質問本文情報
令和七年二月十二日提出質問第五三号
拉致問題等と国民の知る権利に関する質問主意書
提出者 有田芳生
拉致問題等と国民の知る権利に関する質問主意書
いわゆる日朝ストックホルム合意において、北朝鮮側は、拉致被害者及び拉致の疑いが排除できない行方不明者(以下、「拉致被害者等」という)の調査を実施することを約束しています。拉致被害者等の家族・親族に対する情報提供について何点かお尋ねします。
一 政府は、内閣参質一八三第三号において、「各都道府県警察において、行方不明者の親族等に対し、捜査・調査に支障のない範囲で、その状況を説明しているものと承知している」と答弁しています。
1 令和七年一月一日現在で行方不明者は全国に何名存在していますか。政府の把握するところをお答えください。
2 答弁にある「捜査・調査に支障のない範囲」とは、行方不明者の捜査・調査に支障がある情報は親族等に提供していないということですか。明確にお答えください。
二 行方不明者の捜査・調査段階の行政文書の公開については、刑事司法手続における被疑事件・被告事件に関して作成された書類として、刑事訴訟法第五十三条の二の「訴訟に関する書類」に該当することから非公開となるのが現状です。
そこでお尋ねしますが、行方不明者の生存が確認された時点、あるいは行方不明者の死亡が確定した時点で、それまでの捜査・調査段階の行政文書は親族等の求めがあれば公開できるのですか。公開できない場合、親族等が、拉致被害者等の捜査・調査に関係する情報の全貌を知ることは、いつになったら可能になるのですか。
三 拉致被害者等の捜査・調査に関する情報は、特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第百八号)の対象となる情報ですか。対象となる場合、国務大臣、国会議員、政府関係者及び各都道府県警察の担当者が拉致被害者等の捜査・調査段階の情報を親族等に提供すれば何という法律の処罰対象となるのですか。
四 外務省北東アジア課が、平成二十六年十月一日付けで作成した「日朝外交当局間会合」と題する文書(以下、「この文書」という)において、「問六 拉致の可能性が排除できない八百八十三名の行方不明者のリストを北朝鮮側に提供したのか。今後、提供する考えはあるのか」との問いに対し、「八百八十三名の行方不明者のリストを北朝鮮に提供済みであるか否かについては、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えを差し控えたい」との答弁を用意しています。
1 政府はこれまでに行方不明者のリストを北朝鮮側に提供したことは一度もないのですか。
2 外務省、拉致問題対策本部事務局を含む及びストックホルム合意に関係する政府各府省庁は、警察庁が作成している八百八十三名の行方不明者のリストを保有しているのですか。明確にお答え下さい。
五 この文書における「今後の対応に支障を来すおそれ」とは、具体的にどのようなおそれを想定しているのですか。また、「今後の対応に支障を来すおそれ」のなかに、行方不明者のリストを北朝鮮側に提供することが日朝国交正常化交渉の妨げになるとの懸念がふくまれているのですか。お答え下さい。
六 拉致被害者等の捜査・調査に関する情報は、親族等が一番欲しい情報であり、拉致被害者等の消息を知らないまま他界する親族等が後を絶ちません。そのような現状を百も承知していながら、政府は、拉致被害者等の捜査・調査に関する情報を、親族等にも国民にも公開しようとしません。これは、政府が、国民の知る権利を侵害しているのではありませんか。その認識をお答えください。
右質問する。