質問本文情報
令和六年六月十三日提出質問第一五二号
副業の納税義務に関する質問主意書
提出者 井坂信彦
副業の納税義務に関する質問主意書
厚生労働省は平成三十年一月に、副業・兼業についてガイドラインを作成した。令和二年九月にはルールを明確化する改定を行い、さらに令和四年七月に副業・兼業を希望する労働者が適切な職業選択を通じ多様なキャリア形成を図っていくことを促進することを盛り込んだ改定を行った。
令和六年一月に発表された、大手転職サービス運営企業による実態調査によると、副業をしている人の割合は八・四%で、前回調査から〇・二ポイント増加している。副業の平均月収は六万五千九十三円とのことである。主な副業の内容は、サービス業、株やFX、ネットビジネスなどとなっている。そんな中、小遣い感覚で収入を得るギャラ飲みや週末モデルなどの副業は現金の受け渡しが多く、またチップなどは金額が表に出ることがないので実態が調査しづらい面がある。
我が国では、所得税、法人税など多くの税が申告納税制度となっている。そのため、現金の受け渡しによる収入は、申告がない限り課税するのが難しいという課題がある。政府が副業を推奨し、実際に副業が増えている中で、現金の所得隠しについては注意深く対処しなければならないと考え、以下、政府の見解を伺う。
一 多くの企業は従業員の副業を前提としていないため、副業の納税義務について手続も指導もしない。企業に就業している人は特別徴収が多く、そもそも申告納税という制度に馴染みがない。政府はどのように副業の納税について広報啓発をしていくのか、見解を伺う。
二 就職前の大学生や専門学校生、高校での納税教育を強化し、さらに副業での収入の取扱いについて指導をすべきと考えるが、政府の見解を伺う。
三 先述の大手転職サービス運営企業の調査では、副業が認められている人は二十七・五%、禁止されている人は四十七・五%となっており、依然として副業を禁止している企業が多い。副業を就業先に知られるのを恐れて、申告納税をしないという意識がいまだに高いと考えられる。副業に関する企業の意識改革をどのように進めているか。また、副業収入を確定申告して副業分の住民税を普通徴収とすることで、勤め先に副業収入を知られずに済むということを周知できているか。
四 ギャラ飲みなどの副業で、月に数十万稼いでいる人がいると言われている。また、週末モデルなどによる個人撮影会は、その場で現金での支払いが多い。こうした副業収入を把握するため、政府はどのような努力をしているか。
五 ネット上での中古品販売、転売、輸入代行などは記録が残りやすい。個人で多額の取引をしている人に対して追跡をしているか。また、サイト運営者から高額の取引をしている個人や事業者について情報提供を受けることができるよう、制度が整備されているか。
右質問する。