質問本文情報
令和六年六月十二日提出質問第一三九号
新型コロナ・パンデミック対策の検証に関する質問主意書
提出者 宮本 徹
新型コロナ・パンデミック対策の検証に関する質問主意書
二〇二〇年一月からの新型コロナ・パンデミックへの取組を踏まえて、現在、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」の改定作業がすすめられている。
新型コロナウイルス感染症対策分科会会長をつとめた尾身茂氏は、著書「一一〇〇日間の葛藤」において、「次のパンデミックにより上手に対応するためには、今回の新型コロナ・パンデミックで政治家、自治体の長、行政官、保健所・医療関係者、専門家などがそれぞれいかなる判断で何を行い、どんな発言をしたのか等につき、公開されている資料等を基に、当事者はもとより第三者も入った客観的検証が求められる」と述べている。
現在、政府が進める「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」の改定に向けた、「新型インフルエンザ等対策推進会議」での議論は、「感染症危機対応で把握された課題を踏まえ、次の感染症危機でより万全な対応を行うことを目指して対策の充実等を図るために行うもの」で、尾身氏の指摘しているような内容での「客観的検証」までは行われていない。
以上を踏まえ、質問する。
一 新型コロナ・パンデミック対策について、「今回の新型コロナ・パンデミックで政治家、自治体の長、行政官、保健所・医療関係者、専門家などがそれぞれいかなる判断で何を行い、どんな発言をしたのか等につき、公開されている資料等を基に、当事者はもとより第三者も入った客観的検証」を、政府の責任で行うべきではないか。
二 尾身茂氏は同著書の中で、「専門家と協議せず政府が同時に打ち出した」ものの例として、「全国臨時一斉休校」「アベノマスク」を挙げている。また「専門家が提案したが、政府が採用しなかった」ものの例として、「GOTOトラベル事業の開始時期」を挙げている。さらに、専門家が「提言したが実行が遅れた」例として、「GOTOトラベルの一時停止」「五輪無観客開催」を挙げている。
「全国臨時一斉休校」「アベノマスク」「GOTOトラベル」「五輪」について、政府による「当事者はもとより第三者も入った客観的検証」が必要ではないか。
三 尾身茂氏は同著書の中で、「「無症状の人でも感染させる」「呼気でも感染する可能性がある」。政府はこうした不都合な事実をそれに対する対策がない中で公表することには、国民に不要な不安を与えかねないという理由で示す傾向があった」と述べている。
エアロゾル感染は、新型コロナウイルス感染症の主要な感染経路である。感染経路を共通認識にすることは、感染対策の基本であり、こうした「不都合な事実」こそ、いち早く国民的に共有すべきであったのではないか。尾身茂氏が、指摘したこの点について、「当事者はもとより第三者も入った客観的検証」が必要ではないか。
四 尾身茂氏は同著書の中で、「次のパンデミックに備えて、政府と専門家助言組織の在るべき姿についての議論が求められる」と述べた上で、政府と専門家助言組織の在るべき姿のポイントとして、「専門家が述べる医学的・技術的見地からの意見や提案を聞いた上で、政府は社会経済の状況や国民感情、財政事情なども総合的に勘案して最終的な判断を下す」「政府決定が科学的助言と相反する場合には、政府はその理由を公式に説明したり、その根拠を正確に提示したりする」「未知の感染症の対策についての科学的根拠は常に存在するわけではない。従って専門家は、情報や根拠が限られている場合でも一定の見解を提示する」と、三点を示している。
パンデミックにおける、政府と専門家助言組織の関係の在るべき姿について、政府はどのような議論をしているのか。また、政府と専門家助言組織の関係の在るべき姿について、尾身茂氏が著書で指摘している三つのポイントと同様の見解を持っているか、伺う。
右質問する。