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令和四年二月三日提出質問第一一号
ヒトラーに例えて政治家等を論評する行為などの法的評価に関する質問主意書
提出者 米山隆一
ヒトラーに例えて政治家等を論評する行為などの法的評価に関する質問主意書
ヒトラーに例えて政治家等を論評する行為などについて、「国際法上あり得ない」「国際的にはご法度」、さらには「ヘイトスピーチに厳しいフランスやドイツの法規制ではヘイトスピーチに該当する可能性がある」などとする見解が、政治家、学者、有名なコメンテーターなどによりマスコミ等を通じて流布されている。正しい国際法、国内法規制等の認識を確認するために、以下の発言を例に政府の見解を問う。
1 二○一二年三月十八日、谷垣禎一自由民主党総裁(当時)は、橋下徹氏が率いる「大阪維新の会」の国政進出に期待が高まる政治状況について、講演で「政党政治が駄目だということで昭和十年代に日本で軍部が出てきた。ヒトラー、ムソリーニが出てきた時もそういう雰囲気だったのだろう。」と発言した(以下「谷垣発言」という。)。
2 また、二○一三年七月二十九日、麻生太郎副総理(当時)は、憲法改正議論について、「(ヒトラーの)あの手口を学んだらどうかね。」と発言した(以下「麻生発言」という。)。
3 さらに、二○一五年十一月二十四日、自民党の西田昌司参議院議員は、自身のインターネット動画で、一般の方からの「ここ最近、橋下徹がヒトラーに見えてきました。私は眼科診断に行くべきでしょうか」との質問に対し、「普通そう見えるんですけどね。見えるというか、おそらくですね、橋下さんはヒトラーの研究をされてるんじゃないですかね。ヒトラーが世の中を、ドイツを制してきたのはまさに大衆から支持されてですね、熱狂の中で選ばれてきてるんですよね。この熱狂がヒトラーを生み出すんですよね。だから、橋下さんのやり方、熱狂させる、そのためにはありとあらゆることでメディアを使い、やってるってことで、ヒトラー戦略そのものをやっておられんじゃないか、ということで。ですから、正しく見えておられんじゃないでしょうか。」と発言した(以下「西田発言」という。)。
これらの、谷垣発言、麻生発言、西田発言のそれぞれについて、法的な観点からどう捉えるべきか、以下質問する。
一 谷垣発言、麻生発言、西田発言それぞれは、日本政府の見解として、国際法に反するまたは抵触すると認識するか。反するまたは抵触すると認識する場合は、具体的な国際法の法条とともにご回答されたい。
二 谷垣発言、麻生発言、西田発言のそれぞれは、外国で行われた場合、日本政府の見解として、当該国の法律で犯罪に該当すると認識するか。該当すると認識する場合は、具体的な国名、法条とともに回答されたい。特に、「公共の平穏を乱す形で、民族的・人種的・宗教的な集団を罵倒・中傷し、人間の尊厳を傷つけ、憎悪を煽り、暴力を誘発するような行為」「ナチ支配下で行われた行為を是認し、否定し、歪曲化する行為」「集会等でナチ支配を賛美・正当化し公共の平穏を乱す行為」などを禁止したドイツの「刑法百三十条」、「人種等を理由とする名誉棄損及び侮辱、人種等を理由とする差別・暴力行為・憎悪の扇動」などを禁止したフランスの「出版自由法」に該当すると認識するか。政府の把握するところを答えられたい。
三 谷垣発言、麻生発言、西田発言のそれぞれは、日本の国内法に反するまたは抵触するか。抵触すると認識する場合は、具体的な法条とともにご回答されたい。
右質問する。