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令和六年六月十七日提出
質問第一七三号

令和六年度介護報酬改定に関する質問主意書

提出者  神津たけし




令和六年度介護報酬改定に関する質問主意書


 令和六年度に行われた三年に一度の介護報酬改定において、訪問介護の基本報酬が引き下げられたことに対し、在宅介護の現場では怒りと不安の声が広がっている。身体介護、生活援助など訪問介護は、とりわけ独居の方を始め要介護者や家族の在宅での生活を支える上で欠かせないサービスであり、政府は、これまでも介護職員を対象とした処遇改善を行ってきたが、その賃金は依然として全産業平均と比較して低い水準にある。最近の物価上昇による実質賃金の低下や他業種の賃上げの動向を踏まえると、このままの状態が続けば、介護分野からの更なる人材の流出は避けられない。このままでは在宅介護が続けられず「介護崩壊」を招きかねないとまで指摘されている。このような状況を踏まえ、以下質問する。

一 訪問介護の現場からは基本報酬の引下げにより事業の将来が見通せなくなったとの声が出ている。在宅介護を支える訪問介護サービスの基本報酬引下げは、厚生労働省が推進する、高齢者が住み慣れた地域で必要なケアを受けられる「地域包括ケアシステム」の実現に逆行すると考えるが、政府の見解如何。
二 厚生労働省は訪問介護の基本報酬を引き下げても介護職員の処遇改善加算でカバーできると説明しているが、そうであるならば基本報酬を引き下げる必要はなかったのではないか。基本報酬を引き下げ、処遇改善加算を増やすこととしたのは、基本報酬の水準を維持しても職員の処遇改善には必ずしもつながらないとの考えがあったためか。
三 厚生労働省は訪問介護の基本報酬引下げの理由として、利益率が他の介護サービスより高いことを挙げているが、これはヘルパーが効率的に訪問できる高齢者の集合住宅併設型や都市部の大手事業所が利益率の平均値を引き上げているためであり、過疎地域で利用者の自宅を一軒一軒回る小規模事業所の利益率と同列に比較できるものではない。また、廃業を考えざるを得ないような厳しい運営を迫られている小規模事業所はそもそも調査に答える余裕がなく、結果に反映されていないとの指摘もある。報酬改定の根拠となる調査の精度については、経営の実態がより一層反映されるものとなるよう不断の改善が必要であると考えるが、次期改定に向けてどのような見直しを検討していくのか、現時点の見通しを示されたい。
四 政府による累次にわたる施策にもかかわらず、現場の介護職員は処遇改善の実感に乏しい。公費による助成や支援が内部留保に回っては意味がなく、限られた財源を有効活用するには経営の透明化が求められる。事業者に支払われる介護報酬のうち、何割が職員の給与に配分されているか、職員一人当たりの賃金等のデータを、毎年度、事業者ごとに把握できる仕組みを設けるべきと考えるが、政府の見解如何。
五 過疎地域における訪問介護では、利用者の家から家への移動時間や待機時間が発生するが、必ずしもそれらは給与に反映されていない。比較的狭い範囲に利用者が集中する都市部を基準とせず、過疎地域の在宅介護を支える訪問介護ヘルパーの労働実態を国として調査した上で、適切に報酬に反映すべきと考えるが、政府の見解如何。
六 介護・障害福祉分野の人材の確保及び定着を促進するとともにサービス提供体制を整備するため、本年六月五日、衆議院厚生労働委員会において介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する委員会決議が行われた。当該決議に基づき、政府としてどのような施策を進めていくのか。特に基本報酬引下げの影響が懸念される訪問介護を始めとする介護事業者等の意見を聴きつつ、速やかなかつ十分な検証を求めたいと考えるが、現時点における政府の方針如何。

 右質問する。

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