質問本文情報
令和七年二月十二日提出質問第四五号
後発医薬品製造基盤整備基金及び医療用医薬品安定供給体制の強化に関する質問主意書
提出者 福田 玄
後発医薬品製造基盤整備基金及び医療用医薬品安定供給体制の強化に関する質問主意書
政府は、医療用医薬品の安定供給体制を強化することを目的として後発医薬品製造基盤整備基金なるものを設立せんとし、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案を今国会に提出した。しかしながら医薬品の安定した供給を確保できない現状について、政府の現状認識についていささか疑義が生じたので以下質問する。ただし、法案審議中を理由に詳細を説明できないなどという答弁は、すでに与野党に対して法案説明をしている現状を鑑みるに誠意なき対応であると断じざるを得ないと考えるため、本質問に対して誠意をもって答弁せしむことを欲するものである。
一 後発医薬品製造基盤整備基金の設立目的について政府の見解を明らかにされたい。
二 前記の目的について、福岡資麿厚生労働大臣は日刊薬業のインタビューにおいて、「新設する後発医薬品供給支援基金を通じて、企業間の連携協力や再編を後押しする方針」と話している。しかし、昨今の医薬品欠品問題、つまり必要なとき必要な医薬品が国民の手元に届かない状況の原因を鑑みるに、問題の本質は医薬品を製造する企業の規模の問題ではなく、そもそも医薬品の主成分たる原料の調達ができないことにあると理解している。しかし、福岡大臣のお言葉には、医薬品原料の調達について言及はないものとみゆる。つまり、我が国において国民が必要とする医薬品の原料が調達されていないという事実、併せて他国に当該原料の生産を依存せねばならない事実に向き合っていないということであると考える。さらに、当該原料を生産する国家との通商関係が安定的でなく、容易に輸入が難しくなるような国家にその生産を依存しているということになれば、これは経済安全保障上の問題といえなくもないであろう。政府においてこうした危機感があるのかどうかについて以下質問する。
1 医薬品を生産する企業の連携協力や再編によって本当に流通問題が解消されると考えているのか政府の見解を明らかにされたい。
2 そもそも製薬企業の再編が必要という結論に至った政府内の議論について説明されたい。
3 確かに、日本の製薬企業の数は他の先進国に比して多いという議論がされていたと記憶する。たとえば、英独仏米中印各国と比較し人口百万人当たりの製薬企業数で考えた場合に、我が国の製薬企業数は多いといえると考えるのか政府の見解を明らかにされたい。
4 医療現場から欠品や品薄が指摘される医薬品の原料について、その生産国を把握しているのであれば、生産国の割合について明らかにされたい。
5 原料の国内生産に向けた具体的な施策を政府は検討しているのか明らかにされたい。
6 抗菌剤については、政府は経済安全保障上優先度の高い特定重要物資と考えていると理解しているが、輸入に依存している医薬品原料についても医薬品の国民生活に占める重要性を鑑みるに経済安全保障上優先度の高い物資として安定供給を図るべきではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
三 令和七年二月四日、株式会社医薬経済社のリスファクスによれば、原料の製造中止及び代替原料の確保が容易でないことなどの理由により「テオドール錠」の供給が困難としている製薬メーカーに対して、日本呼吸器学会が販売中止を承諾しない趣旨の申入れをしたという。厚生労働省は、この事実を把握しているのかどうか明らかにされたい。
四 前記「テオドール錠」の事例も原料調達が課題であると考える。また、当該メーカーが代替原料確保や製造方法の見直しをしても製造に踏み切れない理由のひとつには、あまりにも安くなった薬価の問題があるのではないかと推察するものである。というのも、低い薬価のままでは思い切った設備投資は望めないであろうし、新規原料調達にしても、必要以上に調達費をかけられないような経営環境にあっては代替案などを民間企業にのぞむのは酷であろう。本件のように関連する学会が必要であると認めるような医薬品については、ワクチンなどと同じように政府が特別に必要な経費も含めて個別交渉で買い上げるなどの思い切った措置が必要ではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。