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令和三年六月九日提出
質問第一七八号

GIGAスクール構想実施にあたって発達期にある児童生徒の心身に与える影響への配慮に関する質問主意書

提出者  青山大人




GIGAスクール構想実施にあたって発達期にある児童生徒の心身に与える影響への配慮に関する質問主意書


 PISA(OECD(経済協力開発機構)の生徒の学習到達度調査)の二〇一八年調査結果にもあるように日本では学校の授業におけるデジタル機器導入が海外と比べて遅れている実情があり、GIGAスクール構想(以下、「構想」という。)の実施自体は否定するものではない。
 しかし、構想の実施にあたって、発達期にある児童生徒の心身への影響につき配慮が十分になされているか懸念がある。VDT症候群(デジタル機器の利用が原因で心身が不調になる状態)が存在し、「スマホ脳」という本が近年ベストセラーとなるように、我々成人においてもデジタル機器利用においては自己管理が難しいところがある。
 まして、身体が発達途上の児童生徒に対しては、スクリーンタイムが増えることで、睡眠トラブル、集中力低下、視力や筋骨格等への悪影響の可能性、手書きで文字を書く等で養われる運動能力の低下のおそれが、すでに眼科や小児科等の医学専門家から指摘されている。視覚と聴覚刺激のみのデジタル機器利用の時間が長くなれば、脳の発達への影響も懸念される。また、海外で子ども・若者への複数の調査結果をまとめたところ、スクリーンタイムが長時間になるほど鬱のリスクが高まるという報告もある。
 日本の児童生徒も学校外でのデジタル機器利用は進んでおり、構想の実施でさらに利用時間が今後増えることが容易に予想される。
 IT化の進む韓国では、国を挙げて二〇〇〇年から青少年のネット依存問題に対して取組を始め、レスキュースクールという仕組みがある。授業でのデジタル機器利用時間がOECD諸国の中でも上位にあがるスウェーデンでは、授業開始前に体を動かす運動を取り入れたところ児童の集中力改善につながったという取組事例が見られる。
 これらからして、心身発達への影響の配慮が不十分なまま、全国一斉にデジタル機器利用を推進していくことは、児童生徒の心身発達へ重大な影響を与えかねず、将来、取り返しのつかない社会的損失になりかねない。
 一方、構想では、デジタル機器利用における自己の健康管理対策については、啓発広報の他、今年三月十二日発出の文部科学省による通知(二文科初第一九六二号)では教育現場の配慮に委ねられ、重点が置かれているとはいえず、実効性が担保されていない。
 発達期にある児童生徒の健康に関わる問題であり、全国一斉に取り組む構想だからこそ、ぜひ国を挙げて、デジタル機器導入推進と同時に心身への影響への具体的対策やフォローアップが必要だと考える。
 そこで、以下質問する。

一 構想において、デジタル機器を使う場合には必ず運動する時間を取り入れることや長時間スクリーンを眺めやすくなるドリル学習にはデジタル機器を用いない等、児童生徒の心身発達への影響に十分配慮した実効性のある具体的対策は含まれているか。含まれていない場合、検討すべきと考えるが、政府見解を伺う。
二 構想において、デジタル機器利用の児童生徒の心身への影響について、長期に渡る科学的な追跡調査を行うことは、今後政策の検証や改善をする上で有用と考える。このような追跡調査を行う予定はあるか。ない場合、検討すべきと考えるが政府見解を伺う。

 右質問する。

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