質問本文情報
令和七年三月十三日提出質問第一〇三号
スパイクタンパク質の毒性に関する質問主意書
提出者 原口一博
スパイクタンパク質の毒性に関する質問主意書
ワクチンの開発において抗原として接種するタンパク質に毒性がある場合には、その毒性を失わせるための処理を行ったのち人体に投与することは当然であると考える。実際、一九四八年には京都・島根ジフテリア予防接種事件と呼ばれる予防接種事故が起きている。この事故の原因はジフテリアの予防接種で抗原として使用されたジフテリア毒素を無害化しないまま接種したことによる。死者数は乳幼児を中心に八十四名、副反応による被害者数は八百数十人から千人以上にも上った世界最大の予防接種事故である。新型コロナウイルスのmRNAワクチンで抗原として使用されているのはスパイクタンパク質である。スパイクタンパク質に細胞毒性があることは米国ソーク研究所が二〇二一年四月に論文を発表している(Circulation Research Vol.128,No9)。
この研究で明らかになったことは次のとおりである。
研究者らは、SARS−CoV−2のスパイクタンパク質を持つ「疑似ウイルス」(シュードウイルス)を作成した。実際のウイルスは使用していない。このシュードウイルスに曝露すると、動物モデルの肺と動脈に損傷が生じ、スパイクタンパク質だけでも病気を引き起こすのに十分であることが証明された。組織サンプルでは、肺動脈壁の内側を覆う内皮細胞に炎症が見られた。次に研究チームはこのプロセスを研究室で再現し、(動脈の内側を覆う)健康な内皮細胞をスパイクタンパク質にさらした。彼らは、スパイクタンパク質がACE2に結合することによって細胞を損傷したことを示した。この結合により、ミトコンドリア(細胞のエネルギーを生成する細胞小器官)へのACE2の分子シグナル伝達が妨害され、ミトコンドリアが損傷して断片化された。これまでの研究では、細胞がSARS−CoV−2ウイルスに曝露された場合にも同様の影響が示されていたが、本研究は細胞が単独でスパイクタンパク質に曝露された場合に損傷が生じることを示した初めての研究となった。
この研究成果が発表されたCirculation Researchは、掲載論文が他の雑誌に多数引用される循環器系の疾患研究のトップジャーナルである。さらに二〇二三年にはスパイクタンパク質の毒性に関する総説論文が公表された。この論文が掲載されているBiomedicinesはオープンなオンラインジャーナルであり誰でも閲覧することが可能である(「'Spikeopathy': COVID-19 Spike Protein Is Pathogenic, from Both Virus and Vaccine mRNA」(Biomedicines. 2023 Aug 17))。
この総説論文にはスパイクタンパク質の毒性に関する多くの論文が引用されている。この件に関して、以下質問する。
一 このような著名なジャーナルに新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の毒性が報告された。さらにソーク研究所も米国の一流の研究機関であると考える。
1 この情報の存在を厚生労働省、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)、あるいは厚生労働大臣が厚生科学審議会や薬事審議会等の委員(以下「審議会委員」という。)として任命した学識経験者は承知していたのか。
2 これまでの審議において話題に上ったのか、要すれば審議会(審議会に置かれた分科会や部会を含む。)の議事録を確認の上、示されたい。
二 厚生労働大臣が審議会委員として任命している学識経験者が、一定のレベルの学識を有しており彼らが国民の健康を守るという意識を持っているのであれば、この論文が発表された段階でスパイクタンパク質の毒性に関する懸念を表明するようになることが想定される。加えて既に副反応の疑いによる死亡認定は千名に到達しようとしている。しかしながら、スパイクタンパク質の毒性に関する論文が世界にあふれるようになった現在においても、審議会委員は今回のmRNAワクチンについて重大な懸念はないと発言している。この点について厚生労働省としてはどのように考えているのか、任命した審議会委員の選択が適切であったと今も考えているのかも含めて、見解を伺いたい。
三 医薬品・ワクチンなどの人に投与する製品については最新の情報により健康上のリスクが想定されるときには製薬企業はその情報をPMDAに伝えることが義務づけられている。今回のmRNAワクチンにおいて、製薬企業側から政府にスパイクタンパク質の毒性に関する懸念情報が伝達されたという事実の有無を伺いたい。
四 今回の新型コロナウイルス感染症パンデミックにおいて厚生労働大臣が任命した審議会委員については、mRNAワクチンに関するリスク情報の認知が不十分であると考えている。既に米国の州によっては新型コロナウイルスのmRNAワクチン接種を禁じるところまで出現している。さらには、トランプ政権は今回の新型コロナウイルス感染症パンデミック及びワクチン政策について大幅な見直しをしようとしている。この様な状況の変化に審議会委員は十分対応できていないのではないかと考えている。そこで、厚生労働省は、関連する審議会委員に任命された学識経験者をどのような基準で選考したのか、そのプロセスを具体的に示されたい。
五 本質問主意書によってスパイクタンパク質のリスク情報を厚生労働省に正式に伝達することになるが、同省としてはこのリスク情報を今後どのように取り扱っていくのか、見解を伺いたい。
六 既に九百名を超える接種関連死亡者が報告されていることの要因の一つが抗原に毒性があることによることは容易に想像できる。これまでに多数のmRNAワクチン接種による被害者が生まれたことと抗原であるスパイクタンパク質の毒性との関係を否定できる根拠を政府は有しているのか。有している場合、その根拠を示されたい。
右質問する。