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令和六年六月十八日提出質問第一八五号
レアアースの開発に関する質問主意書
提出者 井坂信彦
レアアースの開発に関する質問主意書
東京大学などの調査により、東京都小笠原諸島の南鳥島周辺海底に、世界需要の数百年分のレアアースが存在すると判明した。レアアースは希土類の総称で、パソコンやスマートフォン、省エネ家電、電気自動車などのハイテク機器の製造に欠かせない。しかし現在、我が国ではそのほとんどを輸入に頼っており、その希少性から少量であっても積極的なリサイクルを進めているところである。
我が国ではこのレアアース資源に対し、海洋鉱物資源開発に向けた資源量評価・生産技術等調査事業や、大水深採鉱技術の開発に向けた技術的実証などに予算をつけて開発に取り組んでいる。また東京大学では、南鳥島レアアース泥を開発して日本の未来を拓くプロジェクトを立ち上げ、国産レアアース資源の開発に向けて寄付を募っている。
一方で専門家からは、成果が出るまで数十年かかる、採算コストが高く実現性は少ないといった意見もある。また、我が国はレアアースの約六割を中国から輸入しており、過去には実質的に輸出規制と思われる輸出の停滞も発生した。こうしたレアアースの産出国に対して、我が国にもレアアース資源があるということをアピールし、交渉材料にするだけなのではないかという懸念を持たれている。
政府は、今年度中にも試掘を始める予定であると報道されている。予算をかけて調査・開発に取り組む国策事業であり、実現すれば我が国が資源輸出国となる可能性がある重要なプロジェクトである。レアアース産出国に対するアピールだけでなく、実際に操業して生産できる体制を整えることが必要なことから、以下、政府の見解を伺う。
一 既に政府として予算がついて試掘などの調査が始まるが、東京大学が独自に資金集めをしているのはなぜか。政府が直接東京大学に予算を提供して調査を依頼するか、政府と連携した開発を進めるべきと考えるが、政府の見解を伺う。
二 現在は実証や調査を進めている段階であるが、操業するとなると、南鳥島沖までの人員の移動や生活空間の確保、機材や産出物の運搬、拠点の整備など、現地だけにとどまらない開発が必要になると思われる。操業開始はいつ頃を見込んでいるか、またそれに向けた拠点整備等の計画はできているか。
三 平成二十五年に東京大学などの研究チームが高濃度レアアースの存在を突き止めてから、十年以上が経過した。ここ数年は政府としても予算を組んで調査しているが、これらの調査結果から、どれくらいの埋蔵量が想定されていて、どのような成果を見込んでいるのか。
四 操業開始から生産が進んでいき、採算が合うのはいつ頃を見込んでいるか。収支について見通しを計算しているか伺う。
五 本州から約千八百キロメートル離れた海域で、水深約六千メートルの海底から泥を採掘するという作業を行うことになる。調査には水中ドローンの活用なども考えられている。安全性の確保が最優先となるが、作業や操業の危険性の認識と安全対策について、政府の見解を伺う。
六 日本のEEZ(排他的経済水域)内であるため、この埋蔵レアアースについては、我が国が開発・保存する権利を持つ。しかし、本州から約千八百キロメートルも離れているため、常時人員を配置する状況にない。外国の船舶によって資源を奪われる危険性についてどう考えているか。またその対策について、政府の見解を伺う。
右質問する。