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令和三年十二月九日提出
質問第一〇号

中国の人権状況と北京冬季五輪の外交的ボイコットに関する質問主意書

提出者  松原 仁




中国の人権状況と北京冬季五輪の外交的ボイコットに関する質問主意書


 中華人民共和国(中国)の人権状況は、改善の兆しが見えない。
 西日本新聞電子版の令和三年十二月二日付記事によれば、中国の新疆ウイグル自治区で、ウイグル人が人口の八割超を占める二十八市県のうち二十七市県の出生率が、平成二十六年から三十年の五年間に約二割から九割減少していたことが自治区政府の統計資料で分かった、出生率が下がる一方、死亡率が高まり、移住を除く人口増加率が五年間で約十分の一に低下した地域もあった、漢族が集まる地域は出生率が上がっており、不妊処置強要などウイグル人を狙った人口抑制策が実施された疑いが強まった、としている。
 米国国務長官は本年一月十九日、中国共産党の指導・統制下にある中国は、新疆の主としてイスラム教徒のウイグル人や他の民族的・宗教的少数集団に対して、人道に対する罪およびジェノサイド(民族大量虐殺)を犯したと認定した。報道声明のなかで国務長官は、「このジェノサイドは現在も行われていると考えられ、私たちは一党独裁国家・中国によるウイグル人壊滅の組織的企てを目撃しているのである」と述べている。
 チベットでも過酷な弾圧が止まらない。チベット・タイムズによれば本年十月二十日と二十一日、中国当局はチベットのツォングン地区(中国名:青海省)の二つの僧院から、約八十名のチベット人僧侶を強制的に追放した。
 香港の裁判所は本年十一月十一日、香港独立を訴えるスローガンを唱えプラカードを掲げたとして、香港国家安全維持法違反の罪に問われた馬俊文被告に対し、禁錮五年九月の実刑判決を言い渡した。
 南モンゴルでは、モンゴル語による教育が大幅に制限されるなど、モンゴル人に対する弾圧が深刻化している。
 ナチスドイツが昭和十一年のベルリンオリンピック(第十一回オリンピック競技大会)を成功させるため、ユダヤ人迫害政策を一時的に緩和した歴史を考え合わせるとき、本職は戦慄を覚えずにはいられない。
 右の点をふまえて、以下質問する。

一 中国の人権状況について、政府の見解如何。
二 「衆議院議員松原仁君提出北京冬季五輪の外交的ボイコットに関する質問に対する答弁書」(内閣衆質二〇六第四号)で政府は、「第二十四回オリンピック冬季競技大会・第十三回パラリンピック冬季競技大会の開会式又は閉会式への我が国要人の出席については、こうした仕組みも踏まえつつ検討することとなるが、現時点では何ら決まっていない。」と答弁したが、検討に当たって中国の人権状況は重要な要素か。
三 本年二月二十六日の衆議院予算委員会第三分科会におけるウイグル人への人権侵害に関する本職の質問に対して、茂木敏充外務大臣(当時)は「人権であったりとか法の支配、基本的な価値観については、日本は絶対に譲らない」「基本的な価値観について譲るというつもりは全くありません」と答弁した。かかる答弁に変更はないか。
四 平成二十五年十二月十七日に閣議決定された国家安全保障戦略は、「さらに、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値やルールに基づく国際秩序を維持・擁護することも、同様に我が国にとっての国益である。」とした。変更はないか。
五 北京冬季五輪のいわゆる外交的ボイコットについて、岸田文雄内閣総理大臣は本年十二月七日、「我が国の対応は、オリンピックの意義、さらには、我が国の外交にとっての意義などを総合的に勘案し、国益の観点からみずから判断していきたい。これが我が国の基本的な姿勢だ」と述べた。日本国憲法前文に「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」とある。岸田総理が述べた「我が国の基本的な姿勢」は、日本国憲法前文を前提としたものか。

 右質問する。

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