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令和四年六月十日提出
質問第一二四号

障がいを有する子・人への性暴力の根絶に関する質問主意書

提出者  本村伸子




障がいを有する子・人への性暴力の根絶に関する質問主意書


 個人の尊厳を深く傷つける性暴力の根絶は、待ったなしの課題です。
 その中で、障がいを有する子・人へも性暴力被害は及んでおり、被害者は深い傷を負って苦しんでいます。障がいの特性上、被害を受けていることの認識がすぐに持てないケースや、深刻な被害にもかかわらず、被害を正確に訴えることができないと決めつけられ、加害者を罪に問えず、泣き寝入りせざるを得ないケースなどが生じています。
 現在、性犯罪に適切に対処するための法整備の在り方について法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会で審議が行われていますが、被害者が障がいを有することに乗じた性交等及びわいせつな行為に係る罪を創設することを強く求める立場から、以下の点を質問します。

一 性犯罪に関する刑法の「障がい」概念について
 1 刑法第百七十八条における「心神喪失」及び「抗拒不能」とは、具体的にどのような要件かお示しください。
 2 障がいを有することを「心神喪失」という用語で示すことについては、国連障がい者の権利に関する委員会から、「侮蔑的」であり、「障がい者の権利に関する条約」との調和を図るよう指摘を受けています。この指摘について、刑法改正ではどのように対応していくのか、見解を伺います。また、法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会での検討・議論はどのようになされているのか、お示しください。
 3 法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会第六回会議における配布資料のうち、障がいを有する子・人が被害者の場合を含む相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設するための「検討のためのたたき台」の中に、「心身の障害」との文言があります。この「心身の障害」の内容として、障がいの種類や程度について、同部会では主にどのような議論がなされているのか、お示しください。
 4 心身の障がいを有する人は、障がいそのものによる心身の脆弱性に加え、「被害から逃れる知識」「被害から逃れる手段」「被害から逃れる時間」という点でも、圧倒的に不利な状況にあります。刑法改正にあたっては、こうした点にも配慮し、検討されるべきだと考えますが、見解を伺います。
 5 心身に障がいを有する人は、抵抗の意思の示し方が、障がいを有しない人とは異なる場合があります。この場合、被害者が抵抗の意思を示しても、被疑者が「同意をした」と誤信すれば、罪に問えない可能性があります。刑法改正の議論にあたり、こうした障がい特性は、考慮されるべきだと考えますが、見解を伺います。
二 被害者が障がいを有することに乗じた性交等及びわいせつな行為に係る罪の創設について
 1 法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会第六回会議では、心身の障がいを有する人に対し、一定の地位・関係性を有する人として、「障害者施設職員」等が挙げられています。心身の障がいを有する人については、障がい者施設以外にも、生活を共にし、身の回りのケアをする人がいる機関があります。例えば、「病院」「特別支援学校に併設する寄宿舎」などの機関も、議論の対象に含まれているのか、お示しください。
 2 刑法第百七十九条では、十八歳未満の人に対して、その人を現に監護する人であることによる影響力があることに乗じて、わいせつな行為又は性交等をした場合について、監護者わいせつ及び監護者性交等罪を定めています。障がいを有する人は、十八歳を超えても、「監護者」と同様に、生活を共にし、身の回りのケアをする人が存在します。障がいを有する人に対し、生命維持・生活維持に係る地位・関係性にある人についても、監護者と同等に捉えることが必要なのではないかと考えますが、見解を伺います。
三 障がいを有する性暴力被害者を対象とする代表者聴取の試行について
 1 代表者聴取が実施された性犯罪事件の総数をお示しください。
 2 代表者聴取が実施された性犯罪事件について罪名ごとに件数を把握し、分析することが必要だと考えますが、見解をお示しください。
 3 性犯罪事件における代表者聴取実施の判断基準をお示しください。
 4 被害者が障がいを有するにもかかわらず代表者聴取が実施されなかった事件及び実施されなかった理由をお示しください。
 5 代表者聴取が実施された事件の罪名ごとの起訴及び不起訴件数を把握し、分析することが必要だと考えますが、見解をお示しください。
 6 障がいを有する性犯罪被害者への代表者聴取は、現在は「試行」です。本格実施は、どのようなプロセスを経て決定するのか、お示しください。
四 不起訴事件の検証などについて
 「性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ」に提出された資料では、障がいを有する被害者への強制性交等で不起訴となった事件四十三件が示されています。この四十三件の不起訴処分となった理由などの検証を行い、障がいを有する子・人への性暴力を適切に処罰できる法改正が必要と考えますが、見解を伺います。
五 司法へのアクセスについて
 性暴力被害を受けた障がいを有する方が司法へアクセスしようと思っても、受けてくれる弁護士を探すことに困難があるなどハードルが高い状況があります。ハードルを下げるための方策が必要と考えますが、見解を伺います。

 右質問する。

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