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令和四年十月十一日提出
質問第八号

我が国経済の現状と「中所得国の罠」との類似性に関する質問主意書

提出者  櫻井 周




我が国経済の現状と「中所得国の罠」との類似性に関する質問主意書


 「中所得国の罠」とは、多くの開発途上国が経済成長により一人当たりGDPが中程度の水準に達した後、経済成長パターンを転換できず、経済成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷することを指す。世界銀行の報告書「An East Asian Renaissance:Ideas for Economic Growth」では、東アジア諸国は、資本や労働といった生産要素の蓄積を基本とした経済成長戦略が、資本の限界生産性の低下からその成果が徐々に薄れていくとしている。その上で、中所得国の罠から抜け出すには、第一に生産及び雇用の重点化・高度化、第二に技術革新の推進、第三に熟練労働者の教育制度を新たな技術習得から新たな商品やプロセスの創造へのシフト、の三つにより規模の経済を十分に活用することが重要であるとしている。
 我が国は一人当たりGDPで中所得国よりも高い水準にあるものの、今世紀に入ってからは二十年にわたって他の先進各国と比較しても経済成長が低迷しているところ、「中所得国の罠」と類似の課題を有していると考えられる。すなわち、中所得国の罠から抜け出す方法は、我が国の経済が長期低迷から脱する方法を考える際の参考となると考えるところ、以下、質問する。

一 第二次安倍内閣の経済政策「アベノミクス」は、円安で国際比較による我が国の賃金水準を低下させることで生産コストを低下させ、もって輸出における価格競争力を強化するものであった。しかし、これでは既存の産業構造を温存することとなり、産業の高度化を妨げることになると考えるが、政府の見解如何。
二 我が国の経済発展に必要なのは、賃金水準の引き下げによる価格競争力ではなく、産業構造の高度化による高付加価値化であり、価格が高くとも売れる商品・サービスを提供することと考えるが、政府の見解如何。
三 日本の賃金水準が国際比較において低いと、海外から優秀な人材が日本に来なくなり、日本の優秀な人材は海外に逃げてしまうことになりかねない。日本の賃金水準の低下は、我が国の産業の高度化に悪影響を与えることになり、経済発展のマイナス要因になると考えられるが、政府の見解如何。

 右質問する。

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