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令和三年十二月十六日提出
質問第三七号

新疆ウイグル自治区における中国政府の人権侵害は「ジェノサイド」にあたるのかに関する質問主意書

提出者  井坂信彦




新疆ウイグル自治区における中国政府の人権侵害は「ジェノサイド」にあたるのかに関する質問主意書


 アメリカ合衆国政府は十二月六日、来年二月に中国・北京で行われる冬季オリンピックを外交ボイコットすると発表し、政府の代表団を派遣しないと説明した。
 ホワイトハウスのジェン・サキ報道官によると、中国政府が新疆ウイグル自治区で人権侵害と残虐行為を実施していることが、北京オリンピックをボイコットする理由だという。
 同様に、イギリスやオーストラリア、カナダなどが、中国政府の新疆ウイグル自治区における人権侵害を理由として北京オリンピックの外交ボイコットを実施すると発表した。
 これに対して十二月十三日の衆議院予算委員会における自民党高市早苗議員の「日本政府の方針を現段階でどう考えているか」との質問に、岸田文雄首相は「対応については適切な時期に、オリンピック・パラリンピックの趣旨、精神、外交上の観点といった諸般の事情を総合的に勘案した上で、国益に照らして自ら判断する。適切なタイミングを選んでしっかりと明らかにしたい」と答弁した。
 そもそも、なぜ日本が北京オリンピックの外交ボイコットを検討するのか、それは言うまでもなくアメリカ政府の発表を契機としていることは間違いない。従って、アメリカ政府が北京オリンピックを外交ボイコットするという決断をした背景にある、中国政府の新疆ウイグル自治区における人権侵害と残虐行為について、日本政府はどのような認識を持っているのか、明らかにするために次の事項について質問する。

一 ウイグル族に対する中国政府の弾圧について、アメリカのトランプ前政権は「国際法上のジェノサイド(民族大虐殺)にあたる」と認定している。バイデン政権もこの認識を踏襲し、中国政府による弾圧を国際法上の犯罪にあたる「ジェノサイド」であり、「人道に対する罪」と非難している。
 これに対して、令和三年一月二十九日の茂木外務大臣会見記録によると、NHKの記者がアメリカのジェノサイド認定に対して日本政府の認識を問うたのに対して、茂木外務大臣は「我が国としても同自治区の人権状況については深刻に懸念をしている」「自由、基本的人権の尊重、法の支配が保障されることが重要であると考えており、米国を含み関係国とともに、国際社会が緊密に連携をして、中国側に強く働きかけていくことが重要である」と述べるに留まり、中国政府のウイグル族に対する弾圧を「ジェノサイド」だとは述べていない。
 さらに、令和三年一月二十六日付けの毎日新聞によると、自民党の外交部会で日本として「ジェノサイド」とは認めていないとの認識を示したとされる。
 単純に明確に問う。日本政府は、北京オリンピックで外交ボイコットを表明したアメリカ合衆国と同様に、中国政府のウイグル族に対する弾圧を、「ジェノサイド」と認識しているのか。
 北京オリンピックを外交ボイコットすることは、当然のことながら、国益に重大な影響を及ぼす。だからこそ、その理由や根拠は明確にするべきである。その根幹にあるのが、中国政府のウイグル族に対する弾圧が「ジェノサイド」であると認識するか否かであると考える。「人権状況への懸念」など曖昧な表現ではなく、明確に、簡潔に、「中国政府のウイグル族に対する弾圧をジェノサイドと認識しているか否か」について答弁することを求める。
二 二〇二二年は日本と中国の国交正常化五十周年に当たり、日中関係にとって非常に重要な節目の年として様々な外交イベントが企画されている。一方で、中国政府のウイグル族に対する人権状況は、北京オリンピックを外交ボイコットするだけでは改善されない可能性が高い。北京オリンピック以外にも外交ボイコットを検討しているのか。特に日中国交正常化五十周年に関するイベントについても、外交ボイコットを行う可能性を検討しているのか。政府の見解を問う。

 右質問する。

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