質問本文情報
令和六年六月十二日提出質問第一四二号
在日米軍基地から排出されたPCB含有機器の処理に関する再質問主意書
提出者 屋良朝博
在日米軍基地から排出されたPCB含有機器の処理に関する再質問主意書
二〇二四年五月二十四日に提出した「在日米軍基地から排出されたPCB含有機器の処理に関する質問主意書」では、米軍基地に起因するPCB含有機器の処理について質問を行った。これに対し、二〇二四年六月四日に受領した同質問主意書に対する答弁書(内閣衆質二一三第一〇一号。以下「先の答弁書」という。)において、「建物ごと引き受けた」ことは、いわゆるPCB特措法第十七条で禁止されているPCB廃棄物の譲渡し及び譲受けには当たらないなどとして、PCB含有機器の処理を日本側が負担していることなどの答弁があった。先の答弁書を踏まえ、改めてPCB含有機器の処理に関し、以下の事項について答えられたい。
一 先の答弁書「一の1について」では、木原防衛大臣の二〇二四年五月十三日の決算行政監視委員会第二分科会での答弁における「状況の変化が生じた」と判断した時期及び根拠について、二〇〇四年十二月に中間貯蔵・環境安全事業株式会社(以下「JESCO」という。)においてPCBの処理が開始したこと等を踏まえた、としている。一方、同じ答弁中、木原大臣は「米国防省は、二〇〇二年に、在日米軍の施設・区域にある全てのPCB廃棄物については米国に搬出して処理、廃棄する方針を決定した」と承知していると述べるとともに、「返還前の在日米軍施設・区域における工事に伴い発生したPCB廃棄物について日本側が処理を行ったことが確認できる初めての事例」は「二〇一八年度の岩国飛行場及び佐世保海軍施設の提供施設整備事業」であったとしている。したがって、二〇〇二年には米国に搬出して処理、廃棄する方針であった在日米軍の施設・区域にあるPCB廃棄物の処理について、二〇一八年の時点では日本側が引き受けることになっていたことになる。それらを踏まえて、以下の問いに答えられたい。
ア 在日米軍の施設・区域にあるPCB廃棄物の処理を日本側が引き受けることになった時期及びそれらを合意した機関・協議等の名称
イ 在日米軍の施設・区域にあるPCB廃棄物の処理を日本側が引き受けた際、JESCOを所管する環境省も日本側としてそれらを合意した機関・協議等に参加していたのか。参加していた場合は当時の環境省の見解を、参加していない場合はその理由を示されたい。
二 先の答弁書「一の2について」では、「米国政府との具体的な協議の詳細については、これを公にすると同国政府との信頼関係が損なわれるおそれがある」としている。日米間の合意の有無、合意した時期及び合意した機関・協議等の名称については、先の答弁書中の「具体的な協議の詳細」には当たらず、米国政府との信頼関係が損なわれるおそれはないものと考えるが、政府の見解を示されたい。
三 先の答弁書「二について」では、米側の「PCB廃棄物の目録の有無、現有総量」について「日本政府として現時点において把握していない」としている。その上で「合同委員会等様々な場で、外務省、環境省、防衛省等関係省庁で連携しつつ、環境対策が実効的なものとなるよう取り組んでいる」としているが、米側のPCB廃棄物の量や目録の有無を把握しないまま、環境対策に取り組んでも実効的なものにすることはできないのではないか。政府の見解を示されたい。
四 先の答弁書「三の1について」では、「日米地位協定に基づく対応とは認識していない」として、二〇〇二年当時の米側によるPCB廃棄物の処理・廃棄方針は日米地位協定に基づくものではなかったとしている。一方、日本政府は、PCB廃棄物の処理費用については先の答弁書において、「日米間の協議の結果」、日米地位協定第二十四条2の規定に基づき日本政府が負担してきたと答弁している。このように、当初は日米地位協定に基づかない事項とされていたものが、「日米間の協議の結果」として、日米地位協定を適用として日本側が費用負担するようになったものは他にあるのか。ある場合はその内容を示されたい。また、この答弁の「日米間の協議」とは日米合同委員会を指すのかどうか、協議の場を明示されたい。
五 先の答弁書「四の1について」において防衛省が把握していると答弁のあった施設について処理量、種類、年月日を明らかにされたい。
六 先の答弁書「四の2について」を踏まえて、以下の問いに答えられたい。
ア 答弁については、いわゆる廃掃法に基づく廃棄物として引き取った「建物」にPCB含有機器を発見し、日本側がPCB特措法に基づき廃棄した、との解釈でよいのか、政府の見解を示されたい。また、先の答弁書「四の1について」で回答された案件のうち、廃掃法を適用して処理した案件を明らかにされたい。
イ 今後も廃掃法を適用した処理を続けるのか、政府の考え方を示されたい。
ウ 民間による廃掃法を適用した処理についても、PCB特措法に規定される譲渡し及び譲受けには該当せず、PCB廃棄物の処理が可能と考えるのか、政府の見解を示されたい。
七 先の答弁書「四の4について」では、PCB特措法第十七条において「建物の引渡しに際し、御指摘の「PCB廃棄物の有無を確認」することとはされていない」としているが、日本側によるPCB廃棄物の処理が続いている現状を鑑みると、確認すべきだったのではないか。政府の見解を示されたい。
八 先の答弁書「四の5について」に関連して、在日米軍保有のPCB廃棄物の総量、独自に処理するとしていた方法とその量を米側に問い合わせるべきではないか、政府の認識を伺いたい。
右質問する。