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令和六年五月十六日提出質問第九四号
定員内不合格に関する質問主意書
提出者 田嶋 要
定員内不合格に関する質問主意書
二〇一四年に日本が批准したいわゆる国連障害者権利条約の審査にて、インクルーシブ教育への勧告を受ける状況下で、障害者のみに定員内不合格を出している事例は問題視すべきである。より豊かな人間性、より豊かに成長できるのが、世界的にも確認されているインクルーシブ教育である。高校の授業料無償化が進み実質的に義務教育と言える状況下において、障害ある子供の学ぶ権利を侵害しながら教員の裁量権が尊重される現状は、共生社会の形成を目指す国の指針とは完全に逆行している。この問題の地域格差が拡大傾向にある点も大きな問題である。
このような時代背景を踏まえ、歴代文科大臣が「障害を理由にした定員内不合格はあってはならない」という発言を繰り返されているが、実態として千葉県公立高校では、昨年、今年と二年続けて知的障害者が一次・二次・追加募集の三回定員内不合格という結果を受けている。知的障害者のみならず、身体障害者の定員内不合格も発生している。「定員内不合格を出す場合には、その理由について十分に説明をし、理解を得るべきものと考える」と歴代文科大臣が答弁されているものの、千葉県の直近事例では十分な説明責任が果たされていない。障害を理由にした不合格である点は否定しながら、「評価基準に達していない」、「総合的判断」などの具体性に欠ける説明しか受けていない。到底納得のいくものではない。基準に達していないのは、障害があるからと考えるのが自然であり、「不合格は障害が理由ではない。基準に達していないからだ」という説明には矛盾が生じている。
一 「あってはならないこと」という歴代文科大臣答弁を軽視し、障害者のみが定員内不合格となっている事象が繰り返されている教育現場の実態をどうお考えか。
二 「定員内不合格を出す場合には理由を説明し理解を得るべき」とされるが、障害のない生徒と同一の基準を障害のある生徒にそのままあてはめ、「基準に達していない」という説明で不合格にされるのは障害者差別にあたり、当事者は納得し難く、理解できる理由とはなりえないのではないか。
三 高校が説明責任を果たせないなら、設置者である都道府県が代行すべきではないのか。
四 国連勧告を無視し、定員が割れているにもかかわらず、障害のある生徒とない生徒が一緒に学ぶ権利を奪う都道府県教育機関のふるまいをどうお考えか。
五 定員内不合格には、地域格差が生じている。公的機関にもかかわらず、教育を受ける権利・行政サービス提供に大きな乖離があるのは問題と考えないのか。
右質問する。