く地域人材ネット(地域力創造アドバイザー)としてデータベース化されているのと同様のデータベースの構築を検討すべきと考えるが、政府として如何。
 3 EPAの影響低減を旨として、主に国内製造業一般を対象とする政策について、「中堅・中小企業等の新市場開拓のための総合的支援体制の強化」のための予算として、三十三億円が令和二年度第三次補正予算で計上され、九十二億円が令和三年度予算で計上されている。中堅・中小企業等のEPAを活用した輸出促進が日本経済の発展に不可欠であることは明らかであることから、前二項の政策実現も考慮に入れて、必要に応じて「中堅・中小企業等の新市場開拓のための総合的支援体制の強化」のための予算を拡大することを検討すべきと考えるが、政府として如何。

 右質問する。

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