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令和四年三月二十九日提出
質問第三五号

BWR型原発の水素爆発対策に関する質問主意書

提出者  阿部知子




BWR型原発の水素爆発対策に関する質問主意書


 原子力規制委員会は、東京電力株式会社福島第一原子力発電所(一F)と同型の沸騰水型軽水炉の原発(以後、BWR型原発)の、いわゆる原子炉等規制法に基づく適合性審査を進めてきている。そして、二〇一七年十二月に柏崎刈羽原子力発電所六、七号機(東京電力)の設置変更申請を許可したのをはじめ、二〇一八年九月に東海第二発電所(日本原子力発電株式会社)、二〇二〇年二月に女川原子力発電所二号機(東北電力株式会社)、二〇二一年九月に島根原子力発電所二号機(中国電力株式会社)の申請を許可した。
 しかし、BWR型原発の水素爆発対策は不十分であるとの懸念が専門家や地域住民から寄せられている。そこで、二〇二二年三月十五日に原子力規制庁からの聴き取り(以後、聴き取り)を行ったところ、事後回答を含めて重要な事項が明らかになったため、以下、その確認を含めて質問する。

一 水素爆発対策の重要性についての認識
 一F事故では、一号機、三号機、四号機で水素爆発が発生したとされる。原子炉建屋は爆発で吹き飛んだため、汚染を封じ込める機能を喪失して原発敷地内外に汚染を拡散させただけでなく、建屋内外における事故処理、さらには事故検証さえも著しく困難にさせている。そのため、適合性審査で水素爆発防止策を確認する重要性は極めて高いと認識している。政府としての認識を明らかにされたい。
二 水素爆発が起きた位置についての検証
 聴き取りで、「一F事故に係る三、四号機の水素挙動の解析を行い、再現性を確認しているのか。確認している場合、それに関する資料を教えてほしい」旨を尋ねたところ、手元に資料がないとして、後日、原子力規制庁の東京電力福島第一原子力発電所事故対策室から次のような文書回答が届いた。
 「東京電力にて実施している水素挙動解析は福島第一原子力発電所一号機に関するものであり、三、四号機に関する解析は実施しておりませんでした。」
 1 この回答に間違いはないか。
 2 原子力規制庁の文書回答はさらに、「一号機の水素挙動解析については『福島第一原子力発電所一〜三号機の炉心・格納容器の状態の推定と未解明問題に関する検討第五回進捗報告』(平成二十九年十二月二十五日、東京電力ホールディングス株式会社)の添付一−十に示されています」として、東京電力のウェブサイト「一号機原子炉建屋で発生した水素爆発の解析」を示した。
  ア この水素爆発の解析は、新潟県が設置した「新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」(以後、技術委員会)での二〇一三年の議論がきっかけで始まり二〇一六年までに完了したものである。聴き取りでは、原子力規制委員会は、この解析をもとにBWR型原発の水素爆発の防止対策の妥当性を審査したとのことだったが、技術委員会ではその後も検証は続き、二〇二〇年十月二十六日に新潟県に提出した報告書「福島第一原子力発電所事故の検証」では、一号機の水素爆発について、「五階からの爆風のみで四階の内部が大きく損傷するとは考えにくい」「起点は五階よりも四階の可能性が高い」として、水素爆発が起きた位置については東京電力とは異なる結論を出した。二〇二〇年十月の技術委員会の結論を政府は認識しているか。
  イ 水素爆発が起きた位置を原子力規制委員会が認識しているかどうかは、水素爆発を回避する上で重要であると考えるが、どうか。
 3 どのように水素爆発が起きたのかを、東京電力は一号機では検証したのに、三、四号機では行っていないのはなぜか、政府の知るところを明らかにされたい。
 4 東京電力による「一号機原子炉建屋で発生した水素爆発の解析」は、最後の「まとめ」の後に、柏崎刈羽原発の水素爆発対策の提案を行っている。第三者が見れば、再稼働を行いたい事業者が、再稼働をしやすい対策で済むような解析結果を出したのではないかと疑われても仕方がないと思われるが、政府の見解を明らかにされたい。
 5 政府として独自に、一、三、四号機でなぜ、どこで水素爆発が起きたのかを早急に検証すべきではないか。
三 水素爆発の検証結果に基づく新規制基準への反映
 1 原子炉等規制法に基づく「実用発電用原子炉及びその付属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則」、いわゆる新規制基準では、「水素爆発による原子炉格納容器の破損を防止するための設備」(第五十二条)と「水素爆発による原子炉建屋等の損傷を防止するための設備」(第五十三条)で、水素爆発対策を定めている。
  ア 同規則は幾度もの改正を経ているが、現在の第五十二条及び第五十三条とその解釈が定められたのはいつか、年月日で明らかにされたい。
  イ 同規則とその解釈では、BWR型原発等に、水素爆発対策のための装置設置を義務づけはしたが、設置位置についての義務付けはない。しかし、前述の技術委員会の報告書「福島第一原子力発電所事故の検証」を鑑みれば、水素爆発の回避には、水素爆発対策のための装置は単に設置すればいいのではなく、規則の名称にもあるとおり、設置「位置」が極めて重要である。政府は水素爆発対策のための装置の設置位置について軽視しているのか、重視しているのか、見解を明らかにされたい。
 2 原子力規制委員会の「東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係る検討会」は、二〇二一年三月五日に「東京電力福島第一原子力発電所事故の調査・分析に係る中間取りまとめ〜二〇一九年九月から二〇二一年三月までの検討〜」(以後、中間取りまとめ)を取りまとめ、原子力規制委員会はそれを二〇二一年三月十日に了承した。
  聴き取りの中で、水素爆発対策である水素濃度制御設備や水素排出設備の設置位置などに関する調査・分析を踏まえ、「適合性審査で部分的にやりなおさなければならないという認識があるかどうか」を問われ、原子力規制庁は、「現在は規制の上乗せの必要性の有無について結論を出していない。検討中である」旨を回答した。
  検討の結果、規制を上乗せする可能性があるという理解で間違いはないか。
 3 聴き取りで、一、三、四号機で爆発が起きた原因が、水素以外の可燃性ガスである可能性についても、「中間取りまとめでその可能性はあるとされているため、調査中」である旨を原子力規制庁は回答したが、調査はいつまでに進めるつもりか。

 右質問する。

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