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令和四年六月九日提出
質問第一一七号

厚生労働省の委託事業者「笹川保健財団」による不当労働行為の是正に関する質問主意書

提出者  阿部知子




厚生労働省の委託事業者「笹川保健財団」による不当労働行為の是正に関する質問主意書


 二〇二二年五月九日に東京都労働委員会は、厚生労働省が国立ハンセン病資料館の管理運営を委託した公益財団法人笹川保健財団が、国家公務員一般労働組合の組合員二人(以後、当事者)を採用試験で不採用にしたことは、労働組合法第七条で禁じる組合員であることや組合活動を理由とした不当労働行為に当たると認定し、「令和二年四月一日付けで資料館の職員として採用したものとして取り扱わなければならない」との救済命令を出した。当事者によれば、この命令に対して、笹川保健財団は五月二十四日に中央労働委員会に再審査の申立てを行った。
 そこで、今後について以下質問する。

一 不当労働行為に対する救済措置の長期化是正について
 労働組合法第二十七条の十八には「労働委員会は、迅速な審査を行うため、審査の期間の目標を定めるとともに、目標の達成状況その他の審査の実施状況を公表するものとする」とある。
 1 中央労働委員会は「当委員会に申立てがあった不当労働行為審査事件については、一年三か月以内のできるだけ短い期間内に終結させることを目標とする」としている。当事者が東京都労働委員会に申立てを行ったのは二〇二〇年五月八日であり、救済命令までに既に二年が経過している。同法第二十七条の十九を見ると、中央労働委員会の救済命令等に対して、使用者は救済命令等の取消しを裁判に訴えることができるため、場合によっては不当労働行為が最終的に確定するまでに、最短でも数年以上はかかる。不当労働行為に対する手続として合法であっても、当事者の雇用を迅速に取り戻す制度設計にはなっていないことに気づかされるが、政府の見解は如何。
 2 法第二十七条の十五には「使用者は、都道府県労働委員会の救済命令等の交付を受けたときは、十五日以内(略)に中央労働委員会に再審査の申立てをすることができる。ただし、この申立ては、救済命令等の効力を停止せず、救済命令等は、中央労働委員会が第二十五条第二項の規定による再審査の結果、これを取り消し、又は変更したときは、その効力を失う」と定められている。救済措置の迅速性が求められていると解するが、政府の見解如何。
 3 法第二十七条の十五に基づけば、中央労働委員会が東京都労働委員会の救済命令を取り消すまでは、厚生労働省の委託事業者「笹川保健財団」が受けた「令和二年四月一日付けで資料館の職員として採用したものとして取り扱わなければならない」との救済命令に効力があることを確認したいが、政府の見解如何。
 4 救済命令等の効力を巡り、使用者が命令を忌避したいと意図的に時間稼ぎをすることをどのように防ぐことができるか、明確に答えられたい。
 5 雇用を守る立場の厚生労働省として、不当労働行為に対する救済措置の迅速化をさらにどう進めるのか。
二 労働組合法違反を行った場合の契約解除について
 当事者が入手した厚生労働省健康局と笹川保健財団の間で結ばれた令和三年度国立ハンセン病資料館等の運営などの委託契約書によれば、第三十三条「厚生労働省所管法令違反に係る契約解除」として、笹川保健財団が厚生労働省所管法令違反により行政処分を受けたときには、契約の全部または一部を解除することができると書かれている。
 1 労働組合法違反があった場合は、委託事業契約の解除もあり得ると解されるが間違いはないか。
 2 笹川保健財団に対する「令和二年四月一日付けで資料館の職員として採用したものとして取り扱わなければならない」旨の救済命令は、笹川保健財団が契約解除となった場合でも、笹川保健財団にはその間の給与等の支払義務が生じると解するが間違いはないか。
三 労働契約法の遵守について
 有期労働契約の下で生じる雇止めに対する問題を解消するために、二〇一三年までに施行された改正労働契約法第十八条では「有期労働契約が繰り返し更新されて通算五年を超えた時は、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる」旨が定められた。
 二〇二〇年四月に提出した「国立ハンセン病資料館の嘱託職員雇止めに関する質問主意書」で指摘したように、国立ハンセン病資料館の活動は、厚生労働省が委託する受託者が一年ごとに職員を再雇用する形で支えられている。
 1 国立ハンセン病資料館の嘱託職員を含めて有期労働契約を結んでいる有期労働者には、労働契約法第十八条はすべからく適用されると考えるがどうか。
 2 労働契約法第十八条が遵守されていない場合に、被雇用者が迅速に救済される方法にはどのような手段があるか。

 右質問する。

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