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令和三年十二月十四日提出
質問第一六号

特許出願の非公開制度の導入に関する質問主意書

提出者  櫻井 周




特許出願の非公開制度の導入に関する質問主意書


 特許制度は、発明者には一定期間、一定の条件のもとに特許権という独占的な権利を与えて発明の保護を図る一方、その発明を公開して利用を図ることにより新しい技術を人類共通の財産としていくことを定めて、これにより技術の進歩を促進し、産業の発達に寄与しようというものである。すなわち、特許出願の公開と独占的な権利は、特許制度の根幹をなす。
 一方で、令和三年六月十八日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針二〇二一」において、「特許の公開制度について、各国の特許制度の在り方も念頭に置いた上で、イノベーションの促進と両立させつつ、安全保障の観点から非公開化を行うための所要の措置を講ずるべく検討を進める。」とある。また、経済安全保障担当の小林大臣は、「技術流出の防止の観点では、特許の非公開制度というものも検討しなければいけない」と発言した。この背景として、特許出願の明細書に記載されている機微技術情報が海外に流出すると我が国の安全保障を脅かされかねないという問題があると考えられる。こうした問題を踏まえて、私は第一国出願制度や秘密特許制度を導入すべきと国会(例えば、平成三十年四月十二日衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会)で提案してきたところである。
 今般、政府において特許出願の非公開制度について導入の検討を始めたことは評価するものの、本制度の導入においては多くの課題があるところ、以下、質問する。

一 特許出願の非公開制度の導入は、特許制度の根幹を変更するものであることから、産業構造審議会などでの丁寧な審議が必要と考えるが、政府の見解如何。
二 特許出願の非公開制度を導入するのであれば、日本国内での発明は最初に日本で出願しなければならないとする第一国出願義務を課す必要があると考えるが、政府の見解如何。
三 特許出願を非公開とするかどうかを判断する主体として、特許庁や防衛省などが想定されうるところ、いずれにするとしても責任の所在を明確にする必要があると考えるが、政府の見解如何。
四 非公開にすべき特許出願と判断された場合であっても、審査請求があれば審査は行い、出願人が特許権を取得する道筋を残すべきと考えるが、政府の見解如何。
五 特許権を侵害した者に対する過失推定(特許法第百三条)は特許出願の公開が前提である。逆にいえば、非公開となっている特許権についての侵害を過失として推定することはできないと考えるが、政府の見解如何。また、特許法第百三条の過失推定が働かないとされた場合には、特許権に基づく損害賠償請求(民法第七百九条)は難しくなるところ、政府は特許権の保護をどのように確保するのか。
六 非公開となっている特許権について、当該特許を知らずに実施していた者が特許侵害として認定されることとなれば、経済的活動における自由が損なわれるというマイナスの効果が懸念されるが、政府の対応如何。

 右質問する。

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