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令和四年十二月六日提出
質問第五一号

動物の多頭飼育崩壊に関する質問主意書

提出者  井坂信彦




動物の多頭飼育崩壊に関する質問主意書


 ペットを飼育することは、健康的な生活やストレスの解消に繋がるだけでなく、子どもたちの思いやりや責任感が育つなど、家族全体の幸福度にも寄与すると言われている。
 しかし令和元年の環境省の「令和元年度社会福祉施策と連携した多頭飼育対策推進事業アンケート」では、平成三十年度にペットの多頭飼育に対する苦情のあった世帯数は全国で二千百四十九件となっており、そのうちおよそ三分の一が十頭以上の飼育によるものであった。また、令和元年の内閣府による「環境問題に関する世論調査」では、人間とペットが共生する社会の実現に向けた施策について、飼い主の迷惑行為に対する規制や指導を強めるべきという意見が最多で五十四・四%となった。
 こうした状況を受けて環境省は、令和三年三月に「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン〜社会福祉と動物愛護管理の多機関連携に向けて〜」を発表し、都道府県・指定都市・中核市に対し多頭飼育対策を呼び掛けている。多頭飼育によって、飼い主の生活状況の悪化、動物の状態の悪化、周辺の生活環境の悪化が発生するため、予防、発見、発見後対応、再発防止が必要であるということが述べられている。
 環境省によると、ガイドライン策定後に賛同や評価の声があると同時に、一方では不満やクレームも寄せられているという。現場で実際に多頭飼育の改善に取り組む職員や動物愛護ボランティアが、問題解決へと進められるよう、以下質問する。

一 多頭飼育が発生した場合、一朝一夕では解決できない。自治体職員は現場に何度も足を運び、飼い主と信頼関係を構築して話を聞く必要がある。福祉部門との連携が必要な場合も多く、公衆衛生や動物を担当する保健所だけでの解決は難しいため、実際には基礎自治体の職員が担当することになることが多い。権限、財源、ノウハウ等を直接、一般市をはじめとした基礎自治体にも与えて、都道府県はそれをフォローする体制の方が良いと考えるが、政府の見解はいかがか。
二 飼い主に対する指導について、内閣府のアンケートにもあるとおり規制や指導を強めて欲しいという意見が多い。特に多頭飼育崩壊の状態になっている飼い主は、行政や動物愛護団体の介入を拒むケースが多いので、行政の調査や立ち入りに関する権限を強化すべきと考えるが、政府の見解はいかがか。
三 動物の飼育状況の改善についてガイドラインでは、動物の飼育に必要な費用は飼い主が担うものであるため公費等の負担は最小限にすべきとある。また、去勢・避妊手術費、皮膚病等の治療費などについて、支援してくれる自治体や民間団体も存在するとある。多頭飼育崩壊に行政が介入して保護したペットの多くは、動物愛護団体やボランティアが引き取ることになる。こうした場合、引き取ってくれた団体・個人に全て負担させるのではなく、去勢・避妊手術等の費用を国や自治体が一定程度支援すべきと考えるが、政府の見解はいかがか。
四 周辺の生活環境の改善について、近隣の住民にとっては喫緊の課題である。害虫、悪臭、騒音など、不衛生な環境による健康被害や、精神的苦痛、地価の下落などの影響がある。これに対して、多頭飼育崩壊を起こしている飼い主は、損害賠償などを行う経済力が無いことが多い。行政は、多頭飼育を見逃していたという責任に鑑み、被害にあった近隣住民に対して、支援制度の紹介はもとより、一定の補償なども必要と考えるが、政府の見解はいかがか。

 右質問する。

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