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令和四年十一月十四日提出
質問第二五号

「日中共同声明」に関する質問主意書

提出者  和田有一朗




「日中共同声明」に関する質問主意書


 本年は、日本国政府と中華人民共和国政府が一九七二年九月二十九日に「日中共同声明」に調印したことを以て国交を樹立した節目の年に当たる。この日、「日中共同声明」に署名した当時の大平正芳外務大臣は北京プレスセンターにおいて記者会見を開き、その最後に「共同声明の中には触れられておりませんが、日中関係正常化の結果として、日華平和条約は、存続の意義を失い、終了したものと認められる、というのが日本政府の見解でございます」と述べ、中華民国との断交を表明した。
 ただし、大平外務大臣は、「日中共同声明」第三項について、調印した翌九月三十日の自民党両院議員総会において「両国が永久に一致できない立場を表した」と述べ、台湾の地位について日本と中国の考えが相容れないことを表明した。
 しかし、中国の李克強首相は「日中共同声明」について「一つの中国の原則を堅持するという重要な態度を含めた」(二〇一八年十月二十五日の日中平和友好条約締結四十周年記念レセプション)と述べているように、中国政府は事あるごとに「『一つの中国』原則を厳守し、中国への内政干渉を直ちに止め中国の利益を損なうことを直ちに止めるよう要求する」(「人民網日本語版」二〇二一年四月十九日)などと述べている。
 一方、昨年来の日米首脳会談やG7の共同声明などで、中国による東シナ海や南シナ海における一方的な現状変更の試みに強く反対し、香港における動向や新疆ウイグル自治区における人権問題についても深刻な懸念を表明した。また「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」ことが表明されている。
 台湾海峡の平和と安定や台湾有事に関心が高まる中、去る七月に凶弾に斃れた安倍晋三・元総理は昨年十二月、台湾向けの講演で「台湾有事は日本有事すなわち、日米同盟の有事でもある」と指摘した。
 このような状況を踏まえ、日中と日台関係を規定する「日中共同声明」を発出してから五十年に当たることから、以下「日中共同声明」に関する政府の認識を確認するために質問する。

一 第三項に記す「十分理解し、尊重」とは、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを「承認」したということか。承認したのか否かを明らかにされたい。
二 「日中共同声明」では「一つの中国の原則を堅持する」と合意しているのか。合意したのか否かを明らかにされたい。
三 大平外務大臣の「永久に一致できない立場」とは、どのような立場か。政府見解を示されたい。
四 日本は一九五一年に調印したサンフランシスコ平和条約の第二条に従い、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄し、台湾の領土的な位置づけに関しての独自の認定を行う立場にはないという政府見解を表明している。
 それにもかかわらず、その後の「日中共同声明」第三項では、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明した中華人民共和国政府の立場に対して「十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」と、台湾の領土的な位置づけに関する政府見解を逸脱するような立場を表明した。
 「日中共同声明」における日本政府の立場は、日本政府の台湾の領土的な位置づけに関する見解を逸脱しているのではないか。逸脱していないとするなら、その理由を明らかにされたい。
五 第六項に「すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する」とある。すべての紛争には台湾有事も含むと考えられる。中華人民共和国は「日中共同声明」において台湾統一は武力に訴えないことを日本に約束したのではないか。

 右質問する。

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