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令和四年六月十日提出質問第一三七号
政策金融公庫に対する政治家の口利きに関する質問主意書
提出者 井坂信彦
政策金融公庫に対する政治家の口利きに関する質問主意書
東京地裁は二○二二年五月二十六日、鶏卵業者から大臣在任中に計五百万円の賄賂を受け取ったとして収賄罪に問われた元農林水産大臣・吉川貴盛被告を有罪判決とした。その二日前の二十四日には、貸金業の登録なく日本政策金融公庫の新型コロナウイルス対策特別融資などの仲介を繰り返したとして、貸金業法違反に問われた遠山清彦元財務副大臣の政策秘書を有罪判決とした。遠山清彦元財務副大臣は三月に有罪判決が出ている。
上記二件に共通しているのは、政治家の日本政策金融公庫に対する口利きである。吉川貴盛元農水大臣の裁判では、日本政策金融公庫の融資条件の緩和を求める趣旨を政治献金ではなく賄賂と認識していたと認定されている。遠山清彦元財務副大臣の裁判では、日本政策金融公庫が国会議員や秘書が口利きをした案件に「特別な対応」をしていたことが明るみになった。(二○二二年二月十六日、毎日新聞他各紙)
日本政策金融公庫は四月二十六日、新型コロナウイルス対策特別融資を巡り、遠山清彦元財務副大臣が違法な融資仲介を繰り返していた問題で、内部調査の結果を公表しており、政治家からの仲介案件は、融資申請先の企業よりも先に政治家に審査結果を伝えるなど、「特別な対応」との疑念を持たれかねない行為があったと結論づけた。
毎日新聞が「遠山元議員側に仲介を依頼した複数の企業は毎日新聞の取材に対し、『融資が早まった』と証言したが、調査結果は、具体的な根拠を示さずに『審査日数は、議員紹介案件と他の案件は同程度だった』としている」(二○二二年四月二十八日、毎日新聞)と指摘するなど、日本政策金融公庫による内部調査だけでは、不信感をぬぐい切れない。
さらに日本政策金融公庫の元職員によると、実際には議員本人より秘書を通じた融資の口利きが多く、内部では慎重な対応が求められる「紹介案件」と呼ばれ、審査過程を細かく記録に残していたとされる。公庫の融資仲介をしたことがある元国会議員は「国会議員や秘書の仲介は当たり前に行われている。公庫側も気軽に応じており、政治家の窓口担当者を置いている」と明かしている。(二○二二年二月十四日、時事ドットコム)上記のとおり、内部調査では解明できていない疑惑がまだ残っている。
政治家の口利きによって日本政策金融公庫の融資の判断がゆがめられるようなことはあってはならず、政府は国民の不信を払しょくするため、徹底的に実態を調査する必要があると考えるため以下の質問をする。
一 政府として、政治家と日本政策金融公庫との関係についてさらに詳細な実態調査を行う必要があると考えるが、政府の見解は如何に。
二 政府としてすでに調査を開始しているのであれば、進捗の報告を求める。
右質問する。